043 学者達の実力
俺達は洞窟の探索を続ける。このゲームでパーティを組んで探索するのは何気に初めてなので、こういうのは結構楽しかったりする。楽しいことは楽しいのだが……
「何か急にモンスターが出なくなって暇だな。おい、海月、暇つぶしにちょっと戦おうぜ!」
「モンスターが出なくなったのは、さっきたくさん倒したからだ。PVPなんてしてる暇があったら、探索を進めようとは思わないのかい?それに君が海月君と戦っても勝率は0%だからやめた方がいいぞ。」
「お?いつもは細かいところまで言う積分君が0%と断言すると、説得力があるね。」
「僕の名前は積分君じゃなくて、インテグラルだよ。木星の第四衛星よ。」
「積分君じゃない。それより私こそ木星の第四衛星じゃなくて、カリストよ。」
「木星の第四衛星じゃないか。」
……見ての通り三人で勝手に楽しそうなのだ。正直ちょっと混ざりにくい。
「……おまえら仲いいな。」
「「良くない!!」」
「海月もそう思うか?」
「ああ、良くないと声を揃えて言うあたりが特にね。」
「……今は勝率が低いからしないけど、いつか勝率が高いときに君達には手痛い目を見せてあげるよ。」
「珍しく気が合うじゃない。その時は私も混ぜてね。」
「今回は大歓迎だよ。人数が多いほど勝率は上がるからね。」
「やっぱり仲いいな。」
「こいつら普段からこんな感じだぜ。俺は付き合うのも時間の問題だと思うんだが。」
「君達は今この場で倒す!カリスト、援護は任せたよ!」
「何で私があんたの援護をしなくちゃならないのよ!私も戦うわ!」
何か俺の一言でカリストとインテグラルをからかう流れになっちまったな。まあ楽しいからいいけど。
「侵入者発見。排除スル。」
そうやって俺とモノポールで二人をからかいながら進んでいくと、不意に前方から機械兵が現れる。
「おっ、久しぶりの敵さんか。よし、海月は最初は俺達の戦いを見ててくれ。行くぞ!《電光石火》!」
モノポールがそういってなんらかのスキルを使ってものすごいスピードで飛び出していく。
「あいつはまた一人で突っ走って……悪いんだけど、海月は最初は見学しててね。」
そういうとカリストも飛び出していき、機械兵と戦いはじめる。
「一人で先走ってんじゃないわよ!《コロナ》!」
「おまっ、俺がいること少しは気にしろ!」
「うるさいわね!あんたなら大丈夫でしょ!」
「あとで覚えてろよ!《心頭滅却すれば火もまた涼し》!」
カリストが右手を払うと大量の炎が召喚され、モノポールもろとも焼き払う。しかしモノポールもなんらかのスキルを使ったようで、何とも無いようだ。
「やれやれ、みんなで戦った方が勝率は高いんだがな。そういうわけだから、海月君は見学しててくれ。でも危ないと思ったら、助けに来てくれよ。」
そういうとインテグラルも飛び出していく。
「《方程式》。カリストの元に3秒後にドリルが飛んで来るぞ。」
「分かったわ!」
そうして三人は機械兵と戦いはじめた。
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三人の戦いは、簡単に言うと、インテグラルが指揮をとって他の二人が攻撃するといった感じだ。
インテグラルの《計算》スキルによる先読みは、もはや未来予知といってよかった。数秒先のことなら、ほぼ確実に当てることができる。正直彼の計算外の行動をできる自信が無い。
その未来予知レベルの先読みで相手の攻撃を予測し、そして確実に避け、それができない時は各自で防御する。ちなみに防御はそれぞれが防御系のスキルを持っており、モノポールが最初に見た《金城鉄壁》、カリストが《グレートウォール》という防御技、インテグラルが《作図》で自分の周りに立方体を作って防いでいた。
攻撃面も、カリストとモノポールが中心に活躍し、申し分のないものだった。一つ意外だったのが、インテグラルが銃を使ってたことくらいか。
接近戦もある程度こなせるようだが、これを見てて俺はおまえら世界中の学者に喧嘩売ってるのかと言いたくなった。考えてもみてほしい。両手に鉄でできた巨大な三角定規(30゜と60゜のやつ)を持って戦う数学者や、やけに細長い望遠鏡で殴り掛かる天文学者や、辞書で殴ったり投げたりする言語学者を。このゲームの制作者は、事件が収まったら、一回世界中の学者に謝罪するべきだと思う。
そんなことを考えていたら、爆発音がした。どうやら戦いが終わったようだ。
「なあおまえら、いくつか聞いていいか?」
俺は戻ってきた三人にそういう。
「何かね?僕たちに答えられることなら答えるぞ。」
「まず、おまえのその三角定規は何だ?」
俺はインテグラルの持つ三角定規を指差してそういう。
「これかい?これは、《作図道具製作》スキルで作ったんだ。数学者クラスになるのになぜか《剣術》スキルが必要だったから不思議に思っていたんだが、どうやらこれを使うためらしい。」
ほうほう。
「次にカリスト、その望遠鏡は何だ?」
カリストにも同じように聞く。
「《天体観測道具製作》スキルで作れたのよ。天文学者クラスになるのになぜか《棒術》スキルが必要だったんだけど、これを使うためだったみたい。」
なるほどなるほど。
「最後にモノポール、おまえのその辞書は何だ?」
モノポールにも同じように聞く。
「《辞書製作》スキルで作った。俺も言語学者クラスになるのになぜか《投擲》スキルと《格闘》スキルが必要だったんだが、これを使うためだったみたいだ。」
……もはや何も言うまい。
――――――――――――
俺達は、今度は俺が一人で戦ったり、共闘してみたりしながら探索を進める。
そうしていくと、周りに多くの穴が開いた広場に出た。
「何だここは?」
「気をつけろ。ここは《虫の知らせ》で嫌な予感がする。」
「ここで何も起こらない確率は0%だと思うよ。」
「あんたが言うと、説得力があるね。」
俺達はそんなやり取りをしながら周りを警戒する。変化はすぐに訪れた。
「侵入者発見。排除スル。」
「侵入者発見。排除スル。」
「侵入者発見。排除スル。」
「侵入者発見。排除スル。」
周りの穴から大量の機械兵が出てきた。これはこいつらと戦えってことか?
「ねえ積分君。勝率はどれくらいある?」
「だから僕は積分君じゃないと言ってるだろ。そうだな、高く見積もって61%ってところかな。」
「それだけあれば十分だ!行くぞ!」
モノポールのその声とともに機械兵軍団との戦いが始まった。
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スキル構成
通常スキル
《格闘Level 23》《投擲Level 22》《掴みLevel 22》《平行感覚Level 22》《軽業Level 24》《踊りLevel 20》《無音歩行Level 19》《跳躍Level 19》《敏捷強化Level 18》《PG自然回復強化Level 17》《SG自然回復強化Level 7》《直感Level 14》《観察Level 17》《隠蔽Level 23》《索敵Level 23》
忍者スキル
《忍術Level 20》《忍具職人Level 18》《気配探知Level 21》
特殊スキル
《忍術Level 1》で《変わり身の術》
《忍術Level 3》で《分身の術》
《忍術Level 6》で《木の葉隠れの術》
《忍術Level 9》で《変化の術》
攻撃力:25 20+闇5 24+土9
防御力:25
残金:493
残SP:13
学者の武器は基本的におかしいですwww




