危機感ビンビンビンビンビンビンビンビン……チクッ
ちくしょう!!1分遅れたッ!!
女王はもう数回だけドスケベ復唱したあと、立ち話もなんですから、と言って自然に一行を屋内へ招いた。シックな内装の食事会場には、半透明のファンタジー謎素材でこしらえられた円卓と、すこし薄暗いほどに抑えられた照明、あとは威圧感を与えない程度の近衛騎士が配置されており、それら全てを包み込むように、食欲をそそる香りが漂っていた。
席は、女王とドスケベ催眠おじさんが対面で。ドスケベ催眠おじさんの両隣に、従者のリナとケヴィンがつく形となった。
ドスケベ催眠おじさんが、ふと女王の背中の壁際に目をやると、いつぞやの近衛対魔騎士オーギルが立ったまま控えており、無言ながらニコリと微笑みかけてきた。出会いは緊張の極致であったが、それでも知った顔を見かけると不思議と安心する。
一行が席についたのを確認すると、女王はドスケベ催眠おじさんに問いかけてくる。
「コース料理がお好きですか? それとも一度に運ばれてくるほうがお好み?」
「お、お任せします」
「ふふ。では、ゆっくりお話しできるほうにしましょう」
女王が合図すると、まずは飲み物と、小皿に乗った、なんか……なんかオシャレな小さめのやつが出てきた(一般人おじさんの高級料理に対する認識なんてこんなもんである)。
地球でいうなら、つきだし、あるいはアミューズとでも呼ばれるものだろうか。お菓子みたいな見た目のサクサクしたそれを口に運ぶと、意外なことに、一般人おじさんいわく「おさかなの味がした」。
「おいしい……」
「喜んでいただけて何よりです。よろしければ食前酒も召し上がって。私が選んだものなんですよ」
「それはそれは……いただきます」
ドスケベ催眠おじさんはグラスを傾けた――直後、口に含んだ酒をアイテムボックスに収納する。「接触」さえしていれば、舌でも唇でも、どこでも収納できるのだ。
空っぽになった口をモゴモゴ動かし、喉だけ鳴らして飲んだふりをする。女王の行為を無下にするようで心苦しいが、ここで酔うわけにはいかない。
「お連れの方々もどうぞ。対魔騎士であれフリーの魔術師であれ、ここでは等しくお客様なのだから」
「ありがとうございます。では遠慮なく、いただきます」
リナとケヴィンも席につき、おさかなの味がするサクサクを口にする。それはサクサクで、おさかなの味がした(二人もさほど高級料理に詳しいわけではないのである)。
「ドスケベサイミンオジサン様、お酒は口に合いましたか?」
「はい、とても……飲みやすくて美味しいです」
「ごめんなさいね、感想を催促するような真似をして。実家が酒場なもので、どうしても気になってしまうんです。あまり語ると煙たがられてしまうので、普段は抑えているんですが……」
女王マリィは首をすこし傾けて、花ほころぶような笑みを浮かべ言葉を紡ぐ。
「今日は少しだけ……素のアタシを出してもいいですか?」
もし円卓の直径のぶんだけ距離をとれていなかったら、ドスケベ催眠おじさんは一瞬でオチていたかもしれない。それほどマリィスマイルの破壊力はすごかった。
しかしドスケベ催眠おじさんはドスケベではないノーマル理性おじさんだったので、なんとかこれに耐えることができた。脳内でナメクジを数えて自分を落ち着かせ、緊張しながらも無難に受け答えをする。
「そうですね、こちらも……腹を割って話し合っていければなぁと、考えております。ハイ」
「嬉しいです。そういえば、勇者様のお名前は三分割できるんでしたよね? 親しみを込めて略称で呼んでもかまいませんか?」
「えっ、あっ、まぁ。呼びやすい感じでアレして頂いていいです」
こちらとしても、発音のおぼつかない女王に長々としたフルネームを毎回唱えさせるつもりはない。むしろ変な部分を省略してくれるなら有り難いと、ドスケベ催眠おじさんは快諾する。
