推しと舞踏会 その4
「お父様、モルドレッタ参りました。」
別室に呼ばれ、私は驚いた。そこにはランスとラギの姿があったのだ。
「…あぁ」
父はどこか気まずそうにしている。どうしたんだろう。あんなに勇ましかった推しらしくないぞ!
「姫様、≪はじめまして≫。ランス・ロットと申します。以後お見知りおきを」
そうランスは言うとペコリと頭を下げた。その意図がなんとなくわかった。知り合いだが父の前でそれを表す事は出来ないからだ。だからこの場では初対面を装うのだ。
「えぇ、≪はじめまして≫。あなたは…お父様のお友達ですか?」
そう言うとランスは微笑みながら
「えぇ、 私は そう思っていますよ。」
「何か言葉にトゲがあるぞランス」
つかさず父がツッコミをいれる。そうそう、ゲームでもこんなかんじだった。貴族で騎士のランスと王族のアーサー。身分に多少差はあってもお互い何でも言える仲なのだ。
「…そしてこっちは私の息子、ラギです。ほらラギ、姫様に挨拶を」
「…ラギです。よろしくお願いいたします。」
「…えぇ。私はモルドレッタ。よろしくお願いいたしますわ。」
…ラギ…………かっ………かっこいいぃぃぃ!!!
あの時は遠くから見つめていたけど見解はいつもの距離で更に素顔!普段とのギャップもあってめっちゃかっこいいぃぃぃぃぃ!!!!流石ランスの子だ!めっちゃイケメン!童顔なのも良い!
…ハッ!そうしてる場合じゃなかった。ごめんラギ。
ラギはどこか悲しそうに私を見つめている。それに気付いたであろうランスは
「…!アーサー。ちょっと二人で話したいことがある。ちょっと良いか?」
「…?良いだろう。なら子供達は外へ」
「ラギ、姫様を頼んだぞ。」
こうして私達はテラスへと追いやられた。
「…レティ、お姫様だったんだな。」
「…隠しててごめんなさい。」
「いや、俺も花祭までは騎士の息子って隠してたしお互い様だよ。ただ…」
「ただ?」
「…もう前みたいに遊べないんだなって。お城に帰るんだろ?」
「…えぇ」
「レティ」
ラギはそう言うと跪いて私の手を取り
「俺は忘れない。レティとの思い出も、想いも。…だからレティも忘れないでくれよな。」
私の手の平にキスをした。
「…ラギ」
涙が溢れる。そう、もう前みたいには遊べないのだ。それどころか会う事すら難しくなるだろう。
「ラギ、ありがとう。」
「こっちこそ」
こうして舞踏会は終わったのだった。
お城に戻ってからも、父は相変わらず私には冷たい。けれど少しトゲが無くなったような…気がするだけであった。
「姫様!」
「?何どうしたのメリュジーヌ」
メリュジーヌが少し興奮している。どうしたんだろう。
「アーサー王がお呼びです。今すぐ広間に!」
「???わかったわ」
広間に行くと、ランスとラギが居た。
「姫様!王と話をした結果この度貴女の専属の騎士として息子のラギをつける事にしました。」
ランスはそう言って微笑んでいる。
そしてラギは跪くと私の手を取り
「…と言う訳で これからも よろしくお願いいたします。我が姫」
私の手の甲にキスをした。
ラギとはこれからも一緒です。良かったねモルドレッタちゃん。




