第33話:未知数の強敵
>午前2時46分付
誤植修正:ファストフード店の2回→ファストフード店の2階
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6月2日、ある発表がミュージックオブスパーダ公式ホームページで行われた。それは、大型アップデートである。
アップデートの内容はバグ修正や各種微調整等がメイン、それ以外にも新曲が解禁となるようだ。
【隠し玉は、没になっていたデュエルモードか?】
【1対1のモードは他のARゲームで既に使われている。下手にかぶせる事はしないだろう】
【バグ修正は……そうと見せかけたチートやBOT対策か?】
【ARゲームにBOTという概念はないだろう】
【むしろ、問題視すべきは微調整で下方修正される武装が、チートプレイヤーが悪用していた部分が強い物ばかりだ】
【まるで、チートプレイヤーに対する当てつけにも見える】
【しかし、ARゲームのイースポーツ化が進めばBOTやマクロソフトで不正に利益を得ようと言う存在も出てくる。それだけは、阻止をしなくてはいけない】
運営が未知数の強敵と考えているのは、チート行為で不正な利益を得ようとする勢力のようだ。
ステマやアフィリエイトによるまとめサイト、詐欺メールの拡散に出会い系サイト……闇サイトがアカシックレコードの影響で摘発されているとも知らず、こうした犯罪は後を絶たない。
それに加え、超有名アイドルファンが過激派組織等にも協力を要請し、他のコンテンツを潰そうと言う空気さえも……ARゲーム特区では許されない。
流血を伴うシナリオ、それは全世界のリセットと言う桁はずれな野望を持った超有名アイドルプロデューサーが抱いた野望でもある。
そうした野望がアカシックレコードを通じ、全世界に明らかとなった事で超有名アイドル商法は衰退したと言っていい。
「理想は理想。アカシックレコードに書かれている事は、紙の予言でもなければ超能力でもない。どういう解釈が、人を暴走させてしまうのか」
草加市の一歩手前、足立区側の歩道で足を止めている人物がいた。厳密にはARアーマーを装着しており、素顔も全身像もバイザー等で隠されていて、文字通りの謎の人物である。
この人物の声はボイスチェンジャーを使用しておらず、普通に女性の声だが……ボカロソフト等でメッセージを代わりにしゃべらせている可能性もあった。
あるいは、この人物自体がARゲームで使用されるアバターなのか?
この人物を別のエリアにあるファストフード店の2階から見ていたのは、DJイナズマである。
実は、ミュージックオブスパーダと似たようなシステムを持った音ゲーが稼働したと聞き、近くまで立ち寄ったのだ。
「なるほど。ARガジェットを扱うのも同じと言う事か。それでもそのままではないのは――」
イナズマはこの人物が草加市エリアへ足を踏み入れ、近くのエリアまで立ち寄り、そこで音ゲーをプレイする様子を確かめる事にした。
ミュージックオブスパーダとはシステムが異なるこのゲームは、アンノウンが上空から姿を見せるタイプの様だ。
そこだけが違うかと言われると、この人物が使用している武装も遠距離型のスナイパーライフルで、向こうでは実装されていない物。
大きく違うのは、それ以上にキー音と言う概念がある事だった。
キー音、それは楽器を演奏すれば、その音が出る。音楽ゲームの場合、それで演奏している事を感じる事が出来る。
作品によっては別の音をかぶせて擬似的なキー音を作成したり、キー音なしと言う音ゲーも存在するのだが……キー音なしは色ロト言われていた過去があり、あまり良い印象を抱かないユーザーも存在する。
「キー音が実装されたARゲームと言うのも……と思ったが、音楽演奏系はキー音実装が基本か……?」
ここでイナズマはある疑問を抱いた。音楽ゲームなのに、ミュージックオブスパーダに足りない要素、それに気付いたのだ。
「さて、運営がどのように動くのかどうか」
このシステムをミュージックオブスパーダで導入すれば……とイナズマは思ったが、あちらはオートターゲット等の部分で差別化されている。
「似たようなゲームが出れば、クローンゲームが次々と生み出される可能性があると言う宿命もある」
同じく、このゲームを見に来ていたのは加賀ミヅキである。今回は別のARゲームをプレイする予定があった為、インナースーツを装備している状態だが。
「見えない敵との戦いは、自分も同じか」
加賀が戦う見えない敵、それはミュージックオブスパーダ以外のARゲームにもあるのだろうか……。




