表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人型陸戦兵器「|武士《もののふ》」   作者: 荒井尾 麓
第三部 防衛高校対抗戦編
42/51

第四十二話

 俺たちは片桐の誘いを受け、そのおいしそうなお店に向かっていた。


「で、ちなみに片桐、今向かっているのはどんな店なんだ?」


 道中俺は、片桐に聞き忘れていた店の情報を聞く。


「そういえば、まだお話ししていませんでしたね。見た感じは洋食屋さんって感じなんです。看板はイタリア語で書かれていたので、たぶんイタリア料理のお店だと思います」


 なるほど、イタ飯屋か、と俺は心の中でつぶやく。

 となるとパスタかピザかとかか?あんまり詳しくないから、そこら辺しかパッと思いつかねえな。


「へぇ、イタリア料理か~。となるとアクアパッツァとか、カルトッチョとかおいしいよね~」


 東雲は行くのがイタリア料理の店とわかると、ここぞとばかりにイケメン力を発揮し始める。なんだよカルトッチョって。


「東雲君は詳しいんですね。お好きなんですか?」


 片桐はちょっと驚いた様子で東雲に問う。


「んー、まぁ、何というか。この学校に来るまでの実家での食事は、ほとんど外食ばっかりだったから、その影響かな」


 東雲は珍しく、そのイケメンスマイルを少し曇らせる。

 その様子に、片桐もいけないことを聞いてしまったと慌ててフォローしようとする。


「あ、あ、その、でも、いいですよね。たくさんおいしいものが食べられて」

「ははっ、そうだね」


 東雲の返答は、わずかに力がなく返された。

 自分のフォローが功を奏さなかったことに、さらに片桐は慌てる。

 その様子に見かねた俺は、助け船を出す。


「安心しろ片桐。そいつのそれはただの演技だから、僕可哀想なんです、慰めて慰めて。っていうフリだから。そこから相手の母性本能をくすぐって落とそうって魂胆だから、気にしなくていいぞ。けっ、これだからイケメンは」


 俺は死んだ魚のような目で東雲を睨めつけながら言った。

 まったく油断も隙もない、下種野郎だぜ。


「ちょ、そんなつもりはないんだけどな。僕は」


 東雲は俺の視線から逃げるように移動しながらも答える。


「東雲、お前は例え殺す気がなかったとしても、事故で誰かを轢いたとき、自分にはそんなつもりなかったんで無罪放免でオナシャス。って言われて許すのか?許さないだろう?」


 俺は東雲の肩をがっしりと握り、言い聞かせるように相手の目を、この死んだ魚のような目でしっかりと見つめて話す。


「いやいや、究極過ぎない?!そこまでひどいことなの?!」


 東雲は必死な様子で否定してくる。


「東雲。ユー、アー、ギルティ。オーケー?」


 まったく、これだから聞き分けのない子は困るぜ。自分の犯した罪くらいは、しっかりと認識してほしいものだよ。本当に。


「僕の有罪判決は確定なんだ...」


 俺の態度から何か感じるものがあったのか、東雲はやっと納得していただけたようだ。

 その後、俺は一緒に歩く中で、いまだに一言も話さないで、一番後ろを歩く北島の姿が目に入る。

 その隙に東雲は俺から逃げて片桐の方に話に行く。ちっ、逃げられたか。

 もう一度東雲を捕まえてやろうかと思ったが、何となく北島の様子が気になって、俺はとりあえず北島の方に近づいていく。


「どうした?お前自身こういう会話は、苦手なのかもしれねぇけど、ここまで不干渉ってのも、なんていうか、珍しい?じゃねぇか」


 俺は北島にそう言って話しかける。

 実際、こいつは苦手なことでも、大きな問題なくできる。第一、片桐とはなんだかんだで親しいとまではいかないまでも、それなりに仲は悪くないはずなのに、さっきもなんの助けもしないなんておかしいと感じていた。


