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世界滅亡まであと3年〜元の世界の人類を救うために異世界の魔王を倒します!!〜  作者: ただのおばけ


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幕間.お見送りside異界の番人

ソファにもたれ掛かるように気絶している神結みなを見て私は1つため息を吐いた

久しぶりに人と話すためにこの凝り固まった表情筋を動かせるように鏡を見ながら練習したり、感情を表す表現方法や上手なコミュニケーションの仕方を勉強したが上手く接することはできただろうか…


「…いや、最初に怖がらせてしまったのは失敗だったな」


ちょっとおどけた道化師のような表現方法は相手の懐に入りやすいと思ったのだか何故か最初から警戒されてしまい…いやまぁ、警戒されるのは当たり前か…

脅かしてしまったせいで魔王討伐に同意を貰うのにかなり時間がかかってしまった


「だが、これでようやくリズヴァインの神達の願いを叶えることができる」

そのことを考えて私は心底安堵する

彼女がいてくれて良かったもしいなかったら私はまた…いや、それを考えるのはやめよう。最悪な自体は免れたのだから

「さて、そろそろ彼女をリズヴァインに送るか…」

この状態の彼女を転移魔法で送るほど私は非道ではないからね。

まぁ、この状態で転移魔法で送っても神殿に転移されるから多分、天使達がすぐに保護するだろう

しかし、突如現れた新たな神に天使達は驚き扱いに困ってしまうかもしれない

一応100年前に説明はしていたが…

うるさい天使が彼女の活躍を邪魔してしまう可能性を防ぐ為に私も一緒に行った方が得策だろう

それに彼女に渡した神の力の巡りの様子もしばらく見たいし

 

そう思いながら私は魔法で彼女をヒョイと浮かせたあと片手で彼女を縦抱きする

空いた手で空間に縦長の長方形を描き人差し指を前に出し手首を振るとブンッと軽い音を立てて両開きの扉が出現する


「さて、この音を聞いて誰かが出迎えに来てくれるといいのだが…」


扉に近づくと音も立てずゆっくりと両開きの扉が勝手に開く

完全に扉が開ききって扉の向こうを確認すると階段の下に白から青にかけてグラデーションがかった四つ羽根の天使が1人跪いて出迎えていた

顔はよく見えないがこの祭殿にいるということは最上級天使の1人だろう


さて、私が知っている天使だといいが…


そう思いながら私はリズヴァインの中央大神殿の祭壇に降り立った


「久しぶりだね、リズヴァインの天使よ。顔を上げてくれ、君は誰だい?」


「お久しぶりでございます…異界の神よ…私はウルーズド・クロスでございます」


そう言って顔を上げた天使の顔に見覚えがあった

「あぁ、君は確か知識の神リリーシュ・アーリィ・クロスの補佐官だった天使か!100年振りに会えて嬉しいよ」


特徴的な十字架の瞳と小さい雫型の飾りが付いたチェーン着きの細い丸メガネをつけ、いつもリリーシュの後ろに付き従ってきた天使は、何故か不思議そうな顔をして口を開いた

「何を仰いますか…異界の神が最後にいらっしゃいましたのは500年前ですよ?もう、この世界は見捨てられたと思い一部の天使達は諦めておりました」


…あぁ、そうだった。私と他世界の進む時間の進行は、ずれているんだった

リズヴァインは私が1年経過すると5年経ってしまうのか

神の力に耐えられる魂を探すのに夢中で忘れていた


「…いやぁ、君たちが過ごす時間と私の時間がズレているのを忘れていたよ。でも、安心してくれ!ちゃんと新しい神を見つけてきたから!」


そういえば、この子には100年と言ってしまったな

まぁ、それくらいは誤差だろう。結局これからの戦いが大切だからね

「そちらのお方が新しくこのリズヴァイン…ひいてはこの世界の唯一神となるお方ですか?」


ウルーズドはとても嬉しそうに神結みなのことを見つめている

まぁ、それもそうか500年の間魔王の狂気に怯えそれでも天使達だけで結界を何とか強化して攻撃を防いできたのだから

それでも、結界がたわんできてもうダメだと思っていたところに新しい神を連れてきた私を見たら嬉しさもひとしおだろう

「あぁ、そうだよ。あと君にはさらに色々と説明しなければいけないから応接間に案内してくれ。あとこの子専用の部屋もね」


この子が魔法のない世界から来たこと、付与した力について、さらにはこの子がいた世界について…これが1番重要かな。もしかしたらこの子以外にも神が生まれる可能性があるからね…いやぁ、話すことは沢山だけどようやく停滞していた悩みが解決出来そうで嬉しいね

 

「部屋の準備ができたみたいなので今からご案内致します。こちらへどうぞ」


ウルーズドの案内で最上級天使以外立ち入り禁止の祭壇から出て綺麗に磨かれた光沢のある大理石の床をゆっくりと進む

しばらく歩くとシンプルな蔦のレリーフが縁取られた白い一枚扉の前でウルーズドは立ち止まった


「ここは立ち入り禁止区域となっており、ご案内する部屋からはかなり遠い位置となっていますので転移陣を使って星雲宮に向かいます」


そういえばこうして転移陣を使うのは初めてだな。いつも転移魔法を使ってあらゆる所に飛んでいたからちょっと新鮮な気分でウルーズドが扉を開けた部屋の中に入る


「こちらの魔法陣にお入りください」


へぇ〜中は意外に広いな。部屋の中心にあるのが転移魔法陣かな?

