035 VS抗酸烏
石像に攻撃を加えると、いつものように内側から表面の石を剥がすように光りが放たれる。
ただし、今回はいつもとは違い、大きさは変わらない。その変わりそれは一気に翼を広げて全身についてる石を振り払うと、一気に空へと舞い上がる。
それは、全身が銀白色に輝く烏だった。羽はすべて刃物のようになっており、見た感じかなり鋭利だ。
今のところクロムクロウの情報はほとんど無いが、あの姿を見るかぎり攻撃方法としてはキャリークロウとそんなに変わらないだろう。それとクロムというのはリアルだと確か酸に対して高い耐性を持ち、塩酸や王水にもなかなか溶けないそうだ。これが反映されてるとすると、おそらく腐食攻撃への完全耐性といったところか。まあ腐食攻撃を使うプレイヤーなんてあまりいないから、その辺はおそらく素材としての意味合いが強いのだろう。
「カアアァァ!!」
空へと舞い上がったクロムクロウは俺の方へと向き、これまでのホバリングよりも激しく翼を震わせる。
瞬間、俺に向かって突風が吹いた。これはチャクラム使いとしてはちょっとまずいかな。うまく飛ばなさそうだ。
俺はクロムクロウに対してダークエッジチャクラムを投げるが、案の定突風に押し返されて届かない。
「カアアァァァ!!」
もう一度クロムクロウが翼を震わせると、今度はその翼の羽が弾丸のように飛んで来る。その速度は突風の影響もありかなり速い。
俺はその攻撃を避けるために大きく移動せざるを得なくなる。
「カアァ!」
すると今度はクロムクロウが俺が動いた場所へと弾丸飛行で迫って来る。
俺はそれをギリギリで避け、避けた際にダークエッジチャクラムでクロムクロウを切り付け、そのあとはアイテムポーチにあるチャクラムをすべて投げる。
「カア!」
しかしクロムクロウはそれを煩わしそうに翼をひとふりし、瞬間的に発生させた突風で防ぐ。うーむ、俺とは相性が悪いのか戦いにくい、実に戦いにくい。
この際出し惜しみしないで《変化の術》をもう使っちまうか。これはその時の相手のスペックが反映されるから、できれば修羅モードに入ってから使いたかったが、この際贅沢は言ってられない。
そう判断し、俺は印を切る。
「《変化の術》!」
俺がそういうと、俺の姿はクロムクロウのものへと変わる。
ステータスウインドウを確認してみると、通常スキルの欄には《飛行Level 8》が、特殊スキルの欄には《変化の術》でクロムクロウに変化中に《突風》、《バレットフェザー》とある。
さてと、ではいっちょ頑張りますか!
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そのあとの戦いは、空中戦が中心のものとなった。
俺はクロムクロウヘと弾丸飛行する。
「カア!?」
しかしクロムクロウはそれを避け、右の翼で切り付けて来る。クロムクロウはその見た目からも分かるとおり翼にもダメージ判定がある。だがそれは俺にも言えることであり、右の腕(翼)で防ぎ、左の腕(翼)で切り付ける。
空中戦自体はキャリークロウと何度かやってるので結構慣れているが、クロムクロウはキャリークロウよりも速いので、最初は何回かかすったりもした。だがそれも慣れてしまえば問題はない。
「カアアァァ!!」
「《突風》!」
クロムクロウが距離を取り《突風》を放って来る。この状態でそれを喰らうとバランスを崩してしまうので、俺も《突風》を使い相殺する。
俺は《突風》が放たれた後の《バレットフェザー》が放たれるまでの刹那でクロムクロウヘと弾丸飛行で近づき、嘴で片翼を貫こうとするが、それは貫通しない。どうやら防御力はそれなりに高いようだ。だがダメージは確かに与えられている。
そうやって時々地上に下りてPGを回復しながらしこしことダメージを与えていると、その変化は唐突に訪れる。
「カアアァァァァァ!!!」
クロムクロウは今までよりも高く舞い上がると、翼を震わせ《突風》を起こす。ただし、その《突風》は今までのものとは違い、鎌鼬となって襲い掛かる。
「カアアァァァァ!!!」
これはやばいと思い受けずに避けると、そこに追撃として《バレットフェザー》が放たれる。これもこれまでのものとは違い、まさしく弾丸といっていい速さのものだった。
「カアアァァァ!!!」
そのあとの突撃も、これまでよりも速いものだった。どうやら修羅モード突入のようだ。
よし、あともうひと踏ん張りだ!
――――――――――――
戦い方としては、これまでとさして変わらず、空中戦が中心のものだ。
しかしこれまでとは速度が違い、《敏捷強化》スキル込みでもクロムクロウの方が速い。しかも今のクロムクロウの《突風》、いや、《鎌鼬》は相殺することができない。よって避けるしかなくなり、必然的にそのあとの《バレットフェザー》、弾丸飛行ヘと繋がってしまう。
今の俺は待ちが主体となっており、しかもSGの都合上時折地上に下りて回復しなければならないので、かなり不利なのが現状だ。
その結果として被弾する数も増え、徐々にだがLGが削れていく。俺も攻撃はしてるが、明らかに俺のLGが削れるペースの方が速い。 これは一回《変化の術》を解除してポーションでLGを回復するべきか?でもそうしてもじり貧になる気がするな。よし、ここはいっちょ勝負をかけるか。
俺はそう考え、クロムクロウが放つ《鎌鼬》を避け、飛んで来る《バレットフェザー》を今度は避けずに《観察》スキルと《直感》スキルを頼りになるべく弾幕の薄いところを選び、そこに突っ込む。
当然は俺に当たるが、幸いにも攻撃力は低いので、何発かは凌げる。
「カアアァ!?」
俺はいくつか被弾しつつもクロムクロウへと迫り、そしてその喉元へと思い切り嘴を突き刺す。
「カアァ……」
そしてクロムクロウはそう弱々しく鳴くと、地面へと落ちて行き、光りとなって消える。俺の勝ちだ。
「《変化の術》解除。」
俺は地面へと降り立ち、《変化の術》を解除すると、小さくガッツポーズを取り、勝利の余韻に浸るのだった。
クロムクロウはこのあとは素材として活躍してもらう予定です。




