今後の方針を決めるのです
私は急いで今まで生きてきた十六年間を振り返った。……確かに、魔法は使えど魔法陣的なものは見たことがなかったな! 魔法があるなら魔法陣もあるっしょ~、と思い込んでいたけれど、本当に感覚で扱うもので理論は確立されてないね!
ひきつった笑いを浮かべていると、「あの~」とミラが小さく挙手をした。二人の視線が移る。
「この国の北東、帰らずの荒野を越えた先にある国では、そのような魔法の研究がされている……らしいです。それに都合よく、その国の使者がもうすぐこの国にやってくるはずです」
ミラナイス! 私は『そういえば城の書庫にそんな本が~』な風を装うことにした。それにしても帰らずの荒野って。
「そ、そんな馬鹿な……っ」
アントニオが狼狽えた。そりゃあ、帰らずの荒野といえばこの国の北に……イメージ的にヒマラヤ山脈の如くででーんと広がっていて、その名の通り向かった人が誰一人として帰って来なかったからそう呼ばれている訳でして。ただ、アルギュロスは淡々とミラに問う。
「それはお前の未来予知……と言っていいのか?」
「ええ」
ミラははっきり頷いた。ということは、ゲームにあったシナリオなのね。私も頭の中で人物紹介ページをぱらぱら捲る。……あ、いたわ。確か猫連れてる人。魔法使いっぽかった。
「ですが、使者が訪れるのは少し先の話になります」
「それはいつ?」
アントニオが食い気味に訊くと、ミラは眉尻を下げた。
「少なくとも、期末考査の後ですね」
あ、忘れてた。期末考査。
アルギュロスの怠惰生活を改善するべく、あれこれと面倒を見ていてすっかり忘れていた。というか勉強してない。私が内心冷や汗をかいているのも露知らず、アントニオは「二週間以上……遅い……」と呟いていた。そうだよ一週間後からテストなんだよ!!遅くないよ勉強してる時間がないよ!
つまり、身辺に気をつけできるだけ情報を集めつつ、期末考査を乗り切るのが今できること……らしい。と、アントニオが苛ついた表情を隠しもせずアルギュロスへ向けた。
「そこの、白銀の。魔王四天王というくらいだから、難しくても犯人特定くらいできないのか?」
うん、なんだかとうとう不遜な物言いを始めたけれど、アルギュロスはむしろ面白そうに眉を僅かに動かした。
「まあ、できる。できるが、アレクシアが奔走する姿が面白いのでやらない」
「まあ、性格悪い」
アントニオがぶち切れて暴言を吐く前に口を挟んだ。アルギュロスは喉を鳴らして笑う。
「君が泣いて縋って頼むなら、やってやらなくもない」
「嫌ですわぁ」
つい口をついて出てしまった。この魔族に泣いて縋って頼むくらいなら、いっそ破滅した方がマシだ。アルギュロスも満足げに目を細める。
「そうだな。私としてもその方が面白い。せいぜい足掻け。足掻いて足掻いて、どうにもならなかったら……頼ってこい」
☆まさかの待ち姿勢ーーーー!!
ちょっと風呂敷広げすぎてるので、端っこを畳んでいきます。
ええと、このゲート・アインという国は、私の書いてる全作品のうち最も南にある国で、インドみたいな国の形してます。この作品は現時点で年代的に最も新しく、チビ陛下とかの話からは二百年近く経過してますね。




