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LⅠー10 エピローグ――子カメの秘密と朱雀の炎

■オロ一行

 カイたちが消えてほどなく、オロたちが山に到着した。嗅覚鋭いクロが裏道を通りながら、匂いを辿って、山に一行を導いたようだ。

 アイリが歓喜してモモを抱き締めた。引き離すのが一苦労。


 短い打ち合わせのあと、ふたたび全員が動いた。アイリは金ゴキを使ってセキュリティ対策に専念し、じいちゃんカメは子カメの護衛として残った。

 (はやぶさ)姿を気に入ったサキはふたたび隼になろうとしたが、グリに絶対ダメと阻止された。捕まりに行くようなものだからだ。

 黒は高貴な色とされる一方、黒い動物は忌み嫌われるらしい。クロは白ネコに変わり、マキ・ロウ博士はきれいな野鳥になって空を飛ぶ。風子はかわいい灰色ネズミになってモモの背に乗り、サキは野兎に姿を変えた。


 オロはヘビに姿を変えた。驚くほど、美しく煌めている。銀青龍の鱗の片鱗をとどめているようだ。

「ダメだ! 目立ちすぎる!」

 サキの怒号が飛ぶ。

 いつもながらのオロ殿下の美貌にうっとりしていたグリも、夢から覚めたように頷いた。

「さようです! 殿下、おきれいすぎて、すぐにつかまります!」

 オロはしぶしぶヘビ皮の光沢を薄めた。

「で、目的は何だよ?」


 サキが指令を下した。

「チームを二つに分ける。オロとグリは水中チーム。都市の外を流れる河の調査をしろ。いま、都市は封鎖されている。だが、水は流れている。必ずどこかで外部とつながっているはずだ。それを探し出せ!」

「もう一つのチームはわたしが率いる。陸上チームだ。地上都市ラクルとの接点を探す。どこかに直接行き来する場所があるはずだ」

「どうしてですかぁ?」と風子が素朴な質問。

(いいぞ! もっと突っ込め!)とオロが心中で喝采を送る。

(サキ先生は直感突破派だからな。指揮官なら、もうちょっと戦術派になれよな)


 そんなオロの独白を見抜いたか、サキがギョロリとオロを睨んだ。

「忘れたか? 九鬼教授を救出したとき、行政府の最上階にはトップだけが入れるVIPルームがあった。総監の部屋はあれじゃない。もっと下の部屋だった」

「え? ということは?」

「そうだ! あのとき最上階にいたのは弓月御前――この都市の真の支配者は弓月御前だ!」

 みなが大きくざわめいた。


 アイリが鋭いまなざしでサキを見た。

「そうか! だから、動物なんだな?」

 風子がオロオロする。

「え? なんで?」


 サキが口端をニッとあげた。

「地下都市で唯一天井とつながるのはこの山だ。山は〈ミグルの道〉とつながるだけじゃない。きっと地上都市のラクルとも直接つながる」

「でも、弓月御前なら、さっき入ってきたゲートから堂々と入れるんじゃないの?」とまだ風子は目をシロクロさせている。素直で素朴な風子には、〈謀略〉の網の目が理解できないようだ。

 アイリが風子に教え諭すように言う。

「秘密の通路があるはずなんだ。弓月御前が真の支配者であることを悟られないように」


 オロが唸った。

「総監もシオン博士も弓月御前のコマってことか?」

 サキが頷いた。

「おそらくな。だから、この山には通常の捜索が及ばない。むろん特殊部隊が来ているだろう。それを欺くにはふつうの動物が便利だ」

「でも、そしたらこの洞窟は? 見つかっちゃうよ」と風子。

 アイリが立ち上がった。

「心配するな。洞窟はあえて見つかるように開放している。だが、ばあちゃんが幻視効果を施してくれた。外から中を覗き込んでもカラにしか見えない」


「さあ、行くぞ!」

 二チームがいっせいに動き始めた。小さな洞窟に静寂が戻った。


■子カメの謎

 予想通り、数人の兵士らしき者が偵察にやってきた。洞窟を覗き込む。丹念に調べた後、隊長らしき者が言った。

「異状なし。さあ、次に行くぞ!」


 息を詰めるようにしていたアイリがほうっと息を継いだ。じいちゃんカメに抱きかかえられた子カメがちょこっと首を出した。

「もう大丈夫なの?」

「おう。安心せい」じいちゃんカメの声はどこまでもやさしい。


 子カメはじいちゃんカメの懐からもそもそと這い出て、ふああとあくびした。なんとも言えず、かわいい。

(とても神亀とは思えんな)とアイリは目を細めた。

 まだ、遊びたい盛りなのだろう。洞窟内を出ないという条件で、じいちゃん監視下、子カメはちょろちょろと動き回っている。これまたかわいすぎて、じいちゃんカメが相好を崩している。