「じゃあ、ドスケベさんって呼びますね」
どうしてよりによって三つの中から一番ダメなところを選ぶんだ……! 「オジサンさん」、せめて「サイミンさん」ではいけなかったのか……! ドスケベさんは唇を噛み締めた。
「そんな……愛称だなんて……許されるはずが……」
女王にのみ許される暴挙に、リナは愕然とする。消え入りそうな声で呟く彼女の脳細胞からは、ドスケベ催眠おじさんをフォローすることなど消え去っている。もはや味方は居ないのか。
「おい、雲行きが怪しいぞ。もうちょっと色気のない話題に変えろ」
唯一、耳元で建設的なアドバイスを囁いてくれるケヴィン。出自や愛称の話題で「お近づき方向」に傾き始めた流れを、どこかで適切な距離感に戻さねばならない。
「アタシのことは気軽にマリィって呼んでくださいね」
「ま、マリィ女王陛下」
「うーん?」
「マリィ様……」
「んんー?」
マリィはよく聞こえないとでもいうように、耳に手を当てて待っている。
「マリィ……さん……」
「ふふふ。はい、なんですか」
まぁ合格にしてあげようとばかりに「さん付け」で手を打ってくれたマリィを、ドスケベ催眠おじさんはまっすぐ見据え……るのはちょっと恥ずかしくて無理だったので、円卓の隅っこに目線を逸らしながら懸命に語る。
「まずはお招き頂き、ありがとうございます」
「どういたしまして。当然のことですよ」
「あの、ですね。多分、わざわざこうして頂けるからにはきっと、おそらく女王としてのその、深いお考えがあってのことだと思います」
どこまで距離を置いてよいものやらと、思案しながら話しているので、どうしても拙い口調になってしまう。
「僕もね、曲がりなりにも、勇者と呼んでもらえる恵まれた立場にあって。出来る限りはムートポスに貢献して、還元していきたいと、そう思ってはいるんです。クソツヨナメクジの件も、実は身内を助けるためだけじゃなかったりして……」
「地下水路で何かが起きて、王都民の生活が脅かされることを心配してくれたんですか?」
「そんな感じです。まぁアレは主人である僕の不始末といっちゃあそれまでなんですけど、とにかくムーとポスの人たちが、女王様――マリィさんが助けを求めることがあれば、応えるのも当然かなと思っています。あっ、でも!」
ドスケベ催眠おじさんは遠回りしながら、一番言いたいことへと少しずつ近づいていく。
「魔王や邪神のいなくなった世界で、どうしても僕が戦わなきゃならない場面ってホントにあるのかな? とか、転生初日にリナさんとも話してて……それで思ったんです。貢献したいあまりに出しゃばって、無駄に身を削ったりするのもなんか違うなと。要するにですね」
紆余曲折を経て、ようやく結論に辿り着いた。
「何かお願いされたら協力はしますけど、なるべくお手柔らかにして頂ければなぁ……と」
◎ ◎ ◎ ◎ ◎
ドスケベ催眠おじさんが言い切ったあと、数秒、穏やかな沈黙があった。
――やるじゃん。
ケヴィンは音を出さずこっそり口笛を吹くまねをした。話題を変えろとは言ったが、まさか前菜も食べ終わらないうちに核心に切り込める度胸があるとは期待していなかったのだ。
言った本人としては度胸というよりむしろ「始めてしまったらどこでやめていいのか判断がつかなくてノーブレーキで結論まで走ってしまった」ぐらいの認識だが、どちらにせよ、女王に妙なことを言われる前に「無理な要求はするなよ」と釘を刺せたかたちになる。
ただ、いきなり長々と自分語りをしてしまったことで、空気が悪くならないかは少し心配である。
ケヴィンの注意深く見守る先で、女王は頬に手を当て、瞳を閉じてゆっくりと頷いた。
「……なるほど、なるほど。つまりドスケベさんは、平穏な生活をお望みなのですね」
