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ミュージックオブスパーダ  作者: 桜崎あかり
ランカー再始動編
90/114

第65話:トップランカー再び!(その5)

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 8月5日午前11時45分、昼前に放送されたテレビのニュースが予想外とも言える事件を伝えた。


『先ほど入った速報です。特定芸能事務所から資金援助を受けていた政治家のリストが各地へ拡散し、各国大使館からも抗議の――』


 このニュースを見た視聴者の感想は分離していた。


【今更になってこの話題を繰り返すのか?】


【今回はさまざまな大使館からも苦情がきている。超有名アイドルのライブが世界各地で行われているように偽装されていた――という事か】


【結局、テレビでは音楽番組で初登場のアーティストが出たとしても、超有名アイドルのかませ犬にされるケースが多い】


【そう見えないように、構成や演出等でごまかすような手法もあるらしいが、そちらもネタ切れと言うべきか】


【実際に、別の世界線でアニメ出身のアイドルグループが出たらしいが、超有名アイドルの宣伝に利用されたという話もあるらしい】


【コンテンツ流通自体が超有名アイドルが全世界で印税収入を得て、最終的に銀河系規模の利益を得ると言う――それこそ、投資詐欺でも使わないようなフレーズが飛び交う】


【超有名アイドルがありとあらゆる世界で利益を得て、その他のコンテンツをかませ犬扱い、そんな世界がループしてしまうと言うのか】


 今回の報道を今更な話であり、遅すぎると絶望している考えを持つ者。


 こちらは反超有名アイドル勢力と言うよりは、一般市民やつぶやき一言で流されるようなネットユーザー、炎上勢力が該当する。


【予想通りと言うよりも、今回は規模が大きすぎる】


【これだけの事を放置した政府も政府だ。大規模的な改革を行う必要は高いという事か】


【結局はフジョシや夢小説勢等を食い物にする芸能事務所――その暴走や悪目立ちするファンを止められなかった政府にも責任があるか】


【こうした勢力が、やがてはアカシックレコードの力を悪用して軍事転用し、超有名アイドルによる武力行使も――】


【超有名アイドルのディストピアがループする現実を打ち破り、今度こそ自由を取り戻すのだ!】


 もう一方は今回の件をきっかけにして、超有名アイドル規制法案や芸能事務所の解体を求めようとする考えを持つ者。こちらは過激発言でカリスマを持つ者、反超有名アイドル勢力が該当する。



 同刻、このニュースを見て懸念を持っている人物もいた。それは、元バウンティハンターである加賀かがミヅキだ。


 今の彼女はインナースーツではなく、島村ファッションを着こなしているらしい。ただし、下着の変わりにARアーマー用のインナースーツを着ているが。


「こうした無意味と言えるようなネット炎上勢やアイドル投資家をまとめサイトやアフィリエイト系炎上サイトで、火事場泥棒とも言える莫大な利益を発生させるような事を――」


 思う所はあるようだが、今は無駄な意見のぶつかり合いを静観するしかなかった。本当であれば、ディスプレイに無言のパンチをぶつけたい位だ。


 しかし、ストレス発散や別勢力を力で黙らせる事は――以前の自分と重なり、そこに罪悪感を覚えていた。


 ここで介入すれば、コンテンツ産業が炎上商法を推奨しているという認識を海外に与える事になり、それこそ超有名アイドルと同じ末路をたどる。


「繰り返さない為には、何をどうするべきなのか――?」


 しばらくして加賀のARガジェットにメールの受信を知らせるアラームが鳴りだした。一体、誰からのメッセージなのか。


【SOFに参加する前に、悔いを残さない為にも――決着を付けたい】


 ここでいう決着とは、決闘的な意味ではなかった。これは、ウィークリーランキングに関係するのだろう。


「SOF――まさか?」


 加賀はSOFという単語も気になり、メッセージの続きを読む。すると、そこには予想外の事が書かれていたのだ。


【外部チートやツールで作られた虚偽の記録よりも、トップランカーとしての記録が上であることを証明する】


 メッセージの主、それは運営からの物だった。定期的なメルマガには曜日が……と考えていたが、今回は掲載内容の意味もあっての臨時発行だった。


 今回のメルマガに書かれていたメッセージ、それはトップランカーとなった山口飛龍やまぐちひりゅうの物。


 このスコアトライアルを最後に引退と言う訳ではないのだが、覚悟を持っての参加という事らしい。


「これが本当だとすれば、妨害をしようと考える勢力も現れるだろう」


 加賀はスコアトライアルが妨害される事を懸念している。


 しかし、その後に書かれていたスコアトライアルのルールは、別の意味でも加賀の予想を上回る程のルールが設定されていたのだ。


 これを全て守れる者がいるのか――とルールをチェックしたプレイヤーの誰もが思った。チート勢力の根絶という意味では、こうしたフィールドが必要だったのだろうか?



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