表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生した俺は精霊に愛されすぎて、静かに村を育てます  作者: 月灯り庵


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/172

静かな火花と、甘いおにぎり

人気が出やすい“軽い火花回”ですが、

本作はあくまで優しい世界。


争いではなく、想いのぶつかり合い。

その日の精霊の森は、やけに平和だった。


ハルは畑で作業を終え、小屋へ戻る。


すると――


「ハル、お疲れ様」


ルナが湯気の立つお茶を差し出す。


「ありがとう」


ほっと一息。


そこへ。


「ハル! こっちも見て!」


レイナが元気よく駆け寄ってくる。


「今日の見回り、完璧だった!」


「おお、頼もしいな」


レイナの耳がぴくりと動く。


「でしょ?」


その様子を、ルナが静かに見ている。


「……そういえば」


ルナが穏やかに言う。


「今日の昼食は、私が用意したわ」


テーブルの上には、綺麗に並んだおにぎり。


「おお、美味そう!」


ハルが嬉しそうに座る。


そこへ、レイナがにやりと笑う。


「実はさ」


「ん?」


「私も作ってきたんだよね」


どん、と別の包みが置かれる。


空気が、ほんの少しだけ張る。


エリシアが、静かにお茶を飲みながら観察している。


(……始まったわね)


ハルは両方を見比べる。


「どっちから食べようかな」


ルナ、微笑み。


「好きなほうからどうぞ?」


レイナ、にっと笑う。


「迷うくらいなら、私のからでいいよ?」


目は笑っている。


でも。


火花が、ちりっと見えた気がした。


ハルは一口。


「……うまい」


ルナのを食べる。


「優しい味だな」


レイナのを食べる。


「お、こっちは元気出る感じ」


両方を見て、素直に言う。


「どっちも好きだな」


沈黙。


ルナとレイナが同時に言う。


「……ふーん?」


レイナが腕を組む。


「ねえ、ハル」


「ん?」


「どっちが“毎日”でもいい?」


ルナがさらりと続ける。


「そうね。毎日作るなら、どちらがいい?」


エリシアが小さく吹き出しそうになる。


ハルは、きょとん。


「毎日?」


「うん」


「ええ」


ハルは少し考え、笑った。


「じゃあさ」


「交代で」


一瞬、静まる。


「……ずるい」


ルナが呟く。


「平等主義かよ」


レイナが笑う。


だが次の瞬間。


ルナが言う。


「なら、明日は私の番ね」


レイナが即答。


「その次は私」


「週三は私」


「多くない!?」


ハルが慌てる。


エリシアが穏やかに言う。


「では、私はお茶係で」


「それも参加なの?」


「当然よ」


しばらくして。


三人は並んで座る。


「ねえ、ルナ」


レイナがぽつりと言う。


「なんだかんだ、あんた料理うまいよね」


ルナが少し驚き、それから微笑む。


「あなたも、思ったより丁寧だったわ」


レイナがむっとする。


「思ったよりって何!」


ハルが笑う。


「仲いいなあ」


二人が同時に振り向く。


「仲良くない!」


その声が重なる。


そして――


精霊たちがくすくす笑う。


夜。


ルナがぽつりと呟く。


「……でも」


レイナが横目で見る。


「なに?」


「譲る気はないわよ」


レイナがにやっと笑う。


「私も」


静かな火花。


でも、その火は暖かい。


精霊の森は、今日も平和だった。

人気が出やすい“軽い火花回”ですが、

本作はあくまで優しい世界。


争いではなく、想いのぶつかり合い。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