薬草と回し者
誤字、脱字がありましたら報告していただけると幸いです。
「お姉様、これ退屈です〜」
「何言ってるのよサフィー、これは冒険者として、一度は経験しておくべき依頼なのよ!」
「お姉様は、草を毟る事のどこがそんなに楽しいのですか?」
私達が今している依頼、それは登録したての定番、『薬草採取』だ。
ここで、悲鳴が聞こえてくるまでがファンタジーの定番何だけど、平和そのもの。
このあたりは、人間がよく来るので、魔物や野生動物達がほとんどいない。
奥まで行ってたまーーーにイノシシと出会うくらい平和。
イベントが起こらなそうなのは残念だけど、薬草採取をしている、という現実もまた良い。
「また、『らのべ』の知識ですか?その変なこだわり、いい加減捨てたらどうですか?」
「そんなことしたら、今の作業がただの草むしりになるじゃない。ロマンよ、ロマン。」
「ハァ、姉の自己満足に付き合わされる、妹の気持ちも考えて欲しいですねッ!」
「ちょっとサフィー!そんなに強引に引っ張ったら、薬草が駄目になるじゃない。もっと丁寧にしなさい。」
サフィーが見たことないくらい嫌そうな顔をする。
そんなに草むしり嫌いかしら?
私は、前世では草むしりが好き…覚えてないんだった。
まぁ、気を取り直して、レッツ薬草採取!
「きゃあああああ!!」
「「!?」」
テンプレキター!
「よし!見に行くわよサフィー!」
「またロマンですか?姉の自己満足)以下略」
私達が走って行くと、ゴブリンに襲われている少女がいた。
フフフ、まさにテンプレ!ここで颯爽と現れた私が少女を助けて…ん?
私は、見覚えのある顔に首を傾げる。
「あ!孤児院の回し者じゃない!」
「なんですかその地味に不名誉なあだ名!!」
すると、孤児院の回し者はツッコミを入れてきた。
まぁいいや、適当にゴブを蹴散らしてっと。
「いやー無事でよかった。いつかぶん殴ってやりたいと思ってたところなのよ。」
「ヒエッ!」
「その前に治療です!かわいいお顔が台無しになってますよ?」
「よかった、妹ちゃんはまともだ。」
「きれいな物ほど台無しにするのが楽しいですから。」
「前言撤回、妹ちゃんもやばかった!」
後ずさりする、孤児院の回し者。
「逃さないぞ、孤児院の回し者。」
「なんですかそれ!私は、マラフィという名前があるんです!」
「口だけは立派ですね、この内通者は。」
「ひどくなってない!?」
サフィーって、静かで優しいイメージあるけど、毒舌でサイコパスなんだよね。
「ビーノお姉様、今失礼なこと考えませんでした?」
そして、勘が鋭い。
やっぱり心読術でも持ってるんじゃないかしら?
「ゴブリンの次はサイコパスシスターズって、詰んでるじゃないですか。」
回し者が何か言ってる。
「選んでください。私かお姉様か、どっちがいいですか?ちなみに、お姉様は体の表面をジリジリ焼く拷も…ゴホン!お仕置きが得意ですよ。」
この子今拷問って言ったよね?
「言ってませんよ。」
「ヒエッ!」
やっぱりサフィーが一番怖い。
「ちなみに私は、痛めつけて癒やして、痛めつけて癒やしてを繰り返す拷問が得意です。」
「もう普通に拷問って言うのね。」
「いちいち言い直すのが面倒くさいので。」
最初から、お仕置きって言えばいいのでは?
これ言ったら、睨まれそうだからやめとこう。
「サフィー、もういいわ。」
「いいのですか?」
「ええ、弱者によってたかって拷問だなんて、まるで私達が悪党みたいじゃない。その、回し者…じゃない、マラフィを街に連れて帰りましょう。」
凄い不満そう。
仕方ない、
「不満なら、私にぶつければいいじゃない。」
「…分かりました。今晩は楽しみにしておいてくださいね?」
うーん、妹の性欲が強すぎて困ってます。
性欲が、オークとか、サキュバスがびっくりするくらい強い事を除けば、天使何だけどな〜。
「性欲の強い妹じゃ不満ですか?」
「いいや、サフィーはそれ含めかわいいし、私の大好きな妹に変わりないわ。」
「ビーノお姉様…」
サフィーがうっとりする。
「あの〜、せめて人がいない所でイチャついてもらえませんか?」
「「あ?」」
「すいません。なんでもありません。」
私達は、邪魔者を黙らせると、またイチャつき始めた。
私は、マラフィ。
孤児院出身の受付嬢です。
今は、絶賛拷問を受けています。
このサイコシスターズは、私の“目と前で”イチャついているんです。
この、一週間前に孤児院の幼馴染みである、リララにフラレたばかりの、“この”私の前で。
確かに、喧嘩して先に手を出したのは私です。
ちゃんと反省もしましたし、孤児院の前で頭を下げて謝罪したのに、リララは私のことをフリました。
そんなに私のことが許せないでしょうか?
リララ…もう一度謝れば、よりを戻してくれるでしょうか?
…もしかして、気になる相手がいるとか?
だとしたら、寂しくなりますね。
小さい頃はよく、『ずっと一緒に居ようね』って言ってたのに、今じゃこんなにも疎遠になって。
あれ?どうしてでしょう。魔法も使ってないのに目から水が。
「ん?ど、どうしたの!?」
私の状態に気付いたビーノさんが私を支えてくれます。
「大丈夫ですか!?」
サフィーさんが背中を支えてくれます。
私は、二人に泣きながら、事情を説明しました。
「そんなことが…ごめんなさい、悪いことをしたわ。」
「気付けず申し訳ありません。」
「大、丈夫です。気にしな、いで、くださ、い。」
泣いているせいでちゃんと喋れません。
それでも、優しく接してくれた二人にどれだけ救われたことか。
私は、その後もしばらく泣き続けました。
「私は、どうすれば…」
そんなことを、思わず口に出してしまいました。
「もう一度、最初からやり直したいって、告白してみたら?」
「え?」
「リララさんは、待ってるかもしれませんよ?」
確かに、リララは自分から行くタイプじゃなかった。今も私が来るのを待ってるかもしれない。
「まぁ、取り敢えず街に帰ってから考えましょう?」
いつの間にか、門の前まで来ていました。
まさか、マラフィさんに、こんな過去があったとは…過去って言っても一週間前だけど。
「ビーノお姉様、どうするのですか?」
「まずは、話し合わせてそこで和解を目指すわよ。駄目ならアピールさせて、また付き合える様にしてあげないと!」
知人が困ってるんだ、どうにかしてあげたい!
「ずいぶんやる気ですね?」
「こういう恋愛ものは、ラノベでありがちだからね!それをサポートできるなんて、まるで、ラノベの主人公になったみたい!」
「あーはいはい、すごいですね〜。」
サフィーはずいぶんやる気が無い…というより、私に呆れてるのか。
最近、サフィーが冷たい気が…
「今、私が冷たいとか思いませんでした?」
「思いました。」
「大丈夫ですよ。今夜はアツアツになるので!」
「お、お手柔らかに…」
これは、今夜は眠れないね。




