第二十四話
今回作るお菓子は何にしようかな?
料理長さんに作ったお菓子を少し分けることを条件に厨房を使わせてもらうことになった。お菓子は二種類作ろうと思っているのだが、あと一種類が何にするか決められない。
「よし!やっぱりクッキーで味違いの二種類にしよう。」
決まれば後は簡単。早速作業を開始した。
「はい、出来ましたよ。」
出来たことを厨房全体に告げると歓声と共にその場にいた料理人さん全員が来た。ちなみにクッキーは普通のチョコチップクッキーと溶かしたチョコを練り込んだチョコクッキーを焼いてみた。
「こっちのクッキーは皆さんでどうぞ。」
「「「ありがとうございます!!」」」
一度王妃様のために厨房に来たときは最初はやや警戒されていたのだが、この世界じゃみない珍しいお菓子を作っているのを見て料理人として気になったのか声をかけられ、今じゃすっかり仲良くなった。どうやら騎士達ほど料理人の人やメイドさんはピリピリしてないみたい。
「さてと。」
クッキーを渡して自分の分として確保したチョコクッキーを持ってドアの横の壁に寄り掛かっていた団長さんの所に行った。
「お待たせしました。」
「もういいのか?」
「これだけ作れれば十分です。それでこの後なんですけど、俺は部屋に居ればいいんですよね?」
「あぁ、悪いがこれから俺は書類整理の仕事があるから一緒に居られないんだ。」
「お手数おかけします。」
本来私が自立して動ければ団長さんの仕事にも影響を及ぼさないんだけど、そうもいかないからなぁ。
そう思い頭を下げたのだが、一瞬間が空いて次に大きな手が私の頭をグシャグシャと撫でた。
「気にすんな。元々この国に来させちまったのはこっちの事情なんだから、この国の騎士団長の俺がお前に何も手を貸さない方が間違ってる。」
「そうですか?おう!そうだよ。」
力強く言われてそんなものなのかと納得した。早くクッキー食べたいし。
部屋まで行くと行く前に閉めたはずの扉が開いていた。
おかしい…。
城の人には私が借りている部屋には基本誰も入らないようにファラト国王から言われているはず。団長さんに目で確認をとると頷いて下がるように言われた。片手は剣に伸びている。言われた通り一歩下がり成り行きを見守る。
バン!と勢いよく団長さんが扉を開けると小さな悲鳴があがった。声からして女性のようだ。そっと後ろから中を覗くと部屋には箒を持って震えている小さな女の子がいた。見た目は人間の七歳から八歳くらいに見える。
「ここで何をしていた。」
「わ、わたし、おそうじしに来たんです・・・。」
「この部屋は立ち入らなくていいと言われていたはずだが?」
弱々しく答えた女の子は団長さんに質問され怯えてしまっている。その姿はまるで…気づくとつい団長さんの前に出て会話に口を挟んでいた。
「こんにちは。」
「騎士殿?」
「こ、こんにちは。」
「掃除してくれたんだね。」
「! あ、あの、ごめんなさい・・・。入っちゃいけないのに入っちゃって。」
「うん、そうだね。入ってはいけないと言われたのに入っちゃったのは悪いことだね。」
なるべく語りかけるように、怖がらせないように気を付けながら話した。目の前の女の子は震えは無くなったが、下を向いて怯えているおうに見えた。
「もう入っちゃいけないよ。この部屋には色々俺が持ってきた道具があるから危ないんだ。怪我したくないでしょ?」
「は、はい!」
「いい返事だね。そうだ、ちょっとおいで。」
女の子にもう入らないように念を押して近くに呼ぶ。女の子は少しビクビクしながらも近くに来た。
「掃除してくれてありがとう。これあげるよ。時間があるときに食べて。」
「あ、ありがとう、ございます。」
渡したのはチョコクッキー。これなら時間がある時に食べられるし丁度いいと思い渡した。
「それじゃあお仕事頑張ってね。」
「は、はい!」
それを最後に女の子は仕事に戻っていった。そのまま姿が見えなくなるまで見つつ完全に戻ったことを確認して団長さんに視線を戻すと、顔には少し怒りの表情が浮かんでいた。




