えぴそーど20 貧困層ほどナショナリズムが好き
「チロメさん以外は自己紹介もできてなかったですね。まずはそこから行きましょうか」
そう促すと、まず真っ先に手を挙げたのはラエルだった。
彼女は背中に背負っていたでかいリュックサックを置き、白シャツ一枚のラフな格好に着替えていた。
180㎝越えの高身長かつ、まさに『黄金比』といったモデル体型で胸元辺りはすごいことになっており、金髪金眼も合わせるとアメリカ映画の大女優が飛び出してきたようである。
手を伸ばしたことによってそれはさらに強調されていた。
隣のチロメが「おぉ……」とガン見している。
「チロリンにはもう言ったけど、私の名前はサンスベリア・ポプラス・ラエル。出身はルピアの東の方で、世間からは『魔導卿』なんてこっぱずかしい名称で呼ばれてるね。好みのタイプは黒髪ロングの明るい子かな!」
チロメに「パチン☆」とウインクを送っている。
送られた黒髪ロングの明るい子は白い頬を顔を赤くした。……なんかラブコメしてる。
お、次は私か。
「柊リダムです。歳は17で、職業はチロメさんのマネージャーです。ツインテールが好きです。愛嬌があるとなおよしです」
「わかるぜリムリン! 地雷系でも活発系でもどんなツインテールでも可愛い」
「大魔術師様でもそういうこと考えるんですね」
魔導卿と呼ばれた女の頭脳の使われ方がこれか。
「……リダム。一つ重要なことを言い忘れてはないですか?」
「何ですシルフィア様?」
「……あなたが男だと言ってないじゃないですか」
「ああ、そういえば」
「えっ」
私としたことがというやつである。
最近自己紹介なんてしていないから忘れていた。
ラエルがありえないものを見たかのような顔をしていた。
「え、えぇ!? お、男!? その見た目で!?」
「はい。うっかり言い忘れてましたね。母親似と思われがちですが、実は大して似てません」
「はぁー、人間って色々いるのねー、世界広しだわ……」
私の持ちネタに特に反応はされなかった。
何にせよ次はシルフィア様のいんとろどぅーすである。
正座でざぶとんに座っている『堅さ』に対し、体系の幼さと童顔さで見た目が愛くるしくなってるのが面白い。
「……アステルト・シルフィアと申します。種族はエルフです。チロメさんのお父様の会社で秘書として働いています」
実に簡素にそう述べた。
この人らしい、無駄の一切ない自己紹介である。
ラエルがニコニコとしながら聞いた。
「一文忘れてんじゃなーい? 好みのタイプは?」
「……………」
「あははは! 連れないねぇ!」
シルフィア様は特に何も答えなかった。
お調子者というか、おしゃべりというか……ラエルとシルフィア様はどうも馬が合わなさそうだ。最初の誤解は解けたし、お互い嫌いあってはいないだろうけど。本人たちの気質が真反対である。
とりあえず軽い紹介は終わった。
「これから何をするかを決めましょうか」
本題に入ろう。
まずは目的確認からだ。
「前提の確認からですが、ラエルさんは観光するためにここに来ているという解釈でよろしいですか?」
「そうだね。他にも学術書とか研究道具とか職業的に購入したいってのはあるけど、8割がたは観光かな」
軽く確認していると、チロメが挙手をした。
「今日明日は土日だけど明後日は月曜日で学校があるからさ、私がいれるのは日曜日までなんだよね」
「……私も同じくです」
ラエルが帰るのは明々後日の朝なので、明日と明後日が遊べる時間である。
そのうち日曜は2人は入れないという話である。
ラエルが少し残念そうな顔をしつつ。
「そっかぁ、勉強とお仕事がんばってね!」
「ごめんね。学校終わったら会いに行くから」
「土日以外は学校行くって本に書いてあったよなぁ……リダムも最終日は学校でいない?」
「私はそういうところは行ってないので月曜日もいられます」
なんかこう言うと悲しくなるな。
前置きは終わった。
考えないといけない問題がある。
普通の外国人一人の東京案内なら大した労力はかからないんだが……今回ばかりはかなり話が違う。
「問題はラエルさんの魔力の領域です」
ここをどうするか、だ。
「これがある限りラエルちゃん、人気の多いところは歩けないもんね……」
「……観光スポットは基本的に人が多い。考えなしに歩けばパニックが起こるのは確実です」
チロメとシルフィア様が議論する。
