痴話喧嘩
誤字、脱字がありましたら報告していただけると幸いです。
見回すと、祭壇の花前に立っていた。
いや、もたれかかっていたが正解か…
「卑怯な…俺を騙しやがって…許さん!」
「卑怯?何言ってるの?殺し合いよ?殺し合い。何でもありなの、だって『死人に口なし』だもの。」
殺し合いに卑怯も糞もあるもんか。
負けたほうが悪い、これが殺し合いのルールだ。
「それに、騙される方が悪いでしょ?」
「いや、騙す方が悪いと思いますが…」
サフィーが否定してくる。
「サフィー、いい機会だから教えておくわ。世の中、自分の身は自分で守らないといけないの。騙されて、自分が傷付いても自己責任。悪質な物を裁く法があっても、結局自分で自分の身を守らないといけないの。」
「どうしてですか?法律があるのに…」
「法がまともに機能するのは、何かがあってから。『何かあってからでは遅い』という言葉があるの。でも、法が守ってくれるのは『何かあった後』。それまでは、ただの抑止力。」
そう、法は肝心な時“しか”守ってくれない。
それ以外は抑止力でしかない。
だから犯罪が無くならないの。
「だから、騙されない様に本当に正しいかどうかよく考えなさい。それでもわからない、失敗した時は私を頼って。」
「はい!」
「さて、貴方もわかったでしょ?『自己責任』というものが。」
さて、どう答える?
「よくわからんが、『自分の身は自分で守れ』ということはわかった。」
んー、取り敢えず最低限わかったみたい。
まぁ、殺すけど。
「そんなことより!俺の力で勝てぬのなら、魔神様!御力、使わさせて頂きます!」
来るか、魔権。
「『魔権 嫌悪増幅』!!」
馬鹿の魔権が私達に降りかかる。
?
特に何も…ああ、なるほどね。
私が今抱いている感情、嫌悪感。
これを強くする魔権なのね。
にしても使い勝手悪すぎない?
「サフィー、大丈夫?」
「黙れ弱腰姉。」
「なんですって?」
サフィー、いつからそんな事を言うようになったの?
「サフィー、貴女今自分がなんて言ったかわかってる?」
「五月蝿いですね、わかってるに決まってるじゃないですか。何時になく頭が悪いですね?」
なるほど、時と場合によっては強いかも。
「サフィー、今すぐに頭を地面に擦り付けて謝るなら許してあげるわよ?」
「するわけないじゃないですか?」
仲違いさせて、自滅させようって魂胆か…
これは…危険だね。
「私に向かってよく物を言うようになったわね?これじゃ夜の貴女と同じね?」
「ふん、後手に回るのも夜と同じですね?」
あ、この方向に話しを持っていくのはやばい。
「サフィー、貴女ちょっと性欲が強すぎるわよ?いつからオークになったの?」
「お姉様、貴女は弱すぎですね。いつも、犯されるだけのエルフみたいじゃないですか?」
まぁいいや、この際不満を全部ぶつけよう。
「サフィー、貴女“自主規制”しすぎなのよ。私の“自主規制”を散々“自主規制”した挙げ句、“自主規制”まで“自主規制”してくるなんて、どうかと思うわよ?」
「お姉様、貴女妹の“自主規制”を何だと思ってるんですか?いつもいつも、変なものを私の“自主規制”に入れてぐちゃぐちゃして、どうかと思いますよ?」
「それは、貴女が嬉しそうだからしてあげてるのよ。」
「私も、貴女が嬉しそうだからしてあげてます。」
「わかったわ、じゃあ今夜は私がサフィーと同じ事してあげるわ。」
「そうですか、なら今夜は私がお姉様と同じ事をしてあげますね。」
その時、嫌悪感が嘘のように消えた。
「お、お前ら、何やってるんだ!?」
馬鹿が顔を真っ赤にして怒鳴ってくる。
こいつ、DOOTEなのか?
「何って、痴話喧嘩だね。」
「ですね。」
「だとしても、限度があるだろう、限度が!」
馬鹿に叱られるとは思わなかった。
なんか、無性に腹立つな…殺すか。
「待て待て、なぜ今俺に剣を向ける?」
「なんかムカついたから?」
「り、理不尽…」
にしても、少しの時間とはいえ、サフィーと本音で喧嘩…話し合いができた。
そこは感謝しよう。
「ありがとう、貴方の魔権も捨てたものじゃないわね。」
「なぜ感謝されるのだ…」
さて、感謝もしたし、殺すか。
「待て待て待て!考え直してくれ!!」
「サヨウナラ、」
「まっt、」
そして、私は馬鹿の頭をはねた。
ふぅ、忙しいのはこれからかな?
あんなことを言っておいて今更無しなんて、サフィーが許してくれないもの。
「もう夕方ですね、帰りますか?」
サフィーの目は輝いている。
すると、リララが、
「この教会は人が来ない上に音が外に漏れにくいのよね…」
サフィーの目の輝きが強くなる。
「私達もやるし、一緒にどう?」
サフィーは、蛇のような鋭い目をしている。
はぁ、仕方ない。
「いいわよ。」
私達は、二人に案内されて、教会の地下室に入った。
ご想像におまかせします。




