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【コミカライズ】俺、勇者じゃないですから。~VR世界の頂点に君臨せし男。転生し、レベル1の無職からリスタートする~  作者: 心音ゆるり
アフターストーリー

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A-160 オッズの変動と前準備




 頂上決定戦。

 四十二名の参加者が十四のパーティに別れ、そこにぽつんとソロの俺が加わり、合計十五組での試合だ。


 Aブロック七組と、Bブロック八組に分かれて、それぞれ一日ごとに試合を行い、合計八日間かけて行われることになる。


 あれ? 八日? なんでトーナメント方式の四十二組でそんなに時間がかかるの?

 なんてことを俺も思ったけど、普通に『勝者も死亡することはある』ということを失念していた。


 誰も死なずにペナルティを受けなければスイスイ行くんだろうけど、いちいち試合結果によってスケジュールを変更するよりも、初めからみんな死ぬ前提で予定を組むべき――ということだろう。


 まぁそれに加えて、こんなに大仰な大会にしておきながら、各組み合わせが全部短期決戦なんてことになってしまえば、見に来てくれた人たちも興ざめかもしれないしな。ポーションに関しても、パーティにつき上級ポーションを二本まで持ち込み可能となるらしい。


 一日目はAブロックの初戦、二日目はBブロックの初戦、三日目はAブロック二回戦、四日目はBブロックの二回戦――みたいな感じ。準決勝と決勝の間にのみ、試合のない空きの日が設定されているという形だ。


 せいぜい二日で終わると思っていた大会が思った以上に大がかりなものになっている。


 いや、他の国を巻き込んでいる時点で初めから大がかりだし、賭けも盛り上がって、出店を出す商人たちも気合が入っているから、経済効果としても期待できるだろうから、長くやったほうがいいのかも。


 ちなみに、俺はシードになった。


 みんなからの推薦というか、ソロという特殊な形なんだからシードになるべきだ――なんてことを言われた結果である。

 ……でも十位人気なんですよねぇ。まぁ一応、九位と十位を交互にフラフラしているような状況である。


 俺の注目しているパーティ――強さもそうだけど、仲が良い友人たちはそれぞれこんな組み合わせになっている。


 クレセント、レゼル王国のアーノルド=ヴィンゼット、フェーマ王国のトップパーティのメンバー。

 翡翠、パルムール王国の王子ニーズ、インセン王国のトップパーティのメンバー。

 シン、リンデール期待の星、二十歳のシュウくん、アーノルドの姉、ジル=ヴィンゼット。

 セラ、ライカ、パルムールの元紅の剣リーダーネスカ。

 スズ、ニケット王国のトップ探索者、フェーマ王国のトップパーティのリーダー。


 一応俺は、フェーマ王国、インセン王国、ニケット王国の三国の連中とも顔見知りではあるが、特別仲が良いというわけでもない。顔を合わせれば挨拶をするし、世間話もする。ただ、『今度一緒に食事でも』とはならない関係である。


「ふーん……じゃあ一番人気はクレセントのところ?」


 自宅のリビングにて。今大会不参加の元創造神様(笑)にパーティの組み合わせを話したところ、そんな予想を口にした。


「ほう、ノアはそう見てるのか。なぜそう予想する?」


「いやだって、正直言ってクレセント一人でもそこら辺の三人パーティなら相手にならないでしょ。みんなエスアールを特別視してるけど、僕から見ればクレセントと翡翠の二人だって十分特異的な立ち位置だからね? しかもあの二人は、エスアールと違って前は大会とかもちょっと出たりしてたでしょ?」


「まぁ……そこであいつらが本気を出していれば、評価は違ったのかもしれないけど、現状クレセントのパーティは四番人気だ」


「えぇ~」


 と、ノアは『そんなバカな話あるか』みたいな雰囲気で半笑いになる。


「ちなみに、一番人気はシンとショウくんのところだな。二番人気がスズのパーティで、三番人気がセラのところ」


 強さ順と言うか、人気投票みたいな側面もあるんだと思う。本気で賭けに勝ちに行っている層と、推しの探索者を応援しているような買い方をしている人もいるんだろう。


 あとは単純に、リンデールで開催されているから、リンデールの国民票が多く集まっているということだろう。もう少し大会が近づけば、他国の票も増え始めて、順位が変動するかもしれない。


 まぁ別に、十位でも全然いいんだけどね! 



☆ ☆ ☆ ☆ ☆



 ――大会開始の三日前。

 俺の順位が五位まで浮上していた。


 えぇ……そりゃ少しは上がればいいなと思っていたけれど、こんなにガッツリ上がるとは思っていなかったぞ。どうやら他国の人は俺に賭けてくれた人が多いらしい。ネームバリュー的な問題より、ソロで参加という異質な状況(いちおう、俺が強い人であるこということは知られている。戦いを間近で見た人がほぼいないだけで)が気になったのだろう。


 あとはアレだな。リンデール票が、人気者の迅雷の軌跡やシュウくんに集まっていたということもあるだろう。


 それから単純に、応援したい人が入っているパーティに投票する人がいることを考えると、一人で参加する俺はその力が三分の一ということだからな。むしろ、五位まで浮上できたことはかなりすごいことなんじゃないかと思う。


 俺に賭けた人を稼がせてあげなければ……!


「うん。対人戦の感は戻ってきたな。やっぱり黒騎士とは勝手が違う」


 SSランクダンジョン内にて。

 人と魔物が少ない場所に移動して、俺はクレセントと翡翠、それから魔物の見張り役としてノアを一緒に連れて対人戦の訓練を行っていた。


「なんかもう参加するの嫌になってきたっス……観客の前でボコボコにされるのは嫌っス……私これでも、テンペストのトップパーティのリーダーだったんスけどぉ。プロゲーマーだったんスけどぉ」


 数十分の攻防を終えると、クレセントはそんなことを言いながら地べたに大の字になって寝そべった。翡翠も一緒に戦ったけど、彼女は余力を残している状況らしく、普通にクレセントの横でため息を吐きながら腕組みをしている。


「そう弱気なこと言わないの。ボクとミカはSRさんに戦いを知り尽くされちゃってるけど、他の参加メンバーはそうじゃないでしょ?」


「でも姫ちゃん、絶対SRさん他のメンバーの戦いも記憶してるっスよ。だってみんな、SSランクダンジョンに来てるんスから」


「……その可能性もあるかぁ」


 クレセント――三日月――ミカ。


 そして翡翠のゲーム内で使っていた名前は姫スキーなので姫ちゃん。俺は慣れてしまったけど、初めて彼女たちが名前を呼びあっているのを聞いた人は戸惑う呼び名だ。


「さすがにお前たちほど把握しているわけじゃないけど、得意不得意ぐらいはなんとなく覚えてるぞ」


 俺がそう言うと、クレセントが地面を転がりながら「ほらぁ」と口にする。汚いからやめなさい。うちの子供たちの前でしたらダメだからな。真似しそうだし。


「子供たちにカッコいいところ見せないとね。応援してるよ」


 と、ノアがらしくないことを言う。一瞬戸惑って疑いの視線を向けると、肩を竦められた。


「あのね、僕だっていちおう君の妻なんだよ? 旦那を応援して何がいけないのさ」


 はい、そうでしたね。反省します――と思ったけど、ノアの日ごろの行いのせいじゃね?






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― 新着の感想 ―
ん?エスアールは結局シードなのか?
ウザ可愛い妹ムーブする妻… アリだな!
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