部屋の中心の魔法陣は外枠が二重の円で描かれており、そのさらに中心には五芒星が描かれている

五芒星と二重の円の間には文字と幾何学模様が組み合わされた模様になっておりこの魔法陣はそこそこ大きめに作られていた


「結構大きい魔法陣だね!魔法陣を使った事がないから新鮮だよ!」


私が魔法陣の中心に入ったのをウルーズドが確認すると彼も魔法陣の中に入り、その中心でつま先を軽く3回地面を叩いた。するとウルーズドの足から魔力が魔法陣に流れ始め、魔法陣の中心から青白い光が徐々に溢れ出す。

外側の円まで満遍なく光が点った瞬間場所が変わった。

さっきの部屋の構造は変わらないが壁や床の材質が違う

面白い体験をしたが手順が少々面倒くさそうだから、もう魔法陣を使った転移はしないのだろうな。そう思いながら扉を開けたウルーズドの後をついて行く

立ち入り禁止区域に繋がる転移部屋だからか、しっかりと閉めた扉をウルーズドが魔法で隠すのを待ってから星雲宮の廊下を進む


100年前…いや500年前か…には行ったことのない宮殿の廊下を歩きながら窓から見える景色…というより空に貼られた結界を見る


一部が歪になっていたり、小さなヒビが入っていたりとかなり危険な状態で間に合って良かったと安堵すると同時に、この状態ならあと1ヶ月は持つだろうなと冷静に判断をする

しばらく進むと2人の2枚羽根のメイド服を着た天使たちがいる薄茶色のシックだが豪奢な扉の部屋に辿り着いた


「こちらが新たな神様に用意させて頂いた部屋になります」


ウルーズドはそういいながら部屋の扉を開けて寝室に案内する

部屋の中はかなり広く、上品で可愛らしい調度品がバランスのいい配置で置かれておりこの短時間でここまで準備することができた天使達に感心した

ここなら応接室に案内してもらわなくてもいいかもな

というよりもう応接室に行くまでの道のりが面倒くさくなってきた


「この子をベッドに置いたらここで話し合いをしよう。応接室に案内しなくて大丈夫だよ!」


そう言うとウルーズドは困った顔をして私を見る


「実は異界の神様の話を聞きたいと最上級天使達と一部の最上級天使候補が応接室に集まっておりまして…私1人だけで聞いてしまうと反感を買ってしまいそうなのです…」 


うーん…まぁそこまで集まってしまっているのなら仕方がないか…

それに、ウルーズド1人だけだと私が説明した後ウルーズドが他の天使たちと話し合う時信用してくれない天使も現れそうだし私が直接説明した方がいいよな

その後に好きに話し合って貰えばいいし、大勢の前で新たな神を連れてきたと触れ回った方が神結みなの今後の活動が円滑に進むこともできる


「そんなに集まっちゃってるなら、応接室で説明しようか。直接話した方がこの後の君たちの話し合いが円滑に進みそうだしね」


考えを改めた私はそういいながらウルーズドによって開けられていた寝室の中に入る

天蓋付きベッドのレースカーテンは開かれており私はそこに神結みなを下ろす

すると、いつの間にか現れていた2人のメイド天使たちがスススと素早く神結みなの体勢を整え新品のふかふかの布団を肩まで被せる

あまりにも素早い2人の連携に驚き固まっているとベッドを整え終わった2人はまたもやどこかに姿を消す

あまり気にしていなかったがかなり存在感を消して部屋の隅に待機していたらしくその洗礼されたメイド達の仕事ぶりには目を見張る程だ


メイド達から目を離しもう一度私は神結みなの方を見る

健やかに眠る神結みなの髪の根元が黒から白銀色に変わってきているのを見て、神の力が無事に体を巡っているのが分かり私は思わずホッとため息をつく

大きい力に耐えきれず崩壊しなくて良かった。髪色が変化したということは反発もせず体と魂が上手く神の力と融合できているということ

ここまでくればもう安心だろう


「あぁ、そうだ。これから忙しくなる君のために私からわずかながらの餞別をあげよう」


神結みなの額に手を当てたあと人差し指で1回だけトンッと押す

薄らと魔法陣が浮き出たあと何事も無かったかのように消えたのを確認した私はウルーズド含む最上級天使と候補達に色々な話をするため部屋から出て応接室に向かう


あぁ、そういえばウルーズドに先に言わなければいけないことがあったんだ


「そういえばウルーズド、君に1つ先に言わなければいけないことがある」


「如何しましたか?異界の神様」


「そう、それ。神様だなんて大層な名前で私を呼ばないでくれ。一応私は神ではないからね…」


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