2.異界の番人
「たのもーう!!」
まるで道場破りのように勢いよく扉を押し開き感情のままに足を踏み出そうとしてピタッと止まる
なにあの変な物体…?いやなにかの装置?それに本棚高すぎでしょ先端見えないし天井どこ行ったの…
押し開いた扉のその先は思ったよりも明るく、広くて丸い部屋だった
それだけの言葉だと普通の部屋のように思えるけど、天井のない部屋の中心にある謎の装置とぎっしりと本が入っている高すぎる本棚を見てさっきまでの勢いが落ちていく
や、やっぱり神様に文句を言うなんて罰当たりなことはしないで、扉を閉めて反対方向に進もう!もしかしたら商店街に戻れるかもしれないし!
バッと振り返ってえっ?と驚く
顔を向けた先は外の暗い何もない景色ではなく、部屋の本がぎっしりと入っている高すぎる本棚だった
私はいつの間にか部屋の中に入っていたらしい
あれ?私、部屋の外にいたはずだよね?それに扉もどこいった?
不思議な力を感じて私は一気に血の気が引き青ざめた
恐る恐るもう一度部屋の中心に顔を向けようとして…
「やぁ!初めましてこんばんは!」
~~~~っっっ!!!!????
先程までいなかったはずの誰かに真後ろから唐突に声をかけられた私は声も出ないほど驚きそして、気を失ってしまった
☆
ハッと目が覚めた私は辺りを見渡しガッカリする
さっき見たような丸い部屋にさっきまでなかった見知らぬ天井、白い天井には照明がなくじっと目をこらすと星や惑星のような模様がオシャレに描かれている
照明がないのに何故か部屋は明るく、部屋の周りは西洋とか中世にあるようなシックでアンティークな家具達が揃っており、私は自分の部屋とか、病院の部屋ではなく全く知らない場所で目覚めたことで気絶する前の出来事が夢では無く現実であると自覚した
とりあえずベッドから降りようとひとつため息をつき足を下ろす
そういえばこの部屋出入口の扉がないな
ふとそのことに気付きもう一度部屋を見渡した瞬間パッと何もない空間から扉が現れた
その扉はあの真っ暗な空間に現れた青白く光っている扉と酷似しており、一瞬この場所から離れられるかもと思ったが片開きの扉だったため、またもや私はガッカリしてしまう
でもまぁ、大人しく部屋の中にいるのも何となく癪だしせっかく扉が現れたんだからここから出てみようかな…
…いやでも、最初に現れた扉を開けたのが原因でますます訳分からないことになったんだしここは大人しく部屋にいた方がいいのかな…?
どっちの方が自分が助かる可能性があるのだろうとうだうだと悩んでいたらその扉がゆっくりと開かれてしまい私は慌てて部屋の隅に避難する
「やぁ!目が覚めたかい!君が持っていた食べ物を持ってきたよ!…ってなんでそんな隅にいるんだい?」
現れたのは、魔術師のような…いや、神官のような不思議な白いローブに図書館の司書のような服装をした口調の軽い男だった
顔はこの世のものとは思えないほど整っているのに軽薄そうな怪しい笑顔が全てを台無しにしている
しかし、彼から放たれるオーラというか雰囲気といえばいいのか…よく分からないが絶対に人とは思えないような何かが溢れ出ていて私はそんなちぐはぐした男に対しますます警戒心を強める
「…あなたは誰ですか?それにここはどこ?」
とりあえずここの主っぽいのは確かだと思うからいちばん聞きたいことを質問してみる
「私かい?残念ながら私は名前がなくてね…この場所は様々な異界を繋ぐ空間…神達は異界の中心と呼んでいたかな?あぁ、そうだった!神達はこの空間の主である私のことを異界の番人と言っていたよ!君も私のことを異界の番人とよんでくれ!」
ニコニコ笑顔のままよく分からないことを言う怪しい男…いや異界の番人
そもそも異界の番人ってなによ?自分の住んでいる場所なのになんで疑問形なの?神様たちでさえ名前を知らないってどういうこと?ていうか、あなたは神様なの?
頭の中が爆発しそうになるくらい疑問が湧き質問したい内容がまとまらなくなり混乱する
そんな中また異界の番人は話し始める
「まあ、言いたいことはいっぱいあると思うけどとりあえずこれ食べよう!私も君に話さなきゃいけないことがいっぱいあるからね!」
異界の番人の前には宙に浮いてるふたつの皿に乗ったミートソースとロールケーキ
あれ?私1つしか買ってないよね?
「いやぁ、君が持ってきたこのミートソースとロールケーキっていう食べ物、とても美味しそうで思わず複製魔法を使って同じものを作ってしまったよ!さっ早くここに座って食べながらお話でもしよう!」
疑問が表情に出てしまっていたのか同じものが2つずつある理由を教えてくれる異界の番人
まぁ、その理由もよく分からないけど…なんなのよ複製魔法ってそんなよく分からないもので作られたパスタとケーキ食べても大丈夫なの?
新たな疑問と不安が湧き上がるがここで何もせず突っ立っていても何も進まない。それに、話をしたいのは私も同じ
私は警戒心は解かず部屋の隅から部屋にあるソファまで移動し異界の番人の対面に座った




