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第7話〜otherside2〜

こんにちは!

新田洋次郎です!今回も楽しんでいただければ幸いです

「模擬戦…始め!」


ジェシカの声が響く

最初に動いたのは部隊長の男

地面に顔が付きそうなほどの前傾姿勢で煌木の方へと走る

急な接近に反応出来なかった煌木は懐に潜ることを許してしまう


「ウッ!?」


下からの切り上げ

煌木は「金色龍礼賛剣(エクスカリバー)」の柄で防ぐが、そのまま打ち上げられてしまう

即座に姿勢を正した部隊長の男は剣を上段の構えで振り上げ、両手が打ち上げられ、万歳のポーズをさせられている煌木の胴体を袈裟斬りする


「うわぁっ!?」


煌木は後ろのよろめいて尻餅を付く

すぐに斬られた場所をペタペタと触るが、手には何もつかない

良く感じて見ると痛みも感じない


「シリコンの剣だよ。模擬戦で本物使うわけないだろ」


「ハハ…そ、そうですよね…もう一回お願いします」


「はぁ?もう一回?」


「はい!今は急に襲われたから負けましたが…次は負けません」


煌木の言葉を聞いて部隊長の男は目元に手を当てて空を見上げる

そして深く息を吸い、吐いた後、煌木の方を向く


「断る。もうおしまいだ」


「なんでですか!?あれだけじゃ俺らの実力は分からないと思います!」


「いや?もう十分わかったさ」


「何を…ッ…」


その先の言葉は出なかった

首に本物の剣が添えられている

恐らく部隊長の男の剣


「見えなかっただろ?お前らなんてまだ俺らの足元にも及ばん」


「だ…だとしても…まだ俺はやれ…」


「まず、一回負けたら死ぬぞ?この世界だと」


「ッ!!」


部隊長の男の言った言葉に目を見開く煌木

そう…この世界は煌木たちがいた世界とは違い、未知の敵との戦争中だ

死ぬ殺すなど当たり前であり、軍人とはそれに最も近しい職業だった


「そんな覚悟も出来てないガキどもに前線を任せる?馬鹿言うんじゃねぇよ。俺らはこの世界を…ここで暮らす市民を守るために今まで戦ってきたんだ」


「でも…」


そこから先の言葉は出ない

言ってしまうと本気でこの世界を救おうなんて考えているのは煌木だけであり、他の大勢は自身が死なないための刑務作業としかとらえていない

更に言ってしまえば軍人として勤務する際に得られる免除や特権などの甘い思いをするためにしているものも一定数存在する

そんな彼らに戦場で死する覚悟などあるはずもなく…


「はぁ…そこまで。もういい」


またジェシカが指を鳴らすと、コロッセオハ組み変わり、バスに戻る

橘以外はバスの中に座らされている


「ジェシカ軍隊長…」


「橘くん、1つお願いをしていいかい?」


「なんでしょうか」


「今行方不明の…畑田史郎という男…もし見つけたら江戸には報告せずに私にしろ」


「……何故でしょうか」


橘は少し警戒する

それを見たジェシカは面白そうに笑う


「随分彼のこと気に入ってるんだ…」


「いえ…私が…守れなかったから…です…」


橘は未だ後悔している

何故、自分が指導しなかったのか


(私が教えていれば彼はまだ生きていたんじゃないか?)


何故、確認もろくにせずに遠征に行ってしまったのか


(あの時…私が顔を見に行っていれば…)


何故…あの時、言葉を詰まらせてしまったのか

あの時の彼の顔…全てを察し、全てを諦めた顔


(私が…彼を追い詰めたんじゃないか…)


