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四日目

こんにちは!みんな大好き魔王だ!本日は【終焉の間】でも俺の自室でも魔国でもない。聞いて驚け俺は今、人国の城下町にいるのだ!!

自国を出るのは生まれて初めてであり初めてのお使い並みのドキドキ感だ。年齢は三桁だが。

正直魔王が人国の城下町にいては人族の勇者共に襲われるものかと思っていたが、俺の完璧な変装により誰も俺が宿敵魔王だとは思ってないだろう。ふはははは、チョロいな愚民共め!!


俺が人国の城下町に来たそもそもの理由は、人国に送り込んだ偵察がとある許されざる失敗をしたからだ。部下が使えないならば俺自身で行くしかない、と思いわざわざ自ら此処まで赴いたのだ。



地図を片手に目的地へ向かう。と、前方から某ふざけた勇者が歩いてきた。

「ここで会うとは奇遇だな、勇者よ。」

「お前まさか魔王なのかっ!?」

ふはははは!流石のコイツも俺の変装を見破れないか。我ながら良い出来だ。

「待て待て待て!お前一体何を思ってそんな恰好を!?」

勇者が俺を路地裏に連れ込む。

「?、何って変装だが?」

「もう少し他に無かったのかぁぁあ!」

勇者は勢い良く俺の頭を引っこ抜いた。

すぽーんっ!

「貴様何をする!静電気で髪がぼさぼさになるだろう!?」

「どこの世界に【クマの着ぐるみ】を変装に使うバカがいるんだ!」

「バカとは何だバカとはっ。現にここまでの道のりで誰にも魔王と気づかれることは無かったぞ。」

叫ぶ勇者にドヤ顔で返す。この【クマの着ぐるみ】には実績があるのだ。

「そりゃ誰も気づく筈ねぇだろ!誰もまさか魔王が【クマの着ぐるみ】を着て街を闊歩してるなんて思わねぇよ!!ていうか気づく気づかない以前に職質寸前だったからな!?」

なんなの?バカなの?死ぬの?と言いながら勇者が【クマの着ぐるみ】の【クマの頭】を地面に叩きつけるとポーンと脳天気に跳ねた。

「そもそも何で【クマの着ぐるみ】なんて持ってんだよお前はよぉ!?」

「去年の魔王城の忘年会で部下が買ってきたんだ。」

「魔王城に忘年会なんてあんのか…」

「当たり前だ。」

魔族にだって忘れたいことの一つや二つあるのだ。

「…つか何で普通に変装しないんだ?帽子なりメガネなりつけりゃ済むだろ。」

まったく、コイツは分かっていない。

「帽子やメガネで俺の美しさが隠せる訳ないだろ。」

「…は?」

「帽子やメガネで俺の美しさが隠せる訳ないだろ。」

「何故二回言った?」

「大切なことだから二回言った。」

「………」

勇者は無言で俺をじろじろと怪訝な顔で見る。

「いや、ねぇだろ。」

「いや、あるだろ!この漆黒の髪、紫の切れ長の目!透き通るような肌!」

「百歩譲って残念なイケメンだな。つか正直お前の顔はあんま印象に残らねえ。」

「なん、だと…?」

つか普通一度みたら魔王の顔忘れなくね!?宿敵の顔だぞ、イケメンじゃないにしても!

「そんなのお前だけだ!!」

「じゃあお前その【クマの着ぐるみ】脱いで五分間往来を歩いて見ろ!!」

「んなことしたら襲われるに決まってんだろ!」

反抗虚しく、【クマ着ぐるみ】を剥ぎ取られ往来に投げ出される。畜生。一応俺の名誉の為に言うが【クマの着ぐるみ】の中に普通の服を着ている。露出狂ではない。

取りあえず勇者の言う通りに道をうろうろする。


5分後


「…誰にもバレなかった。」

「そんなもんだ。」

ものの見事に誰に話しかけられたり、襲撃を受けることは無かった。

「…いや、きっと今の往来には美的センスの良い者と俺に会ったことのある勇者はいなかったんだ!!」

「美的センス云々はともかく、勇者24人とすれ違ったうえその中に【終焉の間】まで行った勇者も15人いたぞ?」

「この五分間で勇者24人もすれ違ったのか!?つか勇者多すぎだろ!!」

「この国の勇者はサブジョブで人気だからな。」

「あくまでメインジョブになれないのか!?」

「一番人気のメインジョブは公務員だからな。」

「現実的っ!!現実的な割になんでサブジョブが非生産的な勇者なんだ!?」

「まあサブジョブは遊びみたいなもんだからな。」

「趣味で勇者やってるような奴に襲撃される俺たちって…。」

前々から勇者共弱ぇな、とか思ってたけど此処まで適当とは思わなかった…

「そういえばお前何しに人国まで出てきたんだ?」

「よくぞ聞いてくれたな勇者よ!」

若干落ち込んでいた気分が持ち上がる。

「偵察に来たのだ!」

「偵察?お前が?魔王城は人手不足なのか?」

訝しげな顔で俺を見る。失礼な、魔王城で働くのは一種のステータスなんだぞ!?

「ふんバカめ、部下が偵察に失敗したから魔王自ら出向いたのだ。」

「ん、何?世界征服でも始めんのか?」

「そんな面倒なことするわけ無いだろ。」

「うわぁ魔王らしくねぇ台詞。」

「お前ら人族は俺を何だと思ってんだ?」

やはり人族の魔族への認識を改める必要があるらしいな…。

「偵察と言えば、甘味の新商品のリサーチに決まっているだろ!!」

「だよな!お前はそういう魔王だよな!」

以前新商品のリサーチに行った部下はなんと以前から売られていた商品を間違えたのだ!リサーチに行ったのにこんなミスをするなど万死に値する!!

「相変わらずバカみてえだな…。」

「趣味で勇者やってるやつに言われたくねぇよ。」


「んで、どこの店だ?初めてなんだろ、案内してやるよ。」

「おお、それは助かる。実はこの店なんだが…」

地図を取り出し店の説明を始める。

今回行きたい店は三軒でケーキ屋が一軒、和風甘味処が一軒、チョコレート専門店が一軒だ。

二人して地図を覗きこんでいると勇者が思い出したように言った。

「なあ、お前…あの側近には人国に来ること知らせてきたか?」

「知らせる訳ないだろ?もし教えたら確実に城の外には出られないだろうからな!」

「そうか…これだけは言っておく……魔王、死ぬなよ?」

「は?この俺が死ぬわけ……」

「魔王、後ろ後ろ。」

勇者の言うまま後ろを振り向くと

何か障気のような黒いものを背負った我らが側近、冷血秀麗吸血鬼殿が迷い無い足取りでこちらに迫って来る姿が目に入った。

「あれ?ここ人国だよな?俺、あいつに言ってないよな?なんであいつがここに?人違いだよな?いや、人違いだと言ってくれ!!」

ぽんっと勇者が俺の肩を叩き力無く笑った。

「現実逃避するな。生きるんだ、魔王。」

一瞬にして、現実を目の前に叩きつけられる。


側近が俺の後頭部をステッキで殴りつけ、俺が昏倒するまで後30秒。

新商品の夢は完全に潰えた。

書きだめが終わったため更新が一気に遅くなりますm(_ _)m

お時間があれば評価してやってください!

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