「......確証はない。が、何となく気になることがあってな」


 そう聞くと、俺は北島が思っていることを、何となく予想することができた。


「東雲のことか?」


 俺は小声でそうつぶやく。

 ここで俺が言ったのは、目の前にいる東雲のことではなく。その実家である東雲の一族が経営している『東雲グループ』のことだ。

 北島は小さく頷いて、声を抑えて話し始める。


「最近は、お前にあまりちょっかいも出していないし、動きもおとなしかったからな。何となく嵐の前触れみたいに感じただけだ」


 最近は確かに、東雲が俺の周りをチョロチョロすることもなく、精神衛生上、非常に良い環境であったのは確かであるが、それが嵐の前触れだなんて感じたことはなかった。


「なにか、仕掛けてくるってのかよ」


 俺は、あまり感情を表に出さないように気を付けながら、北島に問う。


「それは、わからない。が、気を付けておくに越したことはないだろう」


 北島がそう言った直後、片桐が俺たちに声をかけてくる。

 気づかないうちに、片桐達との距離が空いてしまっていたようだ。


「斎藤君、北島さん、ここですよ!言っていたお店!」


 片桐はテンション高めに俺たちに紹介してくる。


 その店の外装は落ち着いて雰囲気で、高級なレストランというよりかは、そこそこリーズナブルで、しかし味には問題のない、少し老舗っぽい風格の洋食屋さんといった感じだった。

 その店内からだろうか、ほのかに漂う香りは、俺たちの鼻孔をくすぐり、空腹感を倍増させる。


「さ、入りましょう!」


 片桐は、満面の笑みで俺たちを店内へと誘う。

 いや、片桐さんや、キャラ変わり過ぎやしませんか?


     *********


 俺たちは店内へと入り、奥の方のボックス席へと座る。

 店内も落ち着いた雰囲気で、居心地のいい内装をしていた。


 ちなみにだが俺たちの席の配置は、向かい合うソファの片方ずつに男女が分かれている。つまり俺の目の前にはキリッと凛々しい系美少女、斜め前には、ほっこり系美少女が並んで座っているわけだ。そして俺は通路側に座って、その隣には東雲が座っている。


「いいのかい?斎藤君の場合、隣に女の子目の前にも女の子とか、そういう布陣がいいと思ったんだけど?」


 東雲はこの席順に座ったときに、こそっと俺に耳打ちする。ちっ、どうせ耳打ちされるなら女子がよかった。


「ははっ、冗談言うなよ。たとえ斜め向かいとはいえ、イケメンの顔面なんか見ながら食事したら、飯がマズくなるだろう?」


 俺はさわやかにそう言い切る。

 まぁ、この席順の理由はそんなところだ。

 もちろん、対面(トイメン)で座るつもりも毛頭ない。


「ああ、そうですか」


 東雲は悟ったようにそう力なく言った。

 その時、彼の目じりにはキラリと光るものが見えたとか、見えなかったとか。


 何はともあれ、俺たちはテーブルにメニューを広げ、何にするかを相談し始める。


「うわぁ、どれもおいしそうですね!」


 広げたメニューは分厚く、そんなに品数があるのかと思ったが、実際は、写真や料理の簡単な紹介、値段やカロリーなどが書かれており、品数数自体は、普通のファミレスよりかは少ないくらいだった。


「確かに、どれもおいしそうに見えるな」


 北島も、片桐と肩を寄せ合ってメニューを見て、品定めに参加していた。

 そして俺は、そんな二人を見てほっこりしていた。

 腹は減ってるけど、胸はいっぱいだよ、俺は。


「斎藤君、決めないのかい?」


 東雲は苦笑しながら俺に問う。

 まったく、無粋な奴だ。


「ああ、そうだな。とは、いっても、俺あんまイタリア料理とかわっかんねぇからな」

「だったら、要望さえ言ってくれれば、僕がよさそうなのを選ぼうか?」


 俺がぺらぺらとページを適当にめくりながらそう言うと、東雲がそう提案してくる。

 俺は一瞬迷うが、まぁ、そのほうが楽だし、いいかと、東雲に丸投げする。


「んじゃ、適当に食べごたえがありそうなもので」


 東雲はまたも苦笑しながら、俺の要望に沿ったものをメニューから探していく。


 その後、全員の選ぶ品がそろい、オーダーする。


おかしいなぁ。今回でこの食事回終わらせるつもりだったのに、終わらない。

というわけで、次回に続きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