まっすぐだから、負けない
今回はレイナの逆襲甘々回でした。
直球。
不器用。
でも強い。
レイナは“守る恋”ではなく“奪いにいく恋”です。
翌朝。
ハルは畑で苗の様子を見ていた。
「うん、順調だな」
しゃがみ込んでいると――
後ろから、がしっと肩を掴まれた。
「ハル」
振り向く。
レイナだ。
今日はやけに真剣な顔をしている。
「ど、どうした?」
「ちょっと来て」
有無を言わせぬ圧。
ハルはそのまま引きずられるように森の奥へ。
辿り着いたのは、小さな丘。
村が見渡せる場所だ。
「……ここ、覚えてる?」
「ん? ああ、最初に見張り台を作ろうって話した場所だろ?」
レイナは頷く。
「私さ」
腕を組む。
「昨日、ちょっとだけ悔しかった」
「え?」
レイナはハルを真っ直ぐ見る。
「ルナといい雰囲気だっただろ」
ストレート。
「見てたのか!?」
「見える位置だった!」
ハルが慌てる。
レイナは、少しだけ頬を赤くする。
「でもな」
一歩、近づく。
「私は私のやり方でいく」
「やり方?」
レイナは胸を張る。
「私は回りくどいことしない」
そして。
「好きだよ」
風が止まる。
ハルが固まる。
「え?」
「聞こえなかった?」
さらに近づく。
「好きだ」
真正面。
逃げ場なし。
「私は戦うのも得意だし、守るのも得意だ」
レイナの声は、震えていない。
「でも一番守りたいのは、この森でも、村でもなくて」
一瞬だけ、息を吸う。
「ハルだ」
真っ直ぐ。
一直線。
まるで矢のような告白。
ハルは、数秒言葉を失う。
「……レイナ」
「返事は今じゃなくていい」
でも、と付け加える。
「私は隣を諦めない」
そして――
ぎゅっと、腕を掴む。
「ちゃんと見てほしい」
レイナは強い。
でも今は、少しだけ必死だった。
ハルはゆっくり笑う。
「ちゃんと見てるよ」
「え?」
「レイナがどれだけ頑張ってるか」
「どれだけ真っ直ぐか」
「どれだけ、俺を守ろうとしてるか」
レイナの耳がぴくりと動く。
「俺さ」
ハルは少し照れる。
「そうやってまっすぐ来られると、弱いんだよ」
「……弱い?」
「好きになりそうになる」
空気が止まる。
今度はレイナが固まる番だった。
「なっ……!」
顔が真っ赤。
「もうなってるかもしれないけど」
とどめ。
レイナは数秒沈黙。
そして。
「……卑怯だ」
でも。
嬉しさが隠せていない。
次の瞬間。
レイナはハルの腕を引き寄せる。
「じゃあ、証拠」
「証拠?」
「今日の昼は、私の隣」
「え、それだけ?」
「それ“だけ”じゃない」
レイナは笑う。
「私は積み重ねるタイプなんだ」
まっすぐで、豪快で。
でも計算はしていない。
丘の上。
二人の距離は、昨日より少し近い。
森の下では――
ルナが腕を組んでいた。
「……なるほど」
エリシアが静かに言う。
「レイナは正面突破型ね」
ルナは小さく微笑む。
「いいわ」
その目は静かに燃えている。
「受けて立つ」
精霊たちが、きらきらと騒ぐ。
今日の“にこにこ”は、甘さ増量だった。
まっすぐな想いは、強い。
そしてハルは、だいぶ包囲されています。




