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異世界転生した俺は精霊に愛されすぎて、静かに村を育てます  作者: 月灯り庵


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精霊たちのひみつ会議

今回は“精霊視点”のほのぼの回です。

森を支える小さな存在たちの、小さな会議でした。

ふわり。


朝の光の中、小さな光が揺れた。


それは風の精霊、ルチアだった。


「おきてる? おきてる?」


木の上から、ぽわん、と光が弾む。


水の精霊が池から顔を出す。


「まだ、ねむい……」


土の精霊は地面の中で、もぞもぞしている。


でも今日は、大事な日だ。


「きょうは、ハルの“にこにこ”をふやす日だよ!」


ルチアがくるくる回る。


精霊たちはざわざわと集まった。


ハルは今日も畑にいる。


「うーん、ちょっと葉っぱが元気ないな」


しゃがみ込んで、苗を見つめている。


それを、木の上から精霊たちが見守っていた。


「がんばってる」


「まいにち、がんばってる」


「えらい」


精霊たちは、ハルが好きだ。


森の声をちゃんと聞いてくれるから。


「ちょっと、てつだう?」


水の精霊がぴょんと跳ねる。


「すこしだけだよ。やりすぎ、だめ」


エリシアに言われたことを、精霊たちは覚えている。


“支えるけれど、奪わない”


それが約束。


ふわり。


ほんの少しだけ、水の巡りをよくする。


そよそよ。


風をやわらかく通す。


ぽこ。


土を少しだけやわらかく。


ほんの少し。


ほんの少しだけ。


ハルが首をかしげる。


「あれ? さっきより元気になってる?」


精霊たちは一斉に止まる。


「ばれた?」


「ばれてない」


ハルはにこっと笑った。


「ありがとうな」


その一言で、精霊たちは爆発した。


「きいた!?」


「いま、ありがとうっていった!」


「やったーー!」


くるくる、ぴょんぴょん、きらきら。


森がほんの少し光る。


その頃、ルナは畑の端で野菜を見ていた。


「この子、少し弱ってるわね」


ルナが葉をそっと撫でる。


精霊たちは集まる。


「るなも、やさしい」


「このひと、つめたいけど、あったかい」


ヴァンパイアの魔力は静かで深い。


精霊たちは、その魔力が嫌いじゃない。


むしろ、安心する。


レイナは見回り中。


「よし、今日も異常なし!」


元気な声が森に響く。


風の精霊がくすくす笑う。


「このひと、うるさい」


「でも、すき」


「つよい」


レイナが笑うと、森の空気が明るくなる。


それが精霊たちは好きだった。


夕方。


精霊たちは再び集まる。


「きょうの“にこにこ”は?」


「ハル、三回わらった」


「るな、二回ほほえんだ」


「れいな、いっぱい」


満足げに、光が揺れる。


「せいれいのもり、へいわ」


土の精霊がぽつりと言う。


みんな、しんと静まる。


そして、ふわりと頷く。


夜。


ハルは空を見上げる。


「今日も、いい一日だったな」


その上で、精霊たちは小さく光っている。


人間たちは知らない。


この森が少しだけ穏やかなのは、


小さな存在たちの、ひみつの会議のおかげだということを。


「また、あしたも“にこにこ”ふやそう」


「うん」


「うん」


精霊たちは、やさしく光りながら、夜の森に溶けていった。

人が主役の物語ですが、

本当は見えない誰かに支えられている。


精霊たちは、森の呼吸そのものです。


次回も、精霊の森の穏やかな日常をお届けします。


月灯り庵

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