 ふと、入り口で気配がした。

「もしもし」と声までする。

 アイリが身を固める。

(なぜだ? 幻視術は解けていないはずだぞ)

 見ると、何か小さなものがいた。ふたたび声がした。

「もしもし」

 逆光のため、はっきりとわからなかったが、ようやく姿が確認できた。青色の甲羅をもつカメだった。じいちゃんカメよりも小さい。

(もしもし、カメよ、カメさんよ、じゃあるまいし)とアイリは内心で毒づいたが、声は出さない。じいちゃんカメは子カメをさっと引き寄せ、入り口を伺う。


「お答えがないようですが、入ってもよろしいでしょうか?」

 ずいぶん丁寧な物言いだ。アイリが子カメをじいちゃんから取り上げ、顎をしゃくった。

(出ろ!)

 じいちゃんカメは頷き、よろよろと入口に向かう。


「どなたですかな?」

「失礼いたします。わたしは向こうの河に棲む青カメ一族の長でございます」

「青カメ一族? 向こうの河とは?」

「この都市ができる前から流れていた地下河に棲む古き一族なれば、どうぞお見知りおきを」

「いや、これは、これは――わしは通りすがりの者。たまたまここに立ち寄ったまで、名乗るほどの者ではござらん」

 青カメの長が目を見開いた。

「通りすがりとは!」

「なにか?」

「いえ、この都市は固く封鎖されておりますれば、外との出入りはほぼ皆無。その鉄壁の封鎖網を潜り抜けてきたと仰せか?」

「いや……そんなたいそうなものではござらん。すぐに出てゆくゆえ、お目こぼしくだされ」


 長は鋭い目で洞窟の奥を見た。

「この洞窟にはあなたさま以外どなたもおられぬのか?」

「むろんでござる」

 長は皮肉そうな笑みを浮かべた。

「目に見えぬものを匂いで見る――カメはもともと鋭い嗅覚をもちますが、青カメ族の嗅覚は格別。ことに、わたしの嗅覚は独特でございましてな。ここにはもう一匹のカメの匂いと人間の匂いがいたします」

 じいちゃんカメが一歩引き、瞬時に戦闘モードに変わった。長が平伏した。

「お怒りになりませんように。わたしはお願いしたいことがあって、ここに参った次第」


 じいちゃんカメが呼吸を整えた。

「一人で参られたようじゃな。他のカメも人間の匂いもせぬ」

「はっ! あなたさまは相当の腕利きとお見受けしました。しかも、この洞窟には大カメ族一族に特有の高貴な匂いが残っておりまする。ならば話は早い」

「いかなることじゃ?」

「わたしの末息子を護っていただきたい」

「は?」

 じいちゃんカメがポカンとし、アイリも子カメを抱いたまま、ずっこけそうになった。


「末息子は特別な生まれの子――神に愛でられた甲羅を持って生まれました。その甲羅ゆえに都市の人間たちに神亀と崇められております」


(おい、アイツはおまえの親か?)とアイリが子カメに聞くも、子カメは首を横にふる。(わかんない……)


「末息子はここにいるのでございましょう?」

 じいちゃんカメは言う。

「ここにはわし一人と言うたではないか?」

 長カメは少し寂しそうな眼をした。

「それならばそれでかまいません。もし青緑の甲羅をもつ小さな子カメを見つけたら、ぜひとも保護してください。そして、われらのもとに戻るよう伝えてください。親と兄弟と一族がおまえを待っていると」

 人情に篤いじいちゃんカメが思わずほだされそうになった。

「相分かった。見つけたならばそう伝えよう」

「お頼みいたします」

 お辞儀をした長カメはなかなか去ろうとしない。彼は、チラリと後ろを見た。聞いてもいないのに、なぜか話を引き延ばす。


「あの子はなみはずれて賢いのですが、まだ幼く、やんちゃでございましてな。われら青カメ族の里からこの都市に抜ける秘密の抜け道を自分で見つけたようにございます」

「秘密の抜け道?」

「はい。カメ一匹がようやく通り抜けることができる細い水路で、われらもほとんど使いませぬ。ですが、あの子はそれを見つけ、たびたびこちらに来ておったようでして……あの子は自分の価値を知りません。好奇心が強く、故郷とはまったく違うこの都市の姿に興味をもったようです」


 アイリは頷いた。

(コイツなら、いかにもありうる!)


「どうかお願いです。もしあの子を見つけたら、われらの里に戻るようお伝え下さい。秘密の通路は閉ざされていない。危険はない、いつでも戻れると」

 長カメの目に涙が光った。

 瞬時にアイリは理解した。このカメはわれらに危機を告げようとしている!