うーん、紛れもない残酷な事実だ。こう聞くと要求値はやはり高いと認識させられる。
「ラエルさんの領域の詳細について教えてくれませんか?」
詳しく性質を知らないと議論はできない。
どれくらいの範囲まで抑えられるのか、時間はどれくらい持つのかなどなど。
「何も考えてないときはだいたい半径8mで展開してる。今も抑えてるけど、意識すれば30㎝くらい――一般人より若干広いくらいの範囲には絞れるかな」
「30㎝ですか。私じゃいまいち感覚がわかりませんね。シルフィア様はどれくらいで展開してるんです?」
「……15㎝ほどですよ。私はあまり魔力が多くありませんし」
そうなのか。
魔力なんて全くわからない私は言葉をそのまま鵜吞みにしたが、ラエルが「シルリンも結構多い方でしょ」と突っ込みを入れる。
多いんかい。
「けど問題点が二つあって、一つは結構な頻度で意識が緩んで広げちゃうのと、もう一つは範囲を縮めてるだけで展開してる『量』自体は変わってないから、30㎝内に入られるとびっくりさせちゃうってことかな」
「うーん、30㎝って結構広いし、少なくとも人通りの多い道を長時間移動したり、電車とかバスに乗ったりは止めた方がよさそうだね。でも、短時間だったら気を付ければ街中でもあるけそう」
チロメと同意見である。
意識すれば抑えられるといっているが安定性は無いようなので、人の近くを移動するのは短時間のみと想定置いた方がいい。
「しかしどうします? 人の多いところに行けないとなると、メジャーな観光地なんて行けませんよ」
「――そこは私に任せてくれないかな?」
チロメが自信満々にそう言った。
「ここの辺りには精通してるからね。人気なところには連れて行ってあげられないけど、十分楽しめそうなところは連れてってあげられると思う」
「それは心強いね!」
ラエルがニパッと笑った。
かわいい。
「しかし、魔力の多い人ってのはみんなラエルさんみたいにご苦労なさってるんですか?」
「……そんなことはありませんよ」
ふと生じた疑問を投げかけると、シルフィア様が答えた。
「普通は魔力を膨大に持っていたとしても体外に出せる量は限られます。どんなに多くても最大容量の3割ほどが限界です……長い修業を積んだうえ、本気で放出して」
「魔力って全部体の外に出てるものじゃないんですか? オーラみたいに迸って」
「だいたいは『魂』の中に貯蔵されています。これくらいは義務教育で教えられているはずですが……」
チクチク言葉はやめて欲しい。
「シルちゃんの言う通り。私、病気なんだよね」
ラエルが簡潔にそう言った。
視線が彼女に集中する。
「生まれた時から私の魔力は外に放出しっぱなしでさ。医者に診てもらったこともあるけど、原因不明って匙を投げられちゃった。魔力量も多かったし、他人を不快にさせないために家の一室で引きこもってることが多かったなぁ」
育ち盛りの年頃のときにそれは……きつそうだ。
唐突に語られた重い設定に場の空気がしんみりする。
それを感じたのかラエルが慌てて付け加えた。
「まあ、魔力が外に出てても問題なく大人になれたし、むしろ魔術師としてはでかいアドバンテージだったからデメリットだけじゃないんだけどね! だから今魔導卿なんてもてはやされてるわけで! それに――お母さんはちゃんと構ってくれたから、寂しくはなかったしね」
最後の言葉を言う際、トーンが下がったことに気づいたものは私以外にいたのか。
指摘しようか少し考えて……やめた。言ったところで意味はない。
みんな無言である。
ラエルの努力むなしく、空気は変わっていない。
心配するようなチロメの目と何かを考えているシルフィア様。
ラエルの額には大粒のしずくが浮かんでいた。
「へ、変な空気になった! しくったなー……この空気を何とかしなければ、そうだ!」
ラエルが突然後ろに置いたでかいバッグに手を伸ばした。
そしてごそごそと何かを探し出す。本や、図や計算式で埋め尽くされた紙の束をぽいぽい投げ捨てている。バッグのそこに埋まっていたのかようやっと目的のものを見つけ出すと「あった!」とかわいらしい声を上げる。
「リムリム、これ、数日お世話になるし、観光も手伝ってもらっちゃうからそのお代!」
「え?」
私の手に何か渡される。
見ると――でっけぇこぶし大の宝石だった。
水晶のように丸く削ってあり、周りを金で装飾されている。
虹色の眩いほどの光を放っていた。
!!!?!? !?!?!?
