表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
霊感探偵達の物語  作者: 秋月煉
絆が紡ぐ純愛歌
79/79

3ー27

状況についていけない私は、唖然としたまま、仲間達を見ています。皆さんも頭から砂を被ったらしく、身体中が埃だらけです。口の中にも砂が入って、少しジャリジャリします。


「ゴホッ、あの・・・彼らは・・・何で急に消えて」


何処かへと、消えてしまったのです。未だに唖然としたままの私へ、雅君が教えてくれました。


「真由合さんが、張り切り過ぎたんだよ・・・まったく」


呆れを含ませた苦笑気味なのは、仕方ないと思います。今回のやらかしは、張り切っちゃった真由合まゆりさんが、力加減を間違えてしまったが故に起きた、事故みたいですね。一流の術者ですが、力が入りすぎるのが、たまに傷です。

当のご本人は、やらかした自覚があるらしく、珍しく、項垂れていました。


「はぁ・・・、どうしましょう? まさか、宿っていた品物を置いて、何処かに飛んでいくとは思っていませんでした」


私も困り果てて呟きました。そう、我々が困っているのは、品物が置き去りにされているからです。普通、こういった宿るタイプの霊は、体の代わりである品物からは、絶対に離れません。それがどうでしょうか。あり得ない事が、目の前で起きてるのです。


「追いかけるのは、二人がやってるし、僕らは取り敢えず、品物を片付けてから動こうか」


妙に達観した雅くんの提案に、場は動き始めます。と言っても、下に書いた魔方陣を消したり、道具の片付けなので、手慣れた我々はものの数十分で終わります。

一番面倒なのが、駐車場のアスファルトに直接書いたチョークの魔方陣です。水道を借りて、さっと水で洗い流します。落ちないところをブラシで擦ります。手慣れてるので、あっさりと終わりました。

という訳で、終わった我々は、車の前でまた集合しています。


「まだ、二人から連絡きてないのよねぇ」


不機嫌さながらに、髪をかきあげたのは、真由合さんです。美人なだけに、さまになっています。砂だらけですけど。


「矢上さんが運転だっけ?」


雅くんに確認された龍崎さんが、僅かに頷きました。そういえば、うちの事務所は自動車免許持ちが、多いんでした。私と雅くん、水島くんは、持っていませんけど。

因みにですが、一番運転が静かで上手いのは、龍崎さん。一番運転が荒いのが、真由合さんです。矢上さんは初心者マークが付いてましたっけ?


「そろそろ、連絡が来てもいいはずなんだけど・・・」


訝しげに雅が、スマホの画面を見ています。と、付近を見ていた真由合さんが、夜空の一角を眺めながら、目を細めます。


「あら、雅様・・・式が此方へ来てますわ」


夜でも夜目が効く術者なだけあって、直ぐに皆さんも気付いたようです。私も、眼鏡は外していますから、はっきりと見えます。

それは、夜空に浮かび上がる白い鳥の式でした。満月の光もあって、くっきりと白い姿は暗闇に浮かび上がっています。術者の霊力から見て、矢上さんみたいです。式は陰陽師の十八番ですからね。美しい白い鳥は、真っ直ぐに龍崎さんの手元へと降りてきました。

それは、直ぐに小さな四角い紙になります。龍崎さんは、さっと紙に目を通します。


「ほう・・・雅様、矢上が見つけたようです、場所はこの先のダム、そこで対峙してるようです」


頭の中で、近くの地図を思い浮かべます。確か、ここから30分くらい車で行った場所だったはずです。


「行こう」


雅くんの一言で、我々は動き始めます。これが最後なんだと、直感した瞬間でした。



◇◇◇◇◇



行きの車の中は、シーンと静まったままです。五人乗りの普通車は我々を乗せ、田舎にしては広く綺麗な道を、ダムに向かって走っています。とはいえ、辺りはうっそうとした森の中ですが。因みに、道具等を乗せたワゴン車は、先程の場所に置いてきました。

運転は勿論、安全性と信頼が高い、龍崎さんがやっています。勿論、ドライバーを巡り、ちょっとばかり言い合いがありましたが、雅くんの鶴の一声であっさり決定しました。

真由合さんの運転は荒いので、内心ホッとしたのは内緒です。

助手席には、清流院さん、後ろには、左から私、雅くん、真由合さんです。

車を走らせて、それなりの時間が過ぎた頃。辺りが少し、開けました。


「・・・あら、また式が来たわ」


窓の外を見ていた真由合さんが、ポツリと呟きました。夜目が効くにしても、ちょっと凄い気がします。だって、真っ暗な中に飛ぶ小さな白い鳥ですよ? やはり、一流の陰陽師は、違う物を見てるんでしょうか?

・・・・・時々、私はどうなのかと、悩んでしまう時があります。だって私は、術者と呼ばれる事もなく、ただ視るだけの人であって、祓ったりも出来ません。中途半端なんです。本当に、ただ視るだけ。お役に立つには、少々、心許ないです。

私が少しボンヤリしてる間に、白い鳥の姿の式は、いつの間にか文の姿になって、真由合さんの手にありました。


「面倒ねぇ・・・、辺りに力の影響が出てきてるわね」


忌々しいとばかりに、顔をしかめています。美人さんは、どんな表情でも、絵になります。


「・・・矢上さん、結界張ってるかな?」


雅くんの呟きに、僅かに期待が込もっていますが、果たしてあるのでしょうか? 意外に抜けていますからね、矢上さん。白木さんが一緒に居るので、大丈夫だとは思いますが、ちょっと不安なんです。矢上さんも、白木さんも一流の術者なんですけど。


「白木が張ってると思うわよ? 仏教信仰は、陰陽師よりも自然の中が力は働くそうだし」


真百合さんのぼやくような話が出ますが、適当な会話に聞こえるのは、気のせいでしょうか?


「見えて来ましたよ、ダムの駐車場です」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