顔を上げた女王マリィは、相変わらずたおやかに微笑んでいた。
「それで一国の王に食事など誘われてしまったものだから、何か裏があるんじゃないかと心配になってしまわれたと」
「裏というかそのぉ……まぁハイ、正直そういう邪推もありました。すみません」
「いえいえ、こちらも不安を解消する努力を怠ってごめんなさい」
マリィは次の料理を持ってくるようサインを出しつつ、柔和な笑みで語りかける。
「ご安心ください。元よりこの席は親睦を深めるために開いたもので、具体的に見返りを求める意図はありませんでした。もちろん仲良くさせて頂けるならそれが一番の見返りですけど、ね?」
マリィは冗談めいた声色で口に手を当てて笑った。
「それはおいおい、自然な時の巡りを待てばよいだけの話です。難しい駆け引きなんて抜きにして、今日は気軽な世間話でもして終わりましょう」
二品目の前菜が置かれたとき、ドスケベ催眠おじさんは、おおむね話が穏便な方向へ進んでいることに、ひとつホッと息をついた。
駆け引きがないなら、単に美人のお姉さまとお話をするというだけのこと。クセモノの女王を相手に立ち回るという意識から解放され、ドスケベ催眠おじさんはようやく肩の力を抜いて話せるようになった。
「転生してから、ドスケベさんはよく眠れていますか?」
「はい、おかげさまで! ベッドが良いんですかね。ムートポスの職人さんってすごいなぁ」
「光栄です! アタシの贈ったもので快適に過ごしていただけたなら」
「ッ!?」
ドスケベ催眠おじさんはむせかけた。その反応を見て、マリィはリナの方を向いた。
「あら? リナさん、あなた言ってなかったの?」
「もらいものだとは言いましたね」
チーズを挟んだ何かの果実をモグモグしていたリナは、なんでもないことのように返事をする。
ドスケベ催眠おじさんは泡を食った様子でリナに問う。
「えっえっえっリナさん、あのキングサイズのベッド、女王陛下からの贈り物だったの……!?」
「そうですよ。私が転生術式の勉強を頑張っていたら、『もし成功したら勇者様に使ってもらいなさい』ってベッドをくれたんです」
「リナさんの家の広さまで計算に入れてなかったので、一度分解してから中で組み立てるはめになりましたけどね。それだけの価値はあったでしょう?」
言えない。例のキングサイズベッドは、転生から何日もしないうちにアイテム扇風機でズタズタにしてしまい、今はアイテムボックスのなかでゴミになっているなんて、女王の前で言えるはずがない……!
「すすす、すみません……! 全然知らなくて……! ありがたく使わせて頂きました、ホントよかったです……!」
いちおう過去形で表現したから嘘ではない。
「ふふふ、いいんですよ。その分だと、軍服も意図して着てくださったわけでは無いんですね?」
「アッ、この服も……! 重ね重ねお世話になりまして……! リナさんどうして教えてくれなかったんですか……!?」
リナは女王のそれともまた違う、ふんわりと舞うようなスマイルで答えた。
「ドスケベ催眠おじさん様は世界の中心ですから。あなたがムートポスで手にするもの、口にするもの、それらを誰が作ったかなんて気にかけて頂く必要はないんですよ」
柔らかく言っているが要するに「主役は勇者なんだから『その他大勢』が何してようが些事に過ぎないダルルォ!?」という強火の英雄オタクしぐさである。
なお当のリナは毎食「いただきます」をきちんと言って食材や生産者への感謝を伝えられる良い子なので、余計に屈折した勇者崇拝が強調されてしまう。
「お゛ッ……おお……一理あるね……」
女王はあまりに堂々したリナの態度に面くらって地声が出てしまった。この場の誰よりも歳下なのに「思想」が強固すぎて若干引いた。
◎ ◎ ◎ ◎ ◎
