第二十二話
朝ご飯を食べ終わった後も時間が余っていたので部屋にあった本を読んで時間を潰していた。本を読むのは元々嫌いじゃない。読んでいるうちにあっという間に時間が過ぎ、待ち合わせの時間になった。
トントン。
「どうぞ。」
「おう、朝早いんだな。」
予想通り入って来たのは団長さんだった。私は本から目を離し、団長さんの方を向いた。
「いつも五時には起きているので。」
「へぇ、凄いな。うちの騎士団の新人どもにも見習わせたいもんだ。」
本を片付けながら今日の予定を尋ねると午前中は城の中を案内してくれるらしい。
「城の中をですか?」
「しばらくは俺と一緒の行動だとしても、一人で行動してもらうようになった時困るだろ?」
確かに王子の護衛の時になったら城の中が分からないと困るもんなぁ。
「そうですね。それじゃあよろしくお願いします。」
「んじゃ、早速行くか。・・・っとそうだ。午後は騎士団の訓練参加な。」
・・・来て一日目で訓練参加はおかしくない?私と団長さんが一緒に行動するのって馬鹿に絡まれないためだよね?訓練名目で来る馬鹿、いるでしょ。
そんな私の思考に気づいたのか、偶々か。一応理由を話してくれた。
「最初に力を見せつけときゃあ馬鹿減るだろ?」
「・・・本音は?」
「単純に俺が騎士殿の実力を見たい!!」
「私の実力知りたいだけですか!」
付け足し理由みたいな感じがしたから聞いたら本当に当たってしまった。こういうのの的中率が高い自分が怖い。
私のツッコミは笑って流された。
「ははは!!いいだろ?敵が減ることは変わらねぇんだし。ほら、さっさと行くぞ。あと、ちゃんと『私』じゃなくて『俺』な。」
うっ・・・うっかり言ったの気づかれたか。さすが騎士団長。
そう、私は今回一人称を”俺”にしなければならない。男のふりをして行くのだ。別に嘘を吐いている訳じゃない。性別は言ってなかっただけだし、”俺”を使っていたのも気分で済ませられる。ほら、嘘じゃない。・・・ただ一言言いたいとしたら、
『別に”俺”と言わなくてもバレない気がする』
・・・いつものことだけどさ。
案内をしてもらっていて流石に武器庫などの重要なところは見せてもらえなかったが他の場所は大体見せてもらえた。最後に厨房に案内してもらったのだが、すごく広くて驚いた。ティクレスは”城”っていうより”塔”の形をしていて、一般の家庭よりは広いのだろうけれど厨房がそこまで広くない。住んでいるのが三人だけだからというのもあるだろうけどね。それにしてもこんなに大きな厨房があるんだから、
「団長さん、おか「午後の訓練参加してからにしてくれよ?」」
お菓子作っていいか聞く前に遮られた。
そりゃあ訓練中に甘~い匂いを漂わせちゃ迷惑だろうけど、こんな大きな厨房みせられちゃ作りたくなるじゃないか。
若干不機嫌になった私に対し団長さんは苦笑いをうかべた。
「竜は鼻がかなりいいんだ。他の種族からしたら”軽く香る”程度でも竜からしたらとんでもない香りに感じる。」
「知ってますよ。」
だから若干の不機嫌で済ませてるんじゃないか。
ルビルズロウは”竜の国”と言われるくらい竜に近い人が住んでいる。匂いがキツイものが苦手なことくらい、ちゃんと教えてもらったさ。
「終わったら作りに来ていいんですよね?」
「勿論!ついでにファラト国王達にも渡すと喜ばれると思うぞ?」
「それは考えておきます。」
人のぶんまで作るのはいいんだけど、ファラト国王物凄く食べるから作るの面倒なんだよね。アリーナ様が、
「竜はとんでもない量を食べるわよ~♪」
って言っていたのを身をもって知りました。
時間があれば作ろうと決め、団長さんと騎士団の訓練場所へ向かった。