「え、え、えっ!?」
「売ったらそこそこの値になるんじゃない? もう少し欲しいならもうちょいあげれるよ」
「こ、こここここれ……この色、輝き……天然ダイヤじゃないですか! 5、500gはありそうです……ってことは2500カラット!? い、いいいいいいいんですか!?」
「もちろん! 売ってお金の足しにしてよ。こんなんいくらでも持ってるし」
唐突に降臨した大金。
売ったらいくらだこりゃ!? 見るに品質は申し分ない。宝石は大きさがデカければでかいほど価値は二次関数的に増えていく。
ここまででかいものだと億単位の値段がつく!
億、億!?
億あれば私の人生変わっちまいますよ!?
もうチロメのご機嫌取りなんかしなくていい。
朝昼晩を米だけの生活も終わりだ。
こんなクソみたいなアパートで寒い夜を過ごさなくたっていいのか!? エ、エアコン付きの物件に住める!? ……思い出何かねぇよこんなクソ物件! すぐおさらばしてやる!
お、億でしょ!? だって億でしょ!? 数億あれば……配当狙いの安定した投資でも年収1000万に届く。私の今のチロメドーピング年収でも700万ほどだ。え、え!?
転機! 人生の転機ってホントにいきなり訪れるもんなんですか!?
リダムよ、お前の苦労をずっと見ていたぞ……とか、神様は言ってくれるもんなんですか!?
や、やったあああああああああああ!!
ありがとうラエル様! イ人大好き! もうこれからはナショナリズムを掲げるのもやめるし、移民政策にも反対しません!
「……リダム、少しそれを見せてくれませんか?」
「え、えへへ、たっけぇ桃とか買ってみてぇですね……あら、なんですシルフィア様」
ちょっとラリッてた。意識が声をかけられて戻る。
もうこいつのことを様付けで呼ばなくていいと思うと感慨深いな(笑)
「もちろんいいですよ」
シルフィア様に手渡す。
チロメが「すごいきれーい……」と横からそれを覗いていた。
色々見ていると何やらだんだん深刻そうな顔になっていき、ラエルに向いて質問しだす。
「ラエルさん、これはどこで入手したので?」
「ん? どこだったかなー……レッドドラゴンの巣穴……は違うか。ええと、確かどっかの遺跡の宝物庫だったかな? 密林の奥の方まで歩いた記憶がある」
「……これは、重要な文化財の可能性があります」
シルフィア様がなんか言い出した。
「そうなの、シルちゃん?」
「ここを見てください」
宝石の金の装飾部分に指をあてる。
そこには何かよくわからない紋章が書いてあった。
「それが何なのシルリン」
「遥か何千年も前に栄えたと噂されていますが、実際にはほとんど記録が残っていない古代文明の紋章です。これはもしかしたらその文明が存在していた証明になりうるものかもしれません」
「へぇー、シルちゃん詳しいんだね!」
「今までの学説がひっくり返るほどの重大な発見ですよこれは……!」
珍しくシルフィア様が興奮している。
そういえばこの人歴史好きだったっけ。前に一緒に博物館に行ったのを思い出した。
ハッとしたのかゴホンと咳払いをして、私に宝玉を返す。
「リダム、もしかしたらこれに価値はつかないかもしれません」
?