「じいちゃん、来い!」アイリが叫び、じいちゃんカメのシッポをひっつかんだ。


■真実

 長カメを踏みつけるように数人の男たちが洞窟に踏み込んできた。さっき偵察にきた男たちとは別のグループのようだ。兵士ではなく、普通のスーツ姿だ。


 男たちは、長カメを蹴飛ばしながら、洞窟の中を丹念に調べてゆく。

「オイ! だれもいないようだぞ! コイツ、またオレらをだましたな?」

 長カメは小さくなっていた。

「今度という今度は許さん! 懲らしめてくれよう!」

 男の一人が長カメをつまみ上げようとした。


 そのとたん、洞窟に火が広がった。長カメを巻き込むように、緋色の炎が吹き上がる。

「な、なんだ? これは!」

「うわ、アチチ!」

「逃げるぞ。外に出ろ!」

 男たちは命からがら洞窟から飛び出た。


 洞窟の中は火の海――しばらく勢い強く燃え上がった炎は次第に鎮火した。

「燃え広がる恐れはなさそうだな」

「だれかが焚火でもした跡か?」

「この火だと、中にだれかがいたとしてもみんなまる焦げだ」

「念のため、あとでもう一度見に来よう。総監の手先よりもさきに神亀さまを探し出さねばならん!」


 男たちが去り、洞窟に静寂が戻った。火は収まり、長カメは姿を現したアイリとじいちゃんカメの前に跪いた。

「さあ、説明してもらおうか? 長カメさんよ。いったいどういうことだ?」


 厳しい表情で、アイリが仁王立ちしている。

 その身体からは、熱を帯びた綾色の光が発せられている。髪は逆立ち、まなじりは上がり、指先の爪が尖っている。じつに荒々しく、まことに神々しい。じいちゃんカメは思わず後ずさりした。


 長カメは平伏したまま詫びた。

「お許しください。脅されたのです」

 アイリはフンと鼻で笑った。

「わかってるさ。おおかた、おまえの一族を皆殺しにするとでも脅されたんだろう? だが、あたしらに危機を教えた。それで相殺だ」

「もうしわけございません。あなたさまが朱雀さまとお察しいたしましたので、とっさに判断いたしました」

「フン! わざわざ秘密通路の話を持ち出して、危険はないだと? それだけで十分危険だと言っているに等しいぞ!」


 カメ長はホッとしたように顔をなごませた。

「さすがは朱雀さま」

「その朱雀さまはやめろ! あたしはあんたの言い訳を聞きたいんじゃない。あんたが言ったことのうち、なにがホントで、なにがウソかを知りたい」


 長カメはアイリを見上げた。光は収まりつつあったが、美麗この上ない顔にはなお朱雀の余韻が残る。

「青緑の甲羅を持つ子カメがわたしの末息子であるのは事実です。その子が神亀とされているのも本当です」

「なるほど」

「ですが、その子カメを里に戻してほしいというのはわたしの願いではありません」

「なぜだ? 直接、都市の役人に引き渡せと?」

 長カメは大きくかぶりを振った。


「とんでもない! そんなことをすれば、あの子は殺されます」

「殺される? 神亀なのに?」

「神亀だからです。生贄にされるのです」

「生贄だとっ?」

 アイリが叫ぶと、洞窟内に声が反響した。耳をつんざくほどの大音響になる。


「はい。我が青カメ一族は、さきほど申しました通り、非常に古い一族。限られた空間ながら、平和に暮らしてまいりました。数千年前のこと。青緑色の非常にきれいな甲羅をもつカメが生まれましてな。そのカメを人間たちが捕獲し、神亀と崇めたのです。まさに都市を作り始める時期――カメは生贄として捧げられ、都市が成立しました」

「生贄……」とじいちゃんカメが青くなった。


「その後も、青緑色の甲羅をもつカメが現れるたび、人間がとらえては生贄として捧げてきました」と長カメ。

「いかなる儀式でござるか?」じいちゃんカメが尋ねる。

「滝の神に捧げます。〈聖なる水〉が尽きぬようにと」

「滝の神? じゃが、この都市には滝などないはず」

「いいえ。ありますが、見えぬのです。〈聖なる水〉はその奥滝の湧水――われらカメ族が好む匂いを発し、カメは酒に酔ったようになります」

「あなたはそれをご覧になったのか?」

「いいえ。言い伝えです。カメ族は恐れて滝には近寄りません。人間も近づけません。ただ、匂いは別なのです。ごくまれに強い匂いが漂い、われら青カメ一族は身を潜めて匂いが消え去るのを待ちます」

「そうであったか」

「ですが、昨日の匂いは特別でございました。〈聖なる水〉の中に、わが子の匂いと大カメ族の高貴な匂いが入り混じっておったのです。わたしは真相を確かめようと、匂いを辿ってここに着いた次第」


 アイリが厳しい声で尋ねた。

「アイツらは何者だ?」

「都市総監の政治的ライバルである情報管理大臣の手のもの」

「情報管理大臣?」

(あの会議室で総監や文化大臣と一緒にいたヤツか? 妙に迫力のある女だった)


