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042 学者達

 俺はたまに出現する機械兵と戦いながら、洞窟の探索を進めていく。当面の目標は、地上に出ることだ。ちなみに今も機械兵と戦っていたりする。

 機械兵は厄介なモンスターだが、幸いなことに単体でしかでず、しかも今のところは機械兵しかモンスターが見られない。一体ずつなら問題なく倒せるため、今はいいレベリングの相手程度に思っている。



 「ピピガガガピガピピピガガガピガピガ……」


 さて、機械兵を右手の蜂蠍戦輪で切り付けて止めを刺し、爆発とともに本日10体目の機械兵を倒したところで、何やら前方から騒々しい物音と声が聞こえた。ちなみに機械兵からは装甲のほかにドリル、歯車、赤外線センサーといったものがドロップした。


 「何でこんなことになってんだよ!畜生!だからあの時倒しておけば良かったんだ!」


 「君は少し落ち着きたまえ。それよりも僕の計算だと僕たちはあと2分21秒後に死に戻りをするだろうね。誰か足止めをする必要がある。」


 「何であんたはこんな時も冷静なのよ!」


 「ここで焦ってもどうにもならないだろ?それよりも誰か足止めしないと本当にやばいよ。」


 「なら俺がやってやらぁ!」


 「君が行くと43%の確率で死に戻りするだろうね。それでも行くかい?」


 「半分ねーんなら行く価値はあるだろ!やってやらぁ!」


 それは、全員が白衣のようなものを着た三人パーティだった。見たところ多数の機械兵に追われ(トレインされ)てるようだ。

 そのうちの一人がその場に立ち止まり、機械兵の足止めを行う。


 「これでどうだ!《金城鉄壁》!」


 男がそういうと、そこに鉄板が召喚され、男と機械兵達とを分断する。

 しかし、それはすぐにドリルで貫かれ、また機械兵達が男に迫る。


 「ちっ、ならばこれだ。《一騎当千》!」


 男がそういうと、機械兵が二体ほど倒されるが、それ以外に変化は見られない。


 「ねえ、あいつちょっとやばくないかな?私たちも行った方がいいと思うんだけど。」


 「それはやめておいた方がいい。今の僕たちが勝てる確率は、高く見積もっても11%程度だ。」


 「じゃああいつも一緒だとどうなる?」


 こっちに近づいてきた二人のうちの片方の女性プレイヤーが俺を指差してそういう。


 「ん?彼は確か『千輪』だったな。彼の今までの戦闘データと最後の記録から今までの時間で低く見積もって今の強さを出して、それも込みで計算すると……おお、61%まで上がるぞ!」


 「なら助けに戻るよ!」


 女性プレイヤーはそういうと、元来た道を戻っていった。


 「そういうわけで、すまないが手を貸してもらえるかな?」


 残った男性プレイヤーが俺に向かって少々呆れたような顔をしながらそういう。


 「事情はよくわからないが、まあ困ってるようなら手を貸すぞ。」


 「すまない。恩に着るよ。」


 男はそういうと、彼もまた元来た道を戻っていった。俺もそのあとを追う。


 「《コロナ》!助けに来たわよ!」


 「おまえ、何戻って来てるんだよ!俺が足止めするといっただろ!」


 「だって危なっかしいんだもん。それに今はビッグゲストがいるから大丈夫よ。」


 「君は僕が勝率の低い戦いはしないのを知ってるだろ?僕たちに彼が加わると勝率が大幅に上がるから、戻ってきたんだ。」


 「おまえは!?そうか、なら思い切りやらせてもらうぜ!」


 彼等はそう賑々しくやり取りをすると、戦いはじめた。さて、助っ人として来た以上は、俺も戦いますか。



――――――――――――



 あのあと俺達は恙無く機械兵達を倒し、今は一旦落ち着いたので、とりあえず状況の説明をしてもらってる。


 「さて、まずは僕たちの自己紹介からかな。僕の名前はインテグラル。クラスは数学者だ。」


 まずそういったのは、長身の痩身で、灰色の髪は不潔な感じに伸び、顎には無精髭を生やし、頬は痩せこけている丸渕メガネをかけた男性プレイヤーだ。


 「次は私ね。私の名前はカリスト。クラスは天文学者よ。」


 次にそういったのは、ピンクの髪を腰まで伸ばした小柄な女性プレイヤーだ。顔は完全に可愛い系で、見た目は中学生くらいだ。


 「最後は俺かな。俺はモノポール。クラスは言語学者だ。」


 最後にそういったのは、筋肉質な体つきをしており、黒い髪をスポーツ刈にしており、顔はそこそこイケメンな感じというおおよそ白衣というものが似合わなさそうな男性プレイヤー。


 「インテグラルにカリストにモノポールね。よし、覚えたぞ。それで、何であんなことになってたんだ?」


 「それはさ、こいつが悪いんだよ。こいつがあの時、今の僕たちではこいつに勝てる確率は52%だから、ここは逃げるのが得策だ何て言わなければこうはならなかったんだ。」


 「インテグラルの《計算》は、その場にあるものからしか結果が出せないのが弱点だよね。」


 俺のその言葉で三人は言い合いをはじめた。言い合いより状況の説明をしてほしい。


 「あー、言い合いはあとにして、どうしてこうなったのかを説明してくれないか?」


 「ならばここは僕が語るとするか。」


 業を煮やしてそういった俺に、インテグラルがそう言葉を返す。


 「まず僕たちがここに落ちてきてからのことを話そう。僕たちがここにいるということは、僕たちも流砂に飲み込まれたわけだ。ここは大丈夫だよね?」


 インテグラルのそういったので、俺は頷く。


 「落ちてきたあとすぐに僕たちは機械兵に襲われたわけだが、ここで僕は逃げた方がいいと提案したんだ。」


 「おまえがそんなことを言わなければ、こうはならなかったんだぞ。」


 「うるさいな、あとにしてくれ。それで僕たちは逃げたわけだ。そこまでは良かったんだが、問題はそのあとだ。機械兵から逃げるのはそう難しいことじゃなかったんだが、逃げてる最中に別の機械兵がどこからかわらわらと沸いて来て僕たちを追いはじめたんだ。数が増えると当然勝率が下がるから余計に戦いにくくなるわけだから、それをずっと放置した結果がこれだよ。」


 なるほど、とりあえず機械兵は放置しないほうがいいということは分かった。


 「だいたいおまえがあの時あんなことを言わなければだな……」


 「しつこいな、もうすんだことだからいいじゃないか。それよりも君、確か海月君だよね?ここで会ったのも何かの縁だし、僕たちとパーティを組まない?」


 インテグラルはそういうと、パーティの申請をしてきた。俺はべつにいいけど、他の二人はどうなんだろう?

 その辺のことを聞いて見たところ、こんな答えが返ってきた。

 カリスト曰く、助けてくれたからいい奴そうだからいいとのこと。

 モノポール曰く、《虫の知らせ》に反応しないからいいとのこと。

 二人の了承も得られたので、俺はパーティの申請を受諾し、四人で探索を続けるのだった。

学者系のクラスは、基本はその学問の用語を特殊スキルとして使います。

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