第33.5話:未知の敵とは、見える存在だけなのか?
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6月3日、アップデートに関する追加告知があった。どうやら、新曲が追加されるらしい。しかも、その半数がオリジナル楽曲、もう半数は……。
【同人音楽ゲーム楽曲が本家進出と言う話は聞いていたが、まさかミュージックオブスパーダにも来るとは】
【あのシステムでプレイする以上、版権曲……超有名アイドルの楽曲は使えないだろう。遊戯都市奏歌が超有名アイドル関連で規制をしている限り】
【超有名アイドル規制法案……他のアカシックレコードで書かれているような架空の存在かと思った】
【その昔、超有名アイドルの暴走を止める為の手段として用意されたのが規制法案らしい】
【超有名アイドルファンは、自分達の応援しているグループ以外はありとあらゆる手段を使って他のコンテンツを排除と言う動きを見せていた】
【他のコンテンツ排除に大量破壊兵器を使うと言うのか? それはテロ活動と誤認識される】
【そんな事をすれば大きな事件となり、アイドルグループが解散に追い込まれる。彼らが主に使うのは――】
何度も言及されたような超有名アイドル規制法案、その話題が出る度に特定のキーワードが削除されていた。おそらく、それを悪用する勢力が現れるのを懸念しての事だろうか。
アカシックレコードの超技術がダイナマイトの様に本来の用途と異なる悪用がされないとは断言できない。つまり、超有名アイドルが自分達のコンテンツ以外を排除しようと利用したのは……。
同日、長門未来はアップデートの新曲リストに気になる曲名を発見した。あの曲が来るとは……と言う意味でも。
「あの曲が収録されるのか……発狂譜面が脅威と言われた、あの曲が」
長門は過去に音ゲーランカーと呼ばれる前、この曲にトライした事があった。それは、四次元とも言われたあの曲である。
「超有名アイドルの楽曲をゴリ押しするのも問題ありだが……あの曲が受け入れられる環境なのか?」
彼女の懸念する事は、この曲がミュージックオブスパーダのプレイヤーに受け入れられるかどうか……と言う部分。
それ以外にも懸念事項は存在するが、それはミュージックオブスパーダにとっては無縁の話だ。別の音楽ゲーム――超有名アイドルのゴリ押しをしている作品であれば、話は別だろう。
「アカシックレコードの懸念している世界、超有名アイドルコンテンツのみしか存在しない暗黒世界……それを現実化させない為のアカシックレコードだが」
更なる懸念はアカシックレコードが記した警告とも言えるメッセージ、超有名アイドルコンテンツのゴリ押しだけの世界……それが生み出す悲劇は火を見るよりも明らかである。
それとは別に何度もアカシックレコードの予言が現実化した事もあった。別の地球、別の次元、あるいはメタ的な意味での地球。
「それさえも切り崩せる手段は複数あるが、力技を使うのも問題がある。大淀の取った手段は強硬手段に近いだろうが」
大淀はるかが取った手段、それはアカシックレコード的にも似たような強硬手段に出た人物が記されている。
「しかし、この様な手段に出ても無尽蔵な資金源を持つ……賢者の石を持った芸能事務所に勝てるかと言うと疑問があるかもしれない」
長門はパソコンを眺めつつ、現状を整理していた。 アカシックレコードの技術を利用する事で、何とか現状を変えようとしていた遊戯都市奏歌だが……。
同日、草加市役所近辺の会議室、そこには今回の町おこしを考えたスタッフが集まっていたのだが……。
「超有名アイドル勢の締め出しには成功したが、予想外の事が起こりつつある」
「音楽ゲームで町おこしをするはずが、税収も思いのほか上がっていないと聞く。以前の計画の方が成功していたはずだ」
「あの計画はアカシックレコードを我々が知らなさすぎた事が、運営の暴走を招く事になり……最終的にはコンテンツの1つを壊滅危機に追い込んだ」
「アイドル絡みであれば、超有名アイドルと同様に潰すべきだったのでは? ビジュアルバンド系BL勢を便乗で駆逐寸前まで追い込めたのは大きいかもしれないが」
「あちらは超有名アイドルの様なゴリ押しは行っていない。それに、専業アイドルとアイドル声優をカテゴリーでまとめてしまえば、苦情が殺到するだろう」
「ビジュアル系や有名男性アイドルのBL勢は、別の勢力が水面下で攻撃を仕掛けていると聞く」
「姑息な手段で潰したとしても、ブーメランするのは明白だ」
スタッフの議論は平行線であり、アカシックレコードを甘く見ていた事が前回の失敗につながったのに、それを引っ張っているようにも思える。
白熱した議論は遂に超有名アイドルを物理的に潰すべきと言う極論に至ろうとしたが、ある人物が一喝して今の極論を却下する。
「私としては、超有名アイドルを潰せば全てが終わる……とは考えていなかったのですが、この辺りは反超有名アイドル勢力にでも任せますか?」
極論を却下したのは、メビウス提督だった。何故、彼が草加市の議員や委員会とパイプを持っているのかは定かではない。