「そうです。神亀を手に入れた者こそ、次の選挙で勝てると踏んだようでして、総監たちよりも先に探し出そうとしているのです」

(なるほど、それで二つのグループが来たというわけか。一方は軍隊の特殊部隊、もう一方は情報管理局の特殊職員というところだな)


「では、あんたはわれらにどうしてほしい?」

 長カメは地面に額をこすりつけながら懇願した。

「どうかお願いです。もしあの子を見つけたら、別の世界に連れて行ってください。このままここにいては、いずれ見つかり、生贄として捧げられるのは必定。あの子をそんな目にあわせたくございません」

 じいちゃんカメは問うた。

「だが、あんたたちに咎めがあるのではないか?」

「かまいません。すでに都市外の河で暮らしていること自体が、ある種の罰なのです」

「罰?」

「はい。文明化から取り残された未開の存在とみなされますゆえ。なんの権利もなく、捨て置かれております」

「……あいわかった。もしその子カメを見つけたら、連れて帰ろう」

「感謝いたします」


■長カメの願い

 長カメはじいちゃんカメを見つめた。

「あなたさまは、世界のカメ一族の頂点に位置する大カメ族の将軍とお見受けいたします。こちらにはさらに高貴なお方がおられたのでございましょう。どうぞお伝え下さい。わが青カメ族は、遠い昔、地下河に閉じ込められ、それ以降、世界のカメ族とは交流を絶ってまいりました。ですが、叶うならば、大カメ族とともにカメ族としての誇りを取り戻したい。そのお許しをいただきたいと」

 じいちゃんカメは頷いた。

「わかった。そうお伝えしよう」

「ありがとうございます。今後、われら一族、大カメ族に忠誠を誓い、協力を惜しみません」


 長カメは、アイリを見上げた。

「あなたさまは伝説の朱雀さま。匂いで予測はついておりましたが、さきほどの緋色の炎で確信いたしました。まことに美しき焔でございました」

「あんたは朱雀、朱雀というが、ほんとにあたしが朱雀かどうかはまだわからんぞ。で、匂いと言ったか? どんな匂いがする?」

「火の山の匂い――熱く、激しい、大地の炎の匂いです。さきほどのようにお怒りになったときに、その匂いが強くなります」

 アイリが怪訝そうな顔をした。

「火の山? なぜ、火の山を知っている? あんたたちは地下の河に縛られているんじゃないのか?」

「はい、縛られております。われらは地下の河を離れることができません。しかし、地下の河は火の山を越え、遠くカランまでつながっております」

「カランまで……」アイリは低く唸った。やはり巨大な地下河が存在するようだ。


「一つ聞く――あたしの匂いに気づく者はほかにもいるのか?」

 長カメは首を横に振った。

「ほとんどおりますまい。ですが、古きルナ一族ならば、気づくかもしれません」

「古きルナの一族?」

「あなたさまをはじめ、四神はその一族の直系のはず。ですが、ルナ一族には四神に代表される〈光の一族〉に対し、闇に潜った〈闇の一族〉もいると伝わります」

「〈闇の一族〉?」

「さようです。わが青カメ族を反乱の罰として地下河に閉じ込めたのも〈闇の一族〉。ですが、その一族の姿はまったくわかりません。われらの記憶と歴史が抜かれているからです」


「記憶が抜かれる?」

「そうです。ただ一つだけ、古き言い伝えが残されました。祖先が命がけで岩壁に記録を残したからです。それは、青カメ族の過ちを朱雀神の火が浄め、青カメ族に幸いが戻るとの言い伝え――朱雀の炎は浄化の炎なれば、失われた記憶を呼び戻し、一族の名誉を取り戻すと」

 長カメは深くお辞儀をした。アイリは無言のまま、長カメを見つめた。

(〈闇の一族〉? はじめて聞く――まさか、弓月御前?)


 長カメは最後にもう一度お辞儀をして去ろうとした。

 子カメがはい出てくる。

「父上!」

 長カメが振り返った。

「な、なんと! ユウではないか!」

「うん!」

「いまの話を聞いておったのか?」

「うん!」

「では、このお方たちについてゆくがよい。母上も里のみなも安心するぞ」

「わかったよ! ボク、父上の言いつけを守るからね!」


 長カメは何度も振り返りながら、去ってゆく。その姿が見えなくなるまで、子カメは父親を見送った。


 アイリが尋ねた。

「おい、おまえ、記憶が戻ったのか?」

 子カメが頷いた。

「うん、さっき、火の中でいろいろなことを思い出した。でも、全部じゃない」

「そうか。で、思い出したのは何だ?」

「いろいろな通路。ボク、秘密基地や秘密通路を探し出すのが趣味だったみたい」

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