「これはルピア王国の歴史に関わる重大な歴史的文化遺産に当たる可能性があります。つまり、国宝ですね。文化的価値を抜きとして宝石としてみても数億円ほどの価値はありそうです。そしてそれほど大きな取引だと、色々と鑑定や仲介も必要でしょう」
「そうですね。少なくともそこら辺の『即日買取!』とか言ってるところじゃ売れなさそうですね」
「大規模な品質査定機関を通せばまず間違いなくこれの真の価値は判明します」
「はい、そうでしょうが…………あぁっ?」
はっとする。
シルフィア様が何を言いたいのか分かった。
「……果たして、この宝石の価値がわかった際にあなたは正当な所有権を主張できるでしょうか?」
夢が崩れる音がした。
その場でカチリと固まった。
「え、笑顔のままピクリとも動いてない!」
夢は終わりました。
「で、でもシルリン。国宝級の価値があるってのはわかったけど……いくらなんでも所有権がないってのは飛躍しすぎじゃない? あっちの国も買い取るとかはしてくれるんじゃねーの?」
「……ラエルさん、あなたが出品者ならそうなるでしょう」
ぷええええええええええ。
「ごく普通の小庶民であるリダムがいきなり出品したとして、この宝玉のルートは極めて怪しいものです。魔導卿として名をはぜるあなたなら、クリーンな所有権を主張できるでしょうが」
「リダム、リダム!? 返事してよ!?」
「リダムの場合、自力で発見した、真っ当な市場で大金をもって購入した、どれもありえません。おそらく国家がこの宝玉の入手経路を正当なものとすることはないでしょう」
ああ――シルフィア様の言う通りだ。
活動を再開しよう。
チロメが急に動き出した私にびくっと体を揺らした。
はいはい、きりかえてこー。
「ご心配おかけしました。もう大丈夫です」
「リ、リダム……? ほんとに大丈夫?」
これからはよりいっそうナショナリズムを掲げていこう。移民反対!
胸に誓った。
「リムリムごめんね、売れないなんて知らなくてさ」
「元々何ももらうつもりなんてありませんでしたから。謝らなくて結構ですよ」
「ちょっと待っててね。別のやつ選んでくるから」
ナショナリズム掲げてるやつってバカだよね。
自分は働かなくてほとんど納税してないくせにさ、税金を国民以外に使うななんて調子のいいこと言っちゃって。
ナショナリズムは為政者の都合のいい統治方法の一つってことを理解しろよな!
「これとかどうだろ……シルリン査定を通すか」
「……おそらくですが全部多分似たような価値がありますね。パッと見だけでも何かしらの歴史的発見につながる可能性の高い証拠が見受けられます」
「えぇ!? まじぃ!? っくそー、じゃあ今あげられるものはほとんどないなぁ。ごめんね、リムリム。あと、チロリンとシルリンも、ほんとはみんなに何かお金になるものあげたかったんだけどさ」
移民反対! 移民反対!
くーるーな! くーるーな! 我が国にくーるーな!
みんな! ナショナリズムを掲げるんだ!
移民は日本を悪くすることを忘れるな!
「他にあげられるものといえばこれくらいしかないね……」
ん? まだなんかあんの?
