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異世界転生した俺は精霊に愛されすぎて、静かに村を育てます  作者: 月灯り庵


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偶然という名の揺らぎ

森周辺で“偶発的な事件”が起きる回です。


直接壊さない圧。


森は怒らず、整えます。

朝の水路が、濁っていた。


ほんのわずか。


だが森では、それは異常だ。


ミナが立ち止まる。


「流れが、乱れてる」


カイが水面を覗く。


「昨日までは、澄んでた」


精霊が、低く揺れている。


不安ではない。


警戒。


上流へ向かうと、倒木が水を塞いでいた。


自然の風倒か。


それにしては、切り口が整いすぎている。


レイナが木肌を撫でる。


「……刃物だな」


誰かが入った。


森に。


「敵意は感じない」


エリシアが言う。


「でも、試している」


水を止めれば、畑は乱れる。


作物は弱る。


小さな揺さぶり。


森を直接壊さない圧。


ハルは木を見上げる。


怒らない。


焦らない。


「戻せばいい」


短い言葉。


レイナが笑う。


「それだけか」


「壊れない形を選ぶ」


いつも通り。


ドワーフたちが道具を持つ。


エルフが角度を測る。


水路を一度止める。


流れを変える。


力任せに押し返さない。


整える。


子どもたちも手伝う。


小さな石を運ぶ。


バルドが支える。


ミナが凪を保つ。


ソラが揺り籠から声を出す。


「あー」


精霊が、水を導くように揺れる。


数時間後。


水は再び澄む。


流れは前よりも安定している。


レイナが肩を回す。


「壊れなかったな」


「壊してないからな」


ハルが言う。


森は、壊されなかった。


強く抵抗したからではない。


乱れなかったから。


その頃、王都。


商業院副長のもとに報告が届く。


「森は通常運転」


副長は眉をひそめる。


「水路の揺さぶりは?」


「復旧済み。影響なし」


静かな苛立ち。


森は反応しない。


怒らない。


抗議しない。


それが最も扱いにくい。


王女リシェリアも報告を受ける。


「事故?」


「記録上は」


王女は目を閉じる。


森は怒らなかっただろう。


騒がなかっただろう。


だが確実に見ている。


夜。


丘の上。


ハルが空を見る。


「来るなら、正面から来い」


小さく呟く。


精霊が穏やかに揺れる。


森は揺らがない。


水面は澄んでいる。


だが、水の下では波が続いている。

壊れないとは、壊されないことではありません。


壊されても、整え直せること。


森は今日も揺れません。


―― 月灯り庵

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