彼は見たところ聡明な子だ

だが、その聡明さも追い詰められ、押しつぶされた状況では役に立たない

だからあんな見え見えの罠についていってしまったんじゃないか


「私もさ…彼には会ってみたいんだよね」


「何故ですか?どうやって彼のことを知ったかしりませんが…彼に何か惹かれるものでも?」


「………来訪者なのに透晶級の源能って言うのが気になってね…」


「そうですか………分かりました。見つかったら連絡します」


そう言い、去っていく橘

遠ざかっていく橘の背中を見ながらジェシカはニヤリと笑みを浮かべ、踵を返して歩き去っていった

_________________

来訪者side


「なんだったんだよあいつ!俺らを馬鹿にしやがって!」


佐藤がバスの中で前の座席を蹴る

前に座っていた男子生徒はビクッとするも何も言わない


「俺らだって…戦えるのに…」


煌木は悔しそうに拳を握る

ジェシカの対応から誰もが分かった

自分たちは戦力として歓迎されていないと


「なぁ…あいつらに舐められて終われるかよ…」


佐藤は立ち上がる

彼のプライドは、彼が敗者であることを認めなかった

取り巻き達が口々にそうだそうだという


「力で勝てなくても…数で勝てばいい…そうだろ?」


「でも…あっちは私たちの数十倍はいるよ?」


「雛、こういう時こそ頭を使え…あっちがあんな化け物だらけなわけがねぇ…」


その言葉に「春野雛」は首を傾げる

それを見た佐藤はやれやれと言った顔で首を横に振り、話し始める


「つまり…俺らは現地人をスカウトする」


「現地人って言っても…どうやって探すんだ?」


「これには…あるやつの協力が不可欠だ…坊!」


佐藤はバスの後部、席で足を組んで座っている坊を指さす

帽子を目が隠れるように被り、寝ていた彼女は帽子を上に上げ、片目で見る


「名前で呼ぶな指をさすな」


「まぁ、良いじゃねぇか。な?一回でいいから…お前の「賢者」で調べてくれよ」


坊の源能の1つ…「賢者」…能力は脳内で条件をソートして検索をすることであらゆることを知り、理解できる

デメリットとしてこの世界に紐づいていないもの…来訪者は検索できない


「はぁ…一回したらもう僕に話しかけないかい?」


「ああ!頼むよ」


「はぁ…「賢者」…虹晶級源能所持…無所属…検索」


坊は目を閉じると、条件を呟く

その時、坊の脳内では複数の巻物が現れは消えを繰り返していた

そして、それを数十回繰り返した後、1つの巻物が残る

坊はそれを掴み、開く


「いた。第3防衛軍所轄臨海都市「江の島」にいる」


「ほんとか!?名前は!?」


「随分と田舎に住んでる…名前は「黒沢加奈子」」


「よし!早速そいつをスカウトしに行こう!」


一筋の光が見え、彼らは盛り上がる

数人の生徒…新次郎や口羽、カラビナに凪璃などは我関せずとしている


「お前ら何騒いでるんだ」


その時、他の隊員たちと橘が戻ってくる


「橘さん!遠征って1週間の予定でしたよね!?」


「ああ…潰れたがな」


「なら、少し行きたいところがあるんです」


「行きたいところ?」


佐藤の言葉を聞いて訝しげな顔をする橘

佐藤は自身の端末を開いて橘に見せる


「あの…この江の島っていうとこに会いたい人がいて…」


「何故だ?」


「俺ら…悔しいんですよ…ここに来たのも俺らの意思じゃないのにあんなことまで言われて…」


佐藤の言葉に橘は一瞬下を見る

彼女もそれについては思うことがあるのだろう


「だから、強くなる以外にももっと仲間を集めたいんです」


佐藤を支持するように煌木も立ち上がる


「ここに行けば…仲間にしたい人材がいると?」


「はい!」


橘は佐藤の端末を見つめ、少しの間考えた後、運転手に伝える


「目的地を江の島に変更しろ」


「はい」


橘の言葉に佐藤達はガッツポーズで喜ぶ


「お前らの気持ちはしっかり受け取った。なら、行くぞ」


「「はい!」」


_________________

江の島某所


ある村の民家

彼女は扉の隙間からまた去っていく背中を見る

これで3回目だ


「あの人…私を()()()に迎え入れたいって言ってたな…」


彼女は部屋に戻り、机の上に置いている紙を持つ

そこにはこの3日間で自身の家の前を訪れている彼を書いている

その絵をジッと見ると彼女は唇を尖らせ、その絵の…顔の部分に近づけていく


「ハッ!?何してるの私!?」


彼女は顔をブンブンと横に振ると、その絵を丁寧に机に置く


「はぁ…あの人イケメンだし…話…受けても良いかな…」


黒い髪を床に着くほど伸ばし、手入れはまるでされていない

丸眼鏡も付けており、俗にいう芋女という部類に入るだろうが、それすら奥ゆかしい魅力を引き出している

彼女は「黒沢加奈子」

そして、彼女は今「帝国軍」のスカウトに応じようとしていた


彼女が帝国軍のスカウトに応じるまで……残り1日

彼女を巡った争いが今、始まる

読んで頂きありがとうございます

読んだ後に良かった点や気になる点を感想に書いたり、評価してくれると嬉しいです

では、また次のお話で!

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