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異世界転生した俺は精霊に愛されすぎて、静かに村を育てます  作者: 月灯り庵


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王の視線

王が森に興味を示す回です。


強硬ではなく、観察。


森はついに王の視界に入りました。

王城、謁見の間。


高い天井に光が落ちる。


その中央に座るのは、この国の王――エドゥアルド。


年は五十を越えているが、目は鋭い。


その前に、商業院長と学術院代表が立っていた。


「精霊の森、ですか」


王は穏やかに言う。


怒りも焦りもない。


ただ、興味。


「港町が継続を宣言」


「組み込まれず、敵対もせず」


報告が続く。


王は静かに聞く。


「森は拡張していないのだな」


「はい」


「徴兵もせず、囲い込みもせず」


「はい」


王は指先で玉座の肘掛けを軽く叩く。


「ではなぜ、広がる?」


誰も即答できない。


思想。


在り方。


だがそれは報告書には書きにくい。


学術院代表が言う。


「教育の在り方が、静かに支持されています」


「子ども中心の循環型思想」


王は小さく笑う。


「思想ではなく、暮らしだろう」


報告書を閉じる。


「危険か?」


商業院長が慎重に答える。


「今は、いいえ」


「だが制御不能です」


王は目を細める。


「制御する必要があるか?」


沈黙。


王は立ち上がる。


窓の外に王都が広がる。


秩序と規律。


だが硬直もある。


「森は、秩序を壊していない」


「むしろ補っている」


「港町は荒れているか?」


「いえ」


「交易は滞っているか?」


「いえ」


王は小さく頷く。


「ならば、観察せよ」


命令はそれだけ。


「触れるな」


強硬派が顔をしかめる。


「しかし陛下――」


王は振り返る。


「揺れないものは、無理に動かすな」


「揺らせば、波が立つ」


静かな王の判断。


敵にも味方にもせず。


だが興味は持つ。


その夜。


王は私室で書簡を読み返す。


森からの返書。


簡潔。


礼節。


拒絶。


「……面白い」


王は小さく呟く。


「暮らしを守るのみ、か」


玉座ではなく、生活を守る者。


それは、脅威にもなり得る。


だが同時に――


国の未来の形かもしれない。


森。


いつも通りの夜。


ハルが丘に立つ。


ソラが眠る。


ミナが静かに本を閉じる。


カイが光に触れる。


森は王を知らない。


王も森を知らない。


だが視線は交わった。


それは戦いではない。


ただ、未来を見る目だった。

力よりも怖いのは、理解です。


王は森を敵にしませんでした。


ですが、見ています。


森は今日も、変わらず在ります。


―― 月灯り庵

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