推しと私と運命の丘 その7
「お…父…様…」
居るはずのない父が目の前に居た。
「ここで何をしている」
父はいつもより低い声でそう問いかけた。
「…まずはふたりを離してください。ふたりは私の我儘に付き合ってくれてただけです。」
「姫様!」
「レティ!」
すると父は兵士に合図をし、ふたりは解放された。
「ありがとうございますお父様」
「いいから問いに答えろ。何をしていた」
父は私を睨んだ。
「お母様に『お父様と仲良くなるにはどうすればいいのか』を聞きに来ました」
「…は?…俺を馬鹿にしてるのか?」
「いいえ、馬鹿にはしていません。その証拠にこの髪飾りを授けてくれました」
「…っ!それは…!どこで手に入れた!?」
「ですから、お母様が授けてくれました」
「…!馬鹿にするな!!!!そんな訳ないだろう!!!」
すると父は私に向けて平手打ちをしようと手を振り上げた。
私はそんな父を見つめ、思わず微笑んだ。
それが憐れみからなのか、慈悲からなのか、はたまた推しからのご褒美()を貰えるからなのか、自分でもわからなかった。
しかし、振り上げられた手は寸前で止まった。
そして父は泣きそうな顔をして私の頬に手を当て
「……なんでそんな顔が出来るんだ…」
「だって私は、お父様とお母様の娘ですもの」
「今まで…俺の前ではただ死んだような顔しかしてなかったお前が…なんで俺に微笑むんだ…」
「だって、お父様と仲良くなりたいんですもの」
「なんで…」
「だって私は、前世の頃からずーーーーっと!お父様の事、大好きですもの!!!!!!」
父の目を見つめ、私はこう言った。
「叔母様からの呪いがお父様を苦しめてるなら私も力になりたい。だって、家族ですから!」
「私はお父様とお母様にそっくりなただ一人の娘ですから!」
すると父ははっとしたような顔をして
「ネヴィア…そういう事か、そういう事だったんだな…」
と、呟くと、憑き物が落ちたように涙を流しながら微笑んだ。
「…前世からそう思ってたのか…なら、敵わないな」
「そうですわ!…まぁ思い出したのはわりと最近ですけど…」
「お前は…俺に似たんだな…」
「…え?今更ですの…?私は大分前から気付いてましたよ…?」
「…はは、俺は大馬鹿者だ。それに気付けなかったんだからランスに馬鹿にされるのも無理はない」
「ふふっ」
こうして、『父と仲良し大作戦』は成功に終わった。
私達は城に戻った。
あれから父は前より国民の前に姿を出すようになり、私も姫としての仕事をラギやメリュジーヌに手伝ってもらいつつ行うようになった。
父とも最初はギクシャクしていたが、普通の親子のように、今までの時間を取り戻すように仲良くなっていった。
でもひとつ気になる事がある。
私は『モルドレッタ』だけれど、『本当に私が真の呪いの子』だったのだろうか?
国を、父を滅ぼす存在なのだろうか?
なんか嫌な予感がする。
でも今は、失った親子の時間を取り戻す事が楽しくて、つい『気のせいよね』と済ましていたのであった。
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封印された洞窟で、一人の少年が白骨した骸に向かって呟く
「お母様…モルガナお母様…今に見ていて下さい…この俺が…貴女の仇を…『アーサー』を討ち取って見せましょう…」
「我が名は…モルガナの息子…滅びの子…『モルドレット』!」
『推しと仲良し編 完』
『推し編』はとりあえずひとまずここで終了です。
ここからは続編とも番外編とも言える話が続きますので良かったらまだまだお付き合い下さい…(汗)
そして新連載ふたつのお知らせです。
不定期でこの『モルドレッタ』シリーズを含めた3つの小説をなるべく交代で連載していきます。良かったらこっちもお付き合い下さい。
『marchmaker』
https://ncode.syosetu.com/n7719fr/
3つの国の王子と王女の恋愛話です。BL,GL物ですのでご注意を
『嫌がらせ聖魔獣~魔王に溺愛されるメスケモ~』
https://ncode.syosetu.com/n8062fq/
聖女に転生するはずのツンデレJKが魔王の嫌がらせで獣人に転生してしまった話
ヒロイン含めて登場人物大体人外なので注意
よろしくお願いします!




