第63話:音楽ゲームを知る事(ステージ4)
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音楽ゲームは、いつの頃からかリズムゲームとも呼ばれるようになった。特に音楽ゲームを登録商標にしている訳でもないのだが……。
しかし、音楽ゲームと言う単語自体も発生源がはっきりしない事もあって、どちらも使われているのが現状だろう。
格闘ゲームの場合、2D格闘、3D格闘で分けられるケースがあるのに対し、音楽ゲームではそう言った種類別の分類がないに等しい。
中にはファンで分類を進めている気配もするのだが……線引きの難しさが足を引っ張っている可能性が高い。
格闘ゲームの場合、イースポーツ以前にも対戦動画をアップするような事例も存在し、ゲーセン内で大会が行われ、更には公式でも大会を開催するような事もあった。
こうしたコミュニティの発展もあって、今日のゲーム業界があるのかもしれない。
音楽ゲームの方は、高難易度譜面のみをプレイする勢力等もいる一方で、芸能事務所が楽曲の収録に関してゴリ押しするような事例もある――と言われていた。
こうした商業的な部分に走り過ぎた事がコミュニティ衰退を……と言う記事も存在している。実際、こうした事実は確認されておらず、超有名アイドル勢等による評判を下げる為の炎上記事とも指摘されている。
炎上記事が出来る理由には色々と存在するが、この『世界』においては以下の定義が存在する。
《純粋なファンとしてコンテンツを応援している人たちも巻き込み、そのコンテンツから完全に人を排除する》
《その後に一部の夢小説勢等が自分達の好きなように作り変える――こうした夢小説が無差別に作られている現状こそ、炎上記事が作られる原因と思われる》
《それとは別に大規模な破壊行為や犯罪行為を起こし、それこそ該当するコンテンツを法律で排除するような展開を誘発する事――》
しかし、この定義も一連のアフィリエイトで利益を得ようとするユーザーによるデマと言われている。
その影響もあって、この件に関する一定の定義が不可能なのかもしれない。
8月4日午前12時、ゲーセンから一時離脱し、コンビニでおにぎりを購入したのは長門未来である。
山口飛龍に関しては、一時的に自転車で帰宅してお昼を食べ終わったら再び合流する予定だ。
「イースポーツ化を求める大和杏、純粋に楽しめる音ゲーを求める勢力、対立を求めない勢力、その他の少数派――」
コンビニから2分弱の場所にゲーセンがあり、ゲーセン内にはフードコーナーは存在する。しかし、それでもコンビニで買い物をするのには理由があった。
長門が立ち寄ったコンビニ、そこで彼女はカードを見せる。そのカードを店員が受け取ると、何かの機械に読み取らせた後にポイントがチャージされる。
どうやら、コンビニで現金をチャージ、あるいはポイントをチャージしていたのかもしれない。
「どちらにしても、自分は政治的な事情を音楽ゲームや各種コンテンツに持ち込んで欲しくない――」
長門は歩きながら食事をする事はなく、そのままゲーセンの方へと向かう。
同刻、何処かのコンビニであらかじめ買ってきたドーナツを口にしていたのは、インナースーツに巨乳という女性だった。
「そんなにジロジロ見たって、何も出ないわよ」
ギャラリーが彼女を気にするのも無理はない。ARガジェットを使用するARゲームはいくつか置かれているが、どれもインナースーツ系は任意である。
着替えスペースのないゲーセンで、この格好をするのはARゲーマーと認識される傾向――周囲からの視線を浴びるのも無理はない。
「アンタ、FPSハイランカーの夕張あすかだな?」
「人違いじゃない? 今の私はFPSハイランカーじゃないわ」
「そう言ったとしても、ARガジェットの登録履歴までは偽装出来はしない。データを完全削除しない限り――」
一人の男性プレイヤーと思わしき人物が夕張あすかを名指し、更にはARガジェットのショットガンを構える。
「このフレンチクルーラーを食べ終わったら話を聞くから、今は待っててくれない?」
クールと言うよりは、マイペースである。夕張はフレンチクルーラーを口にし、食べ終わった後にハンドタオルで手を拭く。
「こちらとしても物騒な真似をする気はなかったが――」
数分後、男性プレイヤーの方は先ほどの非礼を詫びる。土下座等ではなく、普通に謝罪だけである。
食べ終わるまでには色々と良い争いもあったが、店員が止める様子はなかった。むしろ、ARゲーム専用スペースで食事をしていたのが裏目に出たかもしれない。
ARゲーム専用スペースはゲーセン内でも不可侵領域としており、店員達も破壊行為等の実害が出ない限りは手を出せないのが仕様と言うべきか。
これもARゲーム上のガイドラインに定められているのも、ゲーセンがARゲームを積極的に導入できない事情だろう。
いくら人気の作品でも、事前の評判が悪ければ導入を控える。いくらプレイヤーが導入を希望しても、店側はトラブル防止の為に導入しないと言うかもしれない。
これが、ARゲーム専門のゲーセン以外、アミューズメント施設や中規模ゲーセン等でARゲームを導入しない理由でもあった。
夕張の騒動から数分後の午前12時20分、食事を終えた山口が自転車を自転車置き場に置き、再びゲーセンの自動ドアを開ける。
「お前は――」
山口の目の前にいた人物、それは意外な事にインナースーツ姿の加賀ミヅキだった。
「山口飛龍、超有名アイドルの様な勢力は撤退したが、ミュージックオブスパーダは――また新たな危機を迎えている」
加賀の言おうとしている事に関して、大体の予想は出来ている。しかし、今は山口に復帰をしようという気力があるかと言われると……。