時は経ち、メインの魚や肉もひととおり食べ終えて、シメのお茶とミニケーキをしばいたところでお開き……とはならず、腹を落ち着かせる意味もあってしばし歓談が続く。
「それでよぉ……そんときドスケベ催眠おじさんがよぉ……うっぷ……」
「すみません、ウチの情けないセンパイがベロベロになっちゃったんですけど洗い場お借りできますか?」
「こちらへどうぞ」
肉料理についてきた睡神時代の熟成ワインにノックアウトされてしまったケヴィンが、リナとオーギルに連れられて一時退席し……
「うふふ、二人きりですね?」
「あ、はは、そうですね……」
正確には他数人の近衛対魔騎士が控えているのだけれど、ドスケベ催眠おじさんはひとりでマリィと向き合うことになった。
「そう固くならないでください。何も取って食おうってわけじゃないんですから」
マリィはおもむろに立ち上がり、リナが座っていた席――ドスケベ催眠おじさんの隣へ腰掛けた。斜めに揃えられた両膝が、ドスケベ催眠おじさんの方を向いている。
「もう敬語もやめていいかな? うん、あなたはそれで大丈夫なヒトだって気がする」
急激に砕けたマリィの口調にドスケベ催眠おじさんは目を見開いたが、彼女の言う通り、ドスケベ催眠おじさんはそれで気分を害するたちではなかった。
そばに控えた近衛対魔騎士たちも女王の素顔は知り尽くしているらしく、特に咎める様子はない。
「何度も言うけど田舎の出身でさ。ホントは女王なんて似合わない村娘なんだよね」
深い親しみの込められた声色に、ドスケベ催眠おじさんの胸はついつい高鳴ってしまう。
「……僕もです。ホントは勇者なんて似合わない小物で」
「だよね。なんとなく察してた。あなたはもっと庶民的で、ゆるい世界が好きなヒト」
女王として取り繕うのをやめたマリィの顔を改めて間近で見てみると、その目元にはうっすらと、化粧でも隠しきれないクマが見える。
知略に長けた女傑か、あるいはバリバリ働く女上司か――否。今ここにいる彼女は、疲れたOLさんという空気を滲ませていた。
「勇者でもあるモンなの? 何を成し遂げた自覚もないのに、急に舞台にあげられるってことが」
「そんなのばかりです」
「やっぱりかぁー」
マリィは靴を半分だけ脱ぎ、脚をゆらゆら揺らして、かかとをパカパカさせる。
「神の使徒でもそんなんなら、ただの人間なんて推して知るべしってヤツだよね」
「僕も中身はただの人間ですよ」
「んっ、ごめん、バケモノ扱いする気はなかった。あくまで建前上そうなってるってだけね?」
「わかります」
マリィは横向きに椅子にしなだれかかり、背もたれに肘を乗せ、腕に顔を埋めるようにして、崩れきった姿勢で、瞳だけくるりとこちらへ向けている。
「アタシもねー、ただの人間、ただの田舎娘として、適当に働いて、適当に男つかまえて、適当にガキ産んで適当に死んでくと思ってたよ」
ドスケベ催眠おじさんは静かに相槌をうち、耳を傾ける。
「それがさ、女王になっちゃうと、適当ではいられなくなるんだ。なにもかも」
特に使命を与えられたわけではないドスケベ催眠おじさんと違って、マリィの心労は相当のものだっただろう。
「だからね、まだ自由でいられる選択肢が残ってるドスケベさんのことは、応援したいと思ってる。生活費の支援でも、武器とかの融通でも、可能な範囲でお手伝いするよ」
マリィの申し出を聞いていて、ふと、ドスケベ催眠おじさんの脳裏によぎることがあった。
「あっ、思い出した。リナさんたちと考えて、マリィ女王……ッさんに、手土産を用意してきたんです。ちょっと可愛げのないものなんですけど、受け取ってくれますか?」
「なにそれ、普通に嬉しい。見せて見せて」
ドスケベ催眠おじさんはアイテムボックスから、長さ一メートルばかりの包みを取り出した。
「市販品だと女王様は間に合ってるだろうし、僕の持ってるものの中から、ってことになりまして。気の利いたアクセサリーでもあれば良かったんですけど、残念ながらこんなものしか」
