またですか
お久しぶりでございます。
あとがきにお知らせがございます。呑気なものではないので、できればお読みいただけると、いいかと。
ふわ、と頬が撫でられた気がして目を開ける。ぼんやりした視界が捉えたのは綺麗な青。
「えっ!?」
飛び起きて辺りを見回す。そこは確かに森だった。けれど、アルギュロスの昼寝スポットでもなければアルギュロスもいない。
「ここどこだ」
なんか前にも似たようなことあったなぁと呑気に考えた。慌てないのは、アルギュロスの気配が感じられるからだ。姿は見えないけれど、すぐそこにいる。そんな感じ。
「アルギュロス様~?」
こっちかな、と思う方向にずかずか歩いて行く。いつものように木の裏を確認しながらだ。ところが見つからないまま、目の前に柵が現れた。
「なんだこれ」
柵に沿って歩いてみると、隙間からちょくちょく中の様子が窺えた。どうやら村があるらしい。なら門もどこかにあるだろうと思っていたら、間もなく門に出くわした。左右に槍を持った男が立っている。
「あのー、すみません」
声を掛けたが視線もくれない。
「もしもーし。たのもー。ってさすがに無視しすぎでしょ」
男を軽く叩いてみた……いや、叩けなかった。
すかっ。
見事に通り抜けた。ついでに何回か試してみたが、一度も男に触れることはなかった。なんとなく気持ち悪くなった右手をひらひら振り、次は自分の頬を引っ張った。……痛くない。夢確定。
また一月寝込むとかになったらどうしよう、と思い始めたところで、男がふっと視線を動かした。私もその視線を追って振り返る。
「ソレイル、マルス。お帰り。どうだった?」
男が声を掛けると、彼らは笑って両手の獲物を掲げた。
「ただいま。まあ、成果はぼちぼちってとこだけど」
「ただいまー! なんか近頃、獲物少ねぇよなー」
二人共ヘーゼルの瞳と赤い髪で、顔立ちが似ているから兄弟なのでしょう。けれど、見過ごせないことが一つ。私は見えないことをいいことに、ソレイルと呼ばれた青年に近づいて真正面から顔を覗き込んだ。
「アルギュロス様……よね。雰囲気違うけど、ドッペルゲンガーってくらいそっくり」
ずっと見ていたくなるような、瞳の中で踊る炎もない。それでも鼻筋の通った涼しげな顔だとか、目を細めて笑うと全体の印象が和らぐ感じだとか、話し始める時にほんの僅かに首を傾ける癖だとか。
でも、どう見ても人間……よね?
まじまじと見ていて、会話が終わったのに気づかなかった。ソレイルが歩き出して、顔がぐっと近づいた。
「ひわっ!?」
変な声を上げてしまったけれど、ソレイルは私をすり抜けていった。そうだった私今幽霊なんだわ。
で、この夢はいつ覚めるのでしょうね?
ただ待っているだけというのも暇だろうし、私はソレイルとマルスを追いかけた。
【お知らせ】
次話「そうして貴方は」には火事の表現が出てきます。
設定上譲れない、の、ですが、連日報道されていたことに私自身直接は関係していないものの、とてもショックを受けています。
その為、掲載はしばらく控えさせていただいて、次の次の話を載せたいと思います。
「そうして貴方は」は……落ち着いたら載せたいと思っています。予定は未定です。
身勝手な都合ではありますが、どうかお許しください。
いつもお読みくださる方々にはご迷惑をお掛けします。




