表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

ハインツの真意

パシャリ、という湿った音と共に冷たい水を顔にかけられ、思いっきりむせながら目を覚ます。

ケホケホ、と咳き込んでいると、隣からほれ、と布を渡された。


「それで顔を拭いとけ」


俺と目を合わせようとしないハインツから布を受け取り、顔を拭いてから、ありがとうといって返す。

そのあとの言葉が続かず、気まずい沈黙が流れた。


「イルナは大丈夫だった?」


「おかげさまで。まだ目を覚ましていないが、ハルバが看病しているししばらくすれば気がつくだろう」


それは良かった、と返し、再び俺たちの間を沈黙が支配した。

気まずい、気まずすぎる。

皆の無事も確認したところだし、帰ってもいいだろうか

それじゃあこの辺りで、と腰を上げようとしたところで、タイミングがいいのか悪いのか、黙っていたハインツが口を開いた。


「……スキル、使えるようになったんだな」


「……あぁ」


それ以上、なんて続ければ良いのかわからない。

けれど、ハインツがまだ何かを言おうとしているようだったので、座り直して黙って待つことにした。


「助かった。心から礼を言うよ。ありがとう」


そして何より、と彼は続ける。


「昨日は失礼な態度をとってすまなかった」


ハインツに言葉を返そうとするが何も思い浮かばない。

代わりに、一拍おいて気になっていた事を訪ねた。


「なぁ、あんたはなんで俺をパーティに入れてくれたんだ?」


ハインツが俺とパーティを組んだ時には、すでに四回パーティを追放されていて、冒険者の間では俺の無能ぶりか完全に広まったあとだ。

にも関わらず、ハインツは俺をパーティに迎え入れてくれた。


「……お前に、冒険者を諦めてもらおうと思っていたからだ」


少し言いづらそうにしながらも、ハインツははっきりとそう口にする。


「弱い俺が冒険者を名乗っているのが気に食わなかったからか?」


そうたずねると、ハインツは二度、三度と首を振った。


「俺の友達にな、《職なし》で冒険者になろうとしたやつがいたんだ。その友達に重なって見えたからかもしれない」


「……その友達は」


俺の言葉に、ハインツは何も答えず首を振った。


「ま、余計なお世話だったみたいだ」


そういって、ハインツは俺の方を見る。


「良いスキルだな。それだけの力があれば、すぐに一流の冒険者になれるだろう」


勿体無い人材を手放しちまったなぁ、とぼやきながら、ハインツは立ち上がり俺に背を向けた。


「龍樹についての報告は俺たちに任せとけ。報酬も出るだろうからそれも後で渡しに行く。それとも、自分を蔑ろにした奴らには任せられないか?」


「いいや、お願いするよ。それと、俺からもう一つお願いがあるんだけど」


命の恩人だ、なんでも言えと言ってハインツは視線だけこちらに向ける。


「また酒場であったら、たまには一緒に飯を食ってくれないか?」


ぼっち飯ってなかなかきついんだぜ、と俺が真顔で言うと、ハインツは苦笑いを浮かべながらわかったわかったと手を振った。


「じゃあな。お前さんの冒険者人生が光輝くことを祈ってるよ」


「ありがとう。ハインツも気をつけて帰れよ」


そういってハインツ達に手を振り、森林地帯を後にする。

少し寝たとは言え、魔力はもうほとんど残っておらず、これ以上狩りを続けるのは難しそうだ。

人生初の強敵撃破もしたし、今日は奮発して飲み明かそうと、晴れ晴れした心で街へと歩き出した。

面白いと思っていただけたら、ブックマーク及び小説下の広告下にある『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』にして応援お願していただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