第63話:音楽ゲームを知る事(ステージ2)
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8月4日、長門未来と山口飛龍は振り付け系のゲームをプレイし終えて、少し休憩を取っていた。
「そう言えば、さっきのプレイヤーは一体――」
山口は長門の声をかけていた人物が気になっていた。あれだけの的確な振り付けを出来ると言う事は、プロと言う可能性もある。
「芸能人と言う訳ではないけど、その筋には有名な人物よ。彼女が、このゲーセンに来る事は意外だったけど」
長門は彼女だと言う確信があって声をかけた訳ではない。それらしい人物だった為に声をかけた――と言う事らしい。
「音楽ゲームって、格闘ゲームと違って操作で覚える事が多いですね」
山口の言う事にも一理ある。格闘ゲームの場合は入力デバイスが大体ジョイスティックで統一されている為か、数機種掛け持ちしているプレイヤーはすんなりと入れる場合がある。
しかし、音楽ゲームは相当な機種でもない限り、それ独自の入力デバイスである事が多い。
それを踏まえると、1機種だけしかプレイしないというプレイヤーが多いのも、納得と言えるのかもしれないが。
「それにしても、あそこまで動く事になるとは予想外でしたが」
画面に表示されるアバターの振り付け通りに踊ると言う内容で、振り付けの要所でマーカーが出現し、そのポーズを上手く取ることでスコアが上昇する。
マーカーの種類によっては、そのポーズでの停止等も求められるが、それほど難しいとは思わなかった。
一方で、振り付け1曲分をプレイする事もあって体力の消耗は他の音ゲーと比べてもトップクラスなのは間違いない。
「こっちよりも足を使う音ゲーもあるけど、今は設置されていないみたいね」
長門が周囲を見回すが、それと比較できそうな音楽ゲームの姿はない。どうやら、彼女の言う足を使う音ゲーは別のゲーセンであればプレイできるのだろう。
「音楽ゲームって――全身を使う様なゲームなのですか?」
山口の質問に対し、長門は数秒程考えた末、少し話す事にした。
「全身を使うのはごく稀。ミュージックオブスパーダの様なARゲーム的な者は例外だけど、基本的には腕が多いと思う――」
手振りで色々なプレイ方法をエアプレイで実演するが、それでも山口が理解できるかは別の話。
「リズム感がないと、おそらくは途中でミスが多くなる。収録されている曲がこの音ゲーに入ったから――というプレイヤーも多いけど」
途中からは手ぶりを止めて普通に会話する。音ゲーの場合は格ゲーと違って、プレイするきっかけは絞られる事はない――とも付け加えた。
「実際、音ゲーには色々な有名曲も入っていますし、そこからプレイすると言う人もいるのでしょう。自分には関係ないかもしれませんが」
山口の方は冷静である。自分は音ゲー自体に興味はなく、南雲蒼龍がいるフィールドだからという理由があった。
「南雲を超える事、それも一理あるかもしれません。だからこそ、ミュージックオブスパーダで遭遇した時には――」
山口がミュージックオブスパーダを始めた理由、それは始めた当初では曖昧だったのだが、次第に分かって来たような気配だった。
今ならば、目的を見失ったりはしないだろう。