そして手渡されたのは、分厚い札束だった。
「なんか物で渡したかったんだけどね。100万円くらいでいいかな、宿泊費はさ」
「……さ」
――流石に受け取れねぇです、これは。
◇ ◇ ◇
「だいたい決まったかな」
そこから会議は割と順調に終わった。
ラエルの領域問題が深刻だったのでもっと長引くかと思っていたが、地元マスターを自称するチロメがラエルの希望を聞き出し「これなら何とかできるかも」とルートを考えてくれたのであった。
日本人が経営している古本屋、
人通りの少ない道、
あんまり人のいない穴場スポット、
その他もろもろ。
その圧倒的な知識量には私も舌を巻いてしまうばかりで、どこをどうまわるのかは当日のお楽しみと教えられなかったけど、そこそこいい感じにはなりそうである。
「――そろそろ晩御飯の準備を始めますね」
そう言って机を立った私をみんなが不思議そうに見る。
「随分早くない? 今まだ3時のおやつの時間だよ」
「仕込みをしようかと思いまして。それに4人も泊まることを想定しませんでしたので、足りない食材を買いに行かないといけませんし。粗末なものをラエルさんやチロメさんたちに出すわけにもいかないです!」
チロメが感心したように口を開く。
「リダムは料理できるんだね。私の限界はスクランブルエッグなのに……」
「それなりにですけどね。一人暮らしができる程度です」
返答しつつ冷蔵庫に向かう。
一人暮らし向けの小さいやつで、冷凍庫や製氷機なんかはついていない簡素な奴だ。
何か残ってたっけなー……と買いにいくものを決めるためにそのドアを開けた瞬間、後ろから声を掛けられる。
「リダム、私も手伝いま……」
――冷蔵庫には何も入っていなかった。
チロメとラエルは奥で談笑していて気づいていない。
しかして、私の後ろに来てしまったシルフィア様にはそれがわかる。
私とシルフィア様の間に気まずい時間が流れる。
さてさて、もし朝にシルフィア様と会っていなかったら「うっかりです! 買い忘れちゃってました!」で済んだが……背中の後ろで脳を回転させてる音が聞こえる。
う――うかつだった。
真実に到達される前に押し切りたい。
「うっかりです! 買い忘れちゃってました!」
「リダム」
「……な、何ですかそんな怖い声で」
「あなた朝にコメを買いにスーパーに行ったと言ってましたね」
「……そうですね」
「なぜ、冷蔵庫が空にも関わらず米以外何も買わなかったんですか?」
…………。
「うっかりです! 買い忘れちゃってまし」
「リダム」
「はい」
「まさか米だけで過ごすつもりだったので?」
人には人の食生活があります。
そんなに他人の生活に首突っ込まないでくださいよシルフィア様。
「……言いたいことは色々とありますが、この有様……あなた本当に料理はできるので?」
「ま、まあできますよ。見ててください。人に出すならまともなものを作りますので……あ、そういえば」
アパートに備え付けられたもので、錆びだらけのシンクにコンロが並んでいる。
当然コンロは電気じゃなくてガスだ。『あいえいち』なんて当然搭載されていない。
まっじで古い。
シルフィア様がそれに顔をしかめた後、コンロの表面を指でなぞる。
指にはたんまりほこりがついていた。
あなたいい姑になりそうだね。
「……あなた、これいつから使ってな」
「アパートが古いから汚れやすいんです」
「…………」
「掃除はちゃんとするんで今日は許してください。……それより確かめたいことはですね」
ガス栓を開けた後、ふーっと深い呼吸をする。
コンロのスイッチに指をかける。
つまみを回した。
……火はつかない。
「…………」
「…………」
再度カチカチ回してみるが何も反応してくれない。
「やっぱ今日は調子悪いですね」
最近使ってなかったからなぁ。
カチ、カチ、カチ、カチと何度も回してみる。
「…………あなた」
「あ、つきました! よかった! 庭で火おこしで作るのも面倒なのでね!」
やっとついた!
これにはシルフィア様もにっこりだろう。
横に笑顔のシルフィア様がいることなど見なくてもわかるので、あえて答え合わせはしない。
しないったらしない。
「……ちなみに、調理を行うときはいつもどうしていたので?」
「炊飯器と電子レンジでぶいーん、です。案外なんでもできますよ。シルフィア様も試してみてください」
「…………」
「今日はちゃんとやりますよ? ……やりますんで許してください」
許しを請いてばっかりだな今日は。




