第65話:トップランカー再び!(その4)
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8月5日午前11時30分、DJイナズマはフリーフィールドと言う特殊なステージへと向かった。
その際、山口飛龍は同行せず、単独で向かう事になったのだが、それには一つの理由があったのである。
フリーフィールドへ向かう数分前、イナズマは山口に対してアカシックレコードを使うと言及し――。
「アカシックレコード、ウェブ上にある百科事典の……」
「残念ながら、そちらのアカシックレコードではない。向こうは本来の意味で使われる物とは大きく異なる」
「それは、どういう事だ?」
「Aの世界で言うアガートラーム、Bの世界で言うアガートラーム……その形状が異なるのは知っているか」
「アガートラームとアカシックレコード、何の関係が?」
「アガートラームは例えの話だ。Aの世界のアカシックレコード、Bの世界のアカシックレコードでは言葉の意味も違う」
「言葉の意味? それって、どういう事だ」
「これ以上は一部勢力の炎上ネタにされる事を避ける意味合いもあって、君にも話す事は出来ない」
結局、どのような物か説明することなく、イナズマはフリーフィールドへ向かったのだ。
同日午前11時35分、何とかフリーフィールドへ到着する。見た目は広い公園にも見えるが、その正体は野外でARゲームをプレイできる特殊なフィールドである。
このフリーフィールドは、本来であれば別のARゲームで利用されていた場所。
しかし、そのARゲームは超有名アイドルとの人気獲得合戦に敗れ、事業を縮小したと言う。
「ARゲームが栄光をつかんだのは、わずか1年弱だった。4クールアニメ位の時期しか、ブレイク出来なかった」
イナズマはフリーフィールドのシステムをARガジェットで起動させるのだが、システム自体が古い事もあって最新アプリでは互換性が皆無に等しい。
「格闘技番組が地上波から姿を消した時の様に、ARゲームを扱った番組が消えるのも同じだった」
そして、ARガジェットから呼びだしたアプリ、それはアカシックレコードの断片とも言うべき物だったのである。
「ARゲームに栄光と挫折があるとすれば、栄光はブレイクした1年と少し、挫折は――今も続いている!」
遂に、イナズマは禁断のシステムとも言うべきアカシックレコードを作動させる。それは、全てのチート技術を無効化出来る程のシステムであった。
このシステムを使えば、世間一般にチートと呼ばれる違法改造、解析プログラム、外部ツールと言った犯罪クラスのガジェットを一斉に無効化し、それこそ超有名アイドル投資家等と対等に戦えるようになる物。
しかし、このシステムにも弱点はある。それは、解放する為のプログラムアプリがこの世界にはなかったからだ。
世界最強のハッカーがアカシックレコードへアクセスした際、カウンターとして起動したシステムが原因で、起動に必要なキーが失われたらしい。
実際に失われたかも疑わしいが、イナズマは何とかしてバックアップされていたアプリをサルベージする事に成功した。
その場所とは、別の世界に存在するアカシックレコード。このアカシックレコードへアクセスする事、それは大きな賭けでもあった。
「まさか、その発想で発見したアカシックレコードの中に、このバックアップがあったとは」
イナズマも今回のバックアップアプリを発見するのには苦労した。何故なら、そのアカシックレコードがあった場所は――。
「別のアカシックレコード、それがWeb上の小説に存在したとは――アキバガーディアンも発見できなかった理由も納得か」
彼はWeb小説も書いている為か、何となくだがバックアップの場所に目星を付けていたが、本当にWeb小説の作品にバックアップアプリを呼び出すキーワードがあったとは。