「これ……武器?」
「そうです。安全は確認してありますが、一応騎士さんに確認してもらったほうがいいですかね?」
ドスケベ催眠おじさんは包みを近衛対魔騎士に託し、代わりに解いてもらった。
現れたのは、ぎらりと鈍い光沢を放つ無骨な猟銃。
【聖銃『極大清浄風穴』+99】
ドスケベ催眠おじさん秘蔵のコレクションのなかでも、比較的ドスケベ成分控えめの銘をもち、かつ、ほどよい実用性も備えた逸品。
銃のカタチをしてはいるものの、実状は杖や石板と同じ魔法の補助具である。使用者の魔力を込めて射出するので、弾薬は必要としない。
凝り性のゲーマーが大量のリソースを注ぎ込んで鍛えただけあって、単純な品質だけで王家への捧げものに足るだけの価値となっている。
「うわぁ……これ国宝級でしょ? アタシみたいな素人でも分かるよ。ホントにもらっていいの?」
「はい。僕には活かしきれないものなので、国で
武器スキルは「射程延長」および「必中」――離れた敵でも、撃てば必ず当たるというもの。例えば遠距離から《スヌーズバレット》で狙撃するような限定的場面なら役に立つが、ドスケベ催眠おじさんの普段のスタイルには微妙に噛み合わないので、譲ってしまっても極端な戦力低下にはならない。
「ありがとう。ドスケベさんだと思って大切にするね」
あまり象徴的な意味を込めて欲しくないから剣や盾を避けたのだが、無駄だったらしい。マリィは包みに入れ直した聖銃を両腕でギュッと抱きしめて微笑んだ。
「そーだ。アタシからもプレゼントというか、オススメの話があるんだけど聞いてかない?」
「オススメ、ですか?」
「うん。ムートポスに貢献しながら、あなた自身も平穏無事に暮らせる優良案件だよ」
そんなおいしい話があるなら是非とも伺いたい。ドスケベ催眠おじさんが頷くと、マリィは淀みなくすらすらと語り始めた。
「王城の空き部屋に住み込みで働いてもらうんだけど」
「働くといっても三日に一晩くらいで十分で」
「あとの時間は寝てても外を散歩しても良くて」
「生活に必要なものは全部揃ってて」
「ドスケベさんの体格に合うベッドもあるし」
「おいしいもの毎日食べられるし」
「ついでに女もいる」
「そんな就職先が用意できるよ」
ここまで聞いたドスケベ催眠おじさんは、わずかな、しかし明らかな違和感を覚えて首を傾げた。
「……んん??? いくつか聞いてもいいですか」
「どうぞ」
疑問は主に三点。
「王城の空き部屋って?」
「先代女王の寝室。大丈夫、化けて出たりしないから」
「三日に一日じゃなくて、一晩?」
「うん。早けりゃ五分ぐらいで終わるよ」
「……ついでにいる女って」
「マリィって女。意外と尽くすタイプ」
ッスウゥー……と細く長く息を吸ったドスケベ催眠おじさんは、そのままゆっくりと天井に目を逸らし、音を立てないよう慎重に立ち上がって、誰にともなく棒読みで言った。
「あー……ちょっと……手を洗いに行きたいなぁ……」
「一部屋しかない洗い場は今ケヴィンくんが使ってるよ」
マリィはそっと、ドスケベ催眠おじさんの服の袖を親指と人差し指でつまんだ。たった二本の指によるさりげない握力が、万力より強固に彼を拘束する。
「ここでお返事……くださるかしら?」
「あ゛ぁ亜アア゛ァ嗚呼!? 助けてクソツヨナメクジぃーッ!!」
外の庭園から大挙して押し寄せたナメクジパーティーにより、本日の会食はお開きとなった。
2023/9/17追記
今気づいたけど人間がウンコしない世界観のくせに普通にトイレとか言うてしもとるやんけ。草。
まぁ「ゲロ処理ができて退室の理由にもできる場所」であれば大筋に影響はないので、
「洗い場」(※手洗い・洗面・入浴などの概念は存在する)とでも直しておきます。




