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八車真奈/西園寺星華<上>

お久しぶりです。本日で21歳になりました。

スローペースどころか生きているのかどうかすら分からない更新速度で申し訳ないのですが、これからもどうぞひっそりとよろしくお願いします。


忘れてる方も多いと思うので、簡単に前回までのあらすじ。

悪役令嬢が悪役らしい仕事をしようとしたら失敗した挙句、なぜかクラスメイトに呼び出されて謝られた。一体どういうこったい。

そして今回、星華出てきません(笑)



(どうして、こんな面倒な事になったんだろう……)



 その日の放課後。私こと八車真奈は心の中でそんな事をブツブツと呟きながら、社会科準備室の物陰に息をひそめて隠れていた。

 教室の隅に山積みにされたくさんの資料は隠れる場所としては最適だが、なにせ物の置かれ方が乱雑なので、間違って音を立ててしまったらどうしよう……と少しヒヤヒヤもしている。



「まったく……なんだって私がこんな事に」



 私は教室へ近づいてくる足音に注意深く耳を澄ませながら、小さくボソリと呟いた。




***




 そもそもの始まりは、友達の長谷川真凛が持ちかけてきた相談だった。



「ねぇねぇ真奈ちゃん!星華ちゃんと西山くんの仲をもっと近づけるためには、どうしたらいいと思う!?」


「……は?」



 私はその唐突な質問に、思わず間抜けな声を出してしまった。

 ……よくよく話を聞いてみると、なんでも真凜はオリエンテーション合宿の最後にあった『交流パーティー』で西山君とペアになった際、色々と話しをしたんだそうだ。

 その中でも西山君が最も悩んでいたのが、、『いかにして星華を振り返らせるか』だったそうで。



「そこで、新聞部で情報通の真奈ちゃんに手伝ってもらおうと思ったの!」


「……具体的には何を?」


「あのねっ、星華ちゃんに『私と西山くんが最近アヤシイ』って噂を流してほしいの!」


「はぁ。……それで?」


「もー、察しが悪いなぁ!つまり、そのウソの噂話を利用して星華ちゃんにヤキモチを妬かせるんだよっ!題して、『ウワサ話で星華ちゃんを妬かせちゃうぞ大作戦』!」


「作戦名なっが!?しかも意外とセンスないね!?……っていうか、その作戦って星華ちゃんが西山君のこと好きじゃないと成立しないんじゃ?」


「そこについてはノープロブレムだよッ!」



 やけに自信満々な彼女はそう言って親指を立てると、めちゃくちゃいい笑顔でキッパリと言い切った。



「断言しよう――星華ちゃん、絶対に西山くんのこと大好きだよ!!」



 ……というわけで、星華の強引なプッシュと『星華の反応が知りたい』という西山君の依頼により、『ウワサ話で(ry大作戦』を決行する事になった。

 まぁ個人的にも二人は両想いだと思っていたし、予想通りの反応が返ってくると予測して私も実行に移した。のだが。



『素晴らしいですわ!』



 ――ものすんごい予想外どころか、なんと予想の斜め上を行く『大喜び』というリアクションを取られてしまった。



「……ちょっと、どうすんのよコレ」



 その日の放課後。真凛のクラスに集まった私、真凛、西山君の3人は、夕闇の差し込む教室で揃って頭を抱えていた。



「なんでだ……?俺、そんなに嫌われてる……?」


「おっかしいなぁ、絶対大丈夫だと思ったのに……。なんで上手くいかなかったんだろう……」


「あーはいはい。失敗を悔やむのは後にして、とりあえず今は今後どうするか考えよう?ほら真凛、眉間にシワ寄せないの。西山君も普段の言葉遣い崩れてるよー」



 暗い雰囲気で肩を落とす二人を宥めすかし、私は強引に話し合いをはじめた。

 そうして、判明した衝撃の事実は――



「えぇっ!?西山君、星華ちゃんにちゃんと告白してないの!?」


「告白してないっていうか……そもそも婚約が先だったというか……」


「あー……そこは盲点だったわ」



 私はそう呟くと、溜息をつきながらガリガリと頭を搔いた。

 ――一般人である私と真凛の常識としては、付き合っている二人が結婚を前提にするのが『婚約』だ。だからこそ二人が婚約者だと聞いた時、『二人は付き合っているのだろう』と思っていた。

 『振り返らせる』という今回の目的も、『きっと倦怠期か何かで遠ざかった距離を縮めたい』とかそういう意味だと解釈していた。

 だが、実際は告白すらしていなかったとは……!



「……こりゃ、作戦も失敗するわけだわ」


「うぅ、勝手に勘違いして突っ走っちゃった……。ごめんね西山くん」


「…………いや、まぁ、大丈夫だよ。むしろ今回のことで俺が星華にどう思われてるか分かったし、これからしなきゃいけない事も判明したわけだし……」


「そうね。とりあえず、西山君は星華ちゃんにちゃんと自分の気持ちを伝えるのが先。あと今回のことは、私が掴んだガセネタだったって事にして星華ちゃんにちゃんと説明すれば……」



 その時、不意に私のケータイがメールの着信を告げた。



「ん?誰よこんな時に……」



 思わずブツクサと呟きながらケータイの画面を見れば、そこにはなんと『西園寺星華』の文字が。

 慌ててメールを読めば、そこには噂話について教えてくれた事へのお礼と、いつどこでならその現場を目撃できるかを教えてほしい……という事がかなり遠回しに書かれていた。



(あれ?さっき言われた時はすごい喜びようだった上に西山君には全く興味の無い感じだったのに、なんで今更わざわざこんな事聞くんだろう?)



 なんだか違和感を感じた私はそのメールに思わず首を傾げ――そして次の瞬間、思い至った可能性にサッと顔を青ざめさせた。



(ちょっと待って、これってすごくマズいんじゃないの……!?)



 私はその文面を見つめながら、思わずゴクリと喉を鳴らす。

 私の考えた事、それは――『星華ちゃんが、西山君との婚約解消を目論んでいる』という可能性だった。




本当は上下に分けるつもりなど無かったのですが、下半分のデータが吹っ飛んで書く気力がごっそり消えたためにこうなりました。

申し訳ありません。

次の更新はなるべく早くお届けできるように頑張りますので……!(必死)

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