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第23話◇完全にやらかしてしまいましたわ、わたくし……!!

「あああああ、もう終わりだわ、完全にやらかしてしまいましたわ、わたくし……!!」


ウィル様に対する自分の一連の言動を、きちんと振り返ることができたのは、夜、寝る間際だった。


「す、好きって、伝えてしまいましたわね……」


まず、ここが大きな反省点だった。


あんな半端なタイミングでお伝えするつもりはなかったのに。

もっとこう、ウィル様のように、しかるべき場所でちゃんと、ロマンティックな雰囲気でお伝えしたかったわね……。


それも、あんなに言いたい放題口走っておいて、返事をお聞きする機会さえ提供しないままに走って逃げ去るなんて。


だって、恥ずかし過ぎて、あのままウィル様の前にいることが耐えられなかったんだもの~!!


わたくしはぎゅっとまくらを抱きしめる。


レジーナと話したことで、改めて恋心を自覚してしまったからか、これまでの全ての自分の言動をつぶさに思い出してしまって、いたたまれない気持ちになってしまう。


「嫌われてしまったかも……」


公爵夫人になることも、最高の薔薇育種家の地位も、どっちも手に入れたい、なんて。


たとえ思っていても、堂々とウィル様に伝えるなんて……。

はしたない、強引で強欲な悪女と失望されたかしら。


そもそも、ウィル様はわたくしがクラリッサ様と賭けをすること自体にも、難色を示されていたわけで。

店としてあの邸宅を買うことも、秋の品評会に出ることも、わたくしが全部先に勝手に決めてしまって、何も相談していない。


何より、せっかく「ルーカスの罪の証拠を見つけ、絶対に捕まえてみせる」とおっしゃって下さったのに、わたくしはその提案よりも、自力で戦って全てを勝ち取ることを優先してしまった。

「頼らない」と強がった。


怒っていらっしゃるかもしれない……。

こんな可愛らしくない令嬢は、見限られても仕方がないのかも……。


わたくしはベッドの中で小さくなって、痛む胸を押さえてひたすら嘆く。


ルーカスに可愛げがないと責められた時は「はいはい、すみませんね!!」くらいで済ませられていた。

なのに、ほんの少しでも「もしウィル様にそう思われてしまったら」と想像しただけで、耐えられない。涙腺がじわじわと緩んでくる。

初恋を自覚したばかりなのに、早速嫌われてしまうなんて。


「ああ~!!わたくしの馬鹿~……!!」


どうしてこんなにまで、可愛げがない令嬢になってしまったのかしら……。

だけども、たとえ時間が巻き戻ったとしても、また同じ選択をするでしょうね……。


もはやまともに眠れる気はせず、ため息をついて、わたくしはベッドから起き上がる。


「温室に、行こうかしら……」


こういうふうに眠れなくなった時、わたくしは自分の温室に行くことが多い。


少し肌寒いだろうと想定してガウンを羽織ると、チェストの引き出しから取り出した温室の鍵をポケットにしまう。

そうして魔石ランタンを手に、わたくしは部屋を出た。


何もできないまま、ウィル様とお別れするのは絶対に嫌。

そうよ、せめてお詫びのお手紙を書こうかしら……。


文面を考えながら、わたくしは廊下を進み、庭に出て、そこからは石畳の道を歩いていった。


マクファーソンの人間は毎度のように夜中に思い立って自分の温室に向かってしまうため、あらかじめ魔石灯が等間隔で設置されている。

魔石灯とランタンの光が、柔らかく温室への経路と薔薇を照らしてくれていた。


様々な花が咲いているため、歩き進めるたびにそれぞれの香りが冷めた空気に交じり合い、変化していく。


暗く見えにくい夜、そうやって薔薇を感じながら歩くことも、わたくしは好き。

何よりも心を落ち着かせてくれるから……。


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