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異世界転生した俺は精霊に愛されすぎて、静かに村を育てます  作者: 月灯り庵


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なんか俺、また森を強くしてしまったらしい

今回は、なろう的「無自覚主人公の格上げ回」です。


でも空気はあくまでスローライフ。


静かに強くなる村、という方向性です。

「……あれ?」


ハルは水路の前で立ち止まった。


昨日までは、ただの水路だった。


だが今日――


水が、やたらと澄んでいる。


しかも、ほんのり光っている。


「エリシア、これ……何かした?」


後ろから現れたエリシアは目を細めた。


「いいえ。私はいつも通り整えただけ」


「整えただけ?」


ルナが水に指先を入れる。


「……魔力濃度が上がっているわ」


レイナが首をかしげる。


「え? それって強くなってるってこと?」


エリシアは静かに頷いた。


「この水で育った作物は……質が一段上がるわね」


全員がハルを見る。


ハルはきょとんとした。


「え、俺?」


「昨日、何をしたの?」ルナ。


「普通に精霊たちに“いつもありがとう”って言っただけだけど」


沈黙。


エリシアがぽつりと呟く。


「……精霊との同調率が上がったのね」


「え?」


「ハルが森に認められている、ということよ」


レイナが笑う。


「なんだよそれ、ずるくない?」


ハルは困った顔をする。


「いや、俺そんな大したことしてないけど」


ルナがくすっと笑う。


「無自覚なのが一番たちが悪いのよ」


数日後。


収穫。


米も、野菜も、果実も。


明らかに質が違った。


艶。


香り。


魔力の乗り。


バルドが腕を組む。


「これ、交易に出したらえらいことになるぞ」


エリシアも真顔だ。


「王都クラスの品質」


レイナが目を輝かせる。


「やばくない? うちの村、最強じゃない?」


ハルは首を振る。


「いやいや、そんな大げさな」


だが――


森の外。


とある商人が呟く。


「……なんだ、この作物」


「魔物避けの効果まであるだと?」


「精霊の森……?」


ざわり。


外の世界が、気づき始める。


夜。


小屋。


ルナがぽつりと言う。


「ハル」


「ん?」


「あなた、自分がどれだけ特別か分かってる?」


「いや、分かってない」


即答。


ルナはため息をつく。


「森に愛されすぎなのよ」


レイナが笑う。


「ほんとそれ」


エリシアも静かに頷く。


「森が“中心”に据えた存在ね」


ハルは困ったように笑う。


「でも俺、やりたいのは静かな村づくりだよ?」


ルナが近づき、小さく囁く。


「だからこそ、皆がついてくるの」


レイナが横から言う。


「でもさ」


「ん?」


「もし外が本気で欲しがったらどうする?」


静かになる。


ハルは少し考え、やがて笑った。


「その時は守るよ」


「この森も、みんなも」


その一言で、空気が柔らかくなる。


ルナが微笑む。


レイナが頷く。


エリシアが目を閉じる。


精霊たちが、ふわりと光る。


その夜。


森は静かに囁いた。


“主を定めた”

精霊の森は、ただの村ではなくなりつつあります。


けれどハルの願いは変わりません。


静かに育てること。


それが一番強い。


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月灯り庵

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