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異世界転生した俺は精霊に愛されすぎて、静かに村を育てます  作者: 月灯り庵


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静かな本気

今回はルナ本気モードでした。


静か。

理知的。

でも破壊力は最大級。

その日の朝。


ハルが目を覚ますと――


「おはよう」


目の前に、ルナがいた。


距離、近い。


「うわっ!?」


「何かしら」


落ち着いている。


落ち着きすぎている。


「どうしてこんな近くに」


「夫婦なら普通でしょう?」


さらり。


「まだ夫婦じゃない」


「いずれなるのなら、予行演習よ」


真顔。


ハルが言葉を失う。


朝食の席。


今日はやけに豪華だ。


「これ全部……?」


「ええ」


ルナは静かに微笑む。


「あなたが好きなものを研究したわ」


研究。


響きが怖い。


「米は水分を三段階で調整。

 味噌は昨日より半刻長く寝かせた」


本気である。


レイナが横で唖然としている。


「なにそれ、料理で戦争?」


「戦争ではないわ」


ルナは涼しい顔。


「日常の積み重ねよ」


ハルが一口食べる。


「……うまい」


ルナの目が細くなる。


「当然よ」


「なんか今日、やたら美味いぞ」


「努力の差かしら」


横でレイナがむっとする。


「ちょっと待て!」


だが、ルナは余裕を崩さない。


「レイナ」


「な、なに」


「あなたは強いわ」


一瞬、レイナが戸惑う。


「でもね」


ルナは静かに言う。


「強さだけでは、隣は守れないの」


その言葉は、刃ではない。


でも確実に届く。


昼。


ルナはハルと並んで畑へ。


自然に。


当然のように。


「水路、少し調整したわ」


「え、いつ?」


「あなたが寝ている間に」


有能。


静かに有能。


エリシアが小さく笑う。


(本気ね)


夕方。


ルナはハルの隣に座る。


自然に、肩が触れる。


「昨日、レイナが告白したのでしょう?」


直球。


「……聞いてたのか」


「見ていたわ」


怖い。


でも声は優しい。


「不安だった?」


ハルが聞く。


ルナは少しだけ考え――


「いいえ」


「え?」


「私は、あなたがどこへ行くか知っているもの」


ハルが首をかしげる。


「どこへ?」


ルナはハルの胸に指を当てる。


「ここ」


「……」


「あなたは、静かな場所を選ぶ」


その言葉に、ハルは息を止める。


「私はね」


ルナはほんの少しだけ弱さを見せる。


「あなたと同じ速度で歩ける」


それは自信。


それは覚悟。


「走らない」


「奪わない」


「でも、離れない」


そして。


そっと、ハルの手を握る。


「選ばせる必要もないわ」


「え?」


「気づいたら隣にいる。それで十分」


包囲完了である。


その様子を、少し離れた木の上からレイナが見ていた。


「……あれは強い」


エリシアが頷く。


「静かな本気は、侮れないわ」


レイナはにやっと笑う。


「面白いじゃん」


戦う目ではない。


競う目だ。


夜。


ルナは小さく呟く。


「勝つ、ではないの」


月を見上げる。


「寄り添い続けるだけ」


その目は、優しくて。


そして、絶対に揺れない。


精霊たちが囁く。


“主の隣、激戦区”


でも森は穏やかだ。


甘さは、さらに増していく。

恋は戦いではない。


でも、想いは強い。


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