三ヶ月間 〜テスト〜
更新頻度が遅いのはお布団でゴロゴロしながら考えた妄想を頑張って文章にしてるからです!
教室はいつもより静かだった。
ペンを走らせる音と、紙をめくる音だけが教室に響く。
ーーテスト当日
今日は1日中テストだ。
僕は問題用紙に目を落としながら、小さく息をついた。
……まぁ、こんなものか
少しだけ視界を横にずらす。
隣ではカイカが問題用紙を睨みながら、唸っていた。
耳がぴくぴく動いている。
……あいつ、大丈夫か?
「それじゃあ、回収するぞ〜」
夏山先生の声が教室に響く。
テスト時間が終わり、問題用紙が順に回収されていく。
「テストどうだった?」
僕は隣で唸っていたやつに声をかける。
「……問題ない」
視線が泳いでる。
耳もぴくぴくしている。
わからなかったんだろうな。
「お前はどうだったんだよ?」
「別に?…ほとんど中学で習った内容だったし」
そもそも学力を確認するためのテストだ。
そこまで難しくない。
「へぇ…」
カイカがじっとこちらをみてくる。
その視線は、妙に圧がある。
「なんだよ」
「いや?なんか余裕そうでムカつく」
「事実だしな」
そう返すとカイカの耳がぴくっと動く。
「…まぁいい、これ今日の弁当な」
そう言ってカバンから、弁当を取り出す。
カイカはあれから毎日のように弁当を作ってきてくれる。
昼飯を用意する手間も必要なくなったし、
カイカの弁当は美味いし、
正直助かっている。
…ただ問題は、毎回のように尻尾を求めてくることだ。
「ありがとう」
それだけ言って、弁当を受け取る。
弁当のふたを開ける。
いつも通りのおいしそうな匂い。
視界の端にカイカがうつる。
妙にニヤニヤしている…。
「なんだよ…」
「…今日は触らせてくれるのか?」
ーー尻尾か……
カイカの事は無視して弁当を食べる。
「おい」
反応がないとわかる、少しだけ声のトーンが下がる。
「聞いてるか?」
「聞いてるぞ?」
「じゃあ返事しろ」
「いま食ってるだろ?」
そういってもう一口弁当を食べる。
「……尻尾」
「はいはい、また今度な」
「いつもそれだ…」
カイカが頬を膨らませて抗議してくる。
ーーー
数日後
テストの返却日
そういえばーー
「どうだった?」
隣で先ほど返された、自分の解答用紙を見ているカイカに声をかける。
カイカの体が跳ね、耳が立つ。
「べ、別に…普通だ」
点数低かったんだな……
「見せてみろ」
カイカの手から回答用紙を奪い去る。
「あっ、おい。返せ」
カイカの声を無視して、5枚の紙を見る。
だいたい、50点前後…
「赤点ではないんだな」
少し以外だ…
テスト中の様子から全然できてないものと思っていた。
思い返せば、別に普段の授業でもできてない感じはなかったな。
「おい…そろそろ返せ」
横から不満そうな声が飛んでくる。
視線を向けるとカイカがじっとこちらを睨んでいた。
耳がぴくぴく落ち着きなく動いてる。
「ほら、以外に高かったな」
「おちょくってんのか!」
カイカに解答用紙を返す。
「お前のも見せろ」
めんどくさい事を言い出した。
「……嫌だ」
「さては…俺より点数が低いんだな?」
上から目線でニヤつきながら言ってくる。
別になんとも思ってないが、解答用紙を渡す。
「ほら、言っとくけどお前より高いからな?」
「…全部90点越え」
カイカの動きが止まる。
耳も尻尾もピタッと止まった。
「は?」
口を開けた状態で目線だけこっちをみてくる。
その顔が面白くて、少しだけ口元が緩む。
「どうした?」
「いや、お前…これ……」
「普通だろ?」
少し意地悪で言ってみる。
「む、むぅ」
カイカが唸る。
「…なんでそんなできるんだ」
「普段から授業受けてたらできるだろ」
「……」
カイカが黙る。
「どうした?」
「いや……」
カイカが少しだけ視線を逸らす。
耳も垂れて、動かなくなっていた。
「……授業、聞いてもよくわからないんだよ」
「え?」
「授業」
ぽつりと呟く。
「途中からついていけなくなって、そのまま」
「誰かに聞けばいいだろ」
「……聞ける空気じゃなかった」
短い返事
……それだけ、なんとなく察する。
「周りも…別に教えてくれる感じじゃなかったし」
カイカはそう言って、少しだけ肩をすくめる。
「それに、何とかなってるしな」
カイカは笑った。
けどーーー無理して笑っているように見えた。
「まぁ…それで50点前後は取れてるもんな」
「それ、褒めてるのか?」
「褒めてる」
カイカは僕の解答用紙をまだ見てる。
少しだけ間が空く。
カイカは静かな目でこちらを見てくる。
何かを言いたそうに口を開いては閉じている。
めんどくさい奴…
「僕が教えようか?」
「え?」
「勉強だよ…教えようか?」
別に同情じゃない…
他人に教えれば自分も身につくと言うやつだ。
「本当か!ありがとう」
尻尾をぶんぶん動かして嬉しそうにしている。
ーー面倒な事を言ったかもしれん。
「気が向いたらな…」
「ああ!」
「それより昼飯食べよう、時間がなくなる。」
カイカに手を差し出す
解答用紙と一緒に弁当を出してくる。
「ほれ」
弁当の蓋を開ける。
うん。
いつも通り美味しそうな匂いだ。
おまけ
ある体育の授業中。
カイカが、野球ボールをじっと見つめている。
やけに真剣な顔だ。
気になって、声をかける。
「ボールなんか見つめてどうした?」
「いや……ウェルベル用に買っとこうかなって」
それだけで、十分すぎるほど理解した。
「はっ倒すぞ?」
「それもいいな……来月も楽しみにしてる」
僕は何も言わず、そっと視線を逸らす。
……まったく。
けどまぁ。
ボール遊びも――悪くはないかもしれない。




