8.異界の番人との別れ
あぁ、全ての説明が終わってしまった…心の準備をする時間稼ぎの為に早くなんでもいいから質問しないと…
行くのはもう既に決定事項だ。でも、いくらその宝珠に記録されているとはいえ魔法の使い方など一切知らない一般人が魔王を倒しに行くのは荷が重すぎる。
そもそも、知識がないのにオリジナルの魔法や武器・武具の制作なんてただの一般人が出来るはずないでしょ…
それなのに魔王を倒さなきゃいけないなんて…絶対無理すぎる
確か青の宝珠の知識の神の力で私は死ななかった筈だけど、これから会う仲間の天使は死ぬ可能性があるのを示唆されていた
あぁ…どうしよう…こわすぎる…とりあえず他に聞くことを考えよう
そういえば魔王に1人で立ち向かっていた神ってどういうことだろうそうだ、それを聞いてみよう
でも、さすがにこれで最後にした方がいいよね…これで最後にするからあとちょっとだけ覚悟を決める時間が欲しい
「あの…最後に1ついいですか?」
「なんだい?」
最初に会った時よりも歪ではない穏やかな表情になっている異界の番人に少し驚きながらも私は最後の質問をする
「魔王と1人で戦ったという神はどうなったんですか?」
「…?あれ?もしかして聞いていなかったのかい?彼、戦の神は最後まで戦いそして私の感知から消えて行方が分からなくなってしまった…十中八九魔王が関わっていると思うが、君には消息不明の神の捜索もして欲しいんだ」
…色々悩みすぎて聞いていなかった
ていうかなんか新しく断れなさそうな内容の頼み事が増えてしまった…
しかも、この質問に対しての解答簡潔すぎない?あとちょっと欲しいとは思ったけどさすがに早すぎる…
「そろそろ、準備は出来たかい?」
目を瞑り深く息を吸って吐く
もうそろそろ覚悟を決めなければいけない…まだまだ言いたいことはあるし、理由を聞いても結局納得は出来なかったけど、だけど、これから試練を受ける人達の為にも魔王討伐は必要なことでその人達が安全に異世界移住できるように神様の力をたくさん貰える私が異世界を救わなきゃいけない…
瞑っていた目を開く震えそうになる手を握りしめて口を開く
「…私は、魔法を使ったことの無い未熟者です。それでも、魔王を倒すことは出来ますか?」
たくさんの力を貰える。だけどそれも使い方次第だ。
気合いを入れて顔を上げて口を開いたのに結局、準備が出来たとは言えず不安が口を衝いて出る
思わず下を向いた私に異界の番人は少し大きめの声を出した
「顔を上げろ、神結みな」
ハッとして思わず顔を上げて異界の番人の顔を凝視する
…初めて名前を呼ばれた
自己紹介はしていない…する暇がなかったから
でも、名前を知っていてももう驚かない。彼は私の魂まで知っているから。それより驚いたのは、自分の名前を呼ばれて心が喜びに溢れたことだ。
「神結みな、君は魔王を討伐できる。天使達仲間を失わずにね」
異界の番人は思ったより真面目な顔をしていて、だけど私が不安がらないようにか声色がかなり穏やかで先程まで感じていた不安が消えていくのを感じる
「ありがとうございます…気合いが入りました。覚悟が、出来ました」
もう、下を向かない。元の世界の試練を受ける人達の為にも私は魔王を討伐する
私の覚悟が決まったのを見て異界の番人はそれはそれは綺麗な顔をして微笑んだ
歪ではない、怪しくない微笑みに思わずドキッとする
「それじゃあ君に力を付与するよ!宝珠の中にある記録や能力は膨大だから君には少し眠ってもらうよ!起きたら君はここではなく異世界の天界リズヴァインにいるから天使を見ても驚かないように!」
そう言って腕を振るうと凄いスピードで3つの宝玉が私の胸の中に入ってきた
これまた唐突、何故力を付与するとき眠らなきゃいけないことを伝えてくれなかったのか驚く暇もなく私の視界が暗転する
別れの挨拶もなしですか?ていうかもう会えないのかな?
そんな考えが一瞬頭を過ぎるが深く考えることもできず私は気を失った
最後まで見ていただきありがとうございます。
作者、遅筆なため今日から2日に1回の投稿になります。
ストック次第では連日投稿もすると思うのでその時はまたお知らせ致します




