第6話〜otherside〜
こんにちは!
新田洋次郎です!今回も楽しんでいただければ幸いです
「よし皆揃ったな?」
早朝5時
第7防衛軍本部の門前、煌木達は集められていた
江戸に来てから7ヶ月……煌木達は訓練に精を出し、以前に比べて高い戦闘力を身につけていた
そして、今日…彼らは橘を部隊長にする第1部隊の任務に着いていくことになった
「はい!」
「ならいい。お前ら!2人の生徒につき1人つけ!」
橘は隊員達に指示を出す
隊員たちは2人1組になった煌木達に1人がつく
「全員組んだな?なら行くぞ」
橘は後ろに止められているバスに乗りこむ
それに続き、他の者も後ろを追う
「橘さん、今日はどんな任務なんですか?」
前から2番目の席に座った煌木が橘に聞く
橘は前を見たまま答える
「今日は第3防衛軍所轄「大阪」で要請があってな。まぁ、簡単に言えば来訪者と会いたいって騒いでる奴がいてな」
「戦うわけでは無いと?」
「いや。模擬戦をやるようだ。煌木、行けるか?」
「!!はい!」
目を輝かせ、返事をする煌木
橘はそれを傍目で見ると黙り、そのまま前を向く
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第7防衛軍所轄次席都市「大阪」
「いや〜楽しみだな〜」
薄暗い部屋
照明は着いていないが、十を超えるモニターによって明るくなっている
彼女はモニターを置いている机の前に立ち、複数の動画を流している
その動画はある場所での一幕
金髪の男3人に相対する1人の黒髪の男
金髪の男の1人が炎を放つ
しかし、黒髪の男が壁を蹴って避ける
「ほほう……」
彼女はその動画を頬ずえをつきながら見る
動画に目は釘付けになり、楽しそうに恍惚と息を吐く
「お?廻も出来るのか〜」
動画は黒髪の男が女性を逃がし、金髪の3人と黒髪の男だけになる
金髪2人組は黒髪に容赦なく源能での攻撃を行う
しかし、黒髪の男は一気に1人の金髪の懐に潜り込むとそのまま走り去る
「へぇ…そこまで使えるんだ…」
彼女は目を細める
ズームしたモニターには黒髪の男がズームされており、彼女はそれを手の甲で撫でる
「楽しみだなぁ……」
頬に手を当て、クルクルと踊るように回る
その時、ドアからコンコンと音が鳴る
「何~?」
「軍隊長…後10分で到着するようです」
「分かった~歓迎の準備しといてね~」
彼女の言葉を聞いたドアの外の人物は去っていく
そして、彼女は嬉しそうに笑い、部屋の隅に置いてある豪華なベッドにダイブする
「あ~愉しみ楽しみ楽しみ~」
まるで鮮血を吸ったかのような真っ赤な髪を巻き込みながらゴロゴロとベッドの上で転がりまわる
「さ~て…私も準備しますかね~」
起き上がった彼女は部屋の壁の向かって歩いていく
レンガ造りの壁がレンガが組み替えられるとクローゼットが現れ、そこから何枚かのワンピースを取り出す
「これが良いかな~それともこれ!?…う~んこれも違うなぁ」
何枚もワンピースを自身に合わせて、捨てては合わせるを繰り返す
ドレスは浮かんで引き寄せられてはクローゼットに投げ捨てられる
クローゼットの中でハンガーにかけられる
「これで行こう!」
選んだのは青色のドレス
深紅の髪とはミスマッチに見えるが、彼女にはそれすら無にするボディラインと美貌があった
「よし!完璧!」
ドレスを着た彼女はくるりと姿見の前でターンし、全身を見る
ひらりとドレスの裾が舞う
まるで花畑の真ん中で踊っているようだ
「軍隊長!もう来ますよ!」
「はいは~い」
彼女は扉を開ける
扉の外には1人の男が立っていた
「もう早く行きますよ!」
彼はいつも自由奔放な軍隊長に翻弄されている部隊長
彼女は彼の横を通り過ぎてそのまま歩いていく
その足取りは軽い
「さ~会いに行こう~」
スキップのまま、彼女は階段を降りて行った
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来訪者side
「ここだな」
橘が言う通り、バスは速度を落とし、止まった
そこは「江戸」にあった本部と同じくらい大きいお城
「城だ…」
呆気に取られた新次郎が言葉を漏らす
「ここの軍隊長の趣味だな。噂をすればお出ましだ」
橘がそう言うと少し、甘い匂いがした
その瞬間、バスの中に乗っていた新次郎達はふわりと浮いている
バスはいつの間にかバラバラに分解され、椅子に組み替えられる
出来た無数の椅子に新次郎達は座らされていく
円状に配置された椅子の片側に新次郎達は座っている
「やぁやぁ久しぶりだね橘くん」
そこに歩いてきたのは深紅の髪に群青色のドレスを身にまとった美女
豊満な体つきに汚れすら知らなそうな白い肌、鋭い目つきは嗜虐的な雰囲気を感じる
「お久しぶりです。ジェシカ軍隊長」
彼女は「フラン・ジェスカ」。第3防衛軍軍隊長であり、この世界で最強の集団である「古徒七傑」の1人。
彼女は橘の真正面になる席に座る
彼女が座ると他の隊員たちも座っていく
「さ、始めようか」
ジェシカが指を鳴らす
また、椅子が組み替えられる
次は机も追加されていた
机の上にはコーヒーか紅茶、お菓子が置かれている
「今日来てもらったのはある確認をしたくてね」
ジェシカはにこやかに笑いながらもその目で来訪者たちを見すくめる
来訪者はその視線だけで身がすくみ、自然に背筋が伸びる
「ふむ…おかしいな…」
ジェシカは一通り見た後、顎に手を当てて考え始める
「どうしましたか?」
「いや何でもない。…まぁ…こうすれば出てくるか…この中で一番強い来訪者は手を挙げよ!」
急にジェシカはそう言う
その言葉に進次郎達は戸惑い、互いを見る
そして、煌木が手を挙げる
「はい。僕です」
「貴様は…誰だ?」
「煌木勇…「違う。お前じゃないと言っているんだ」…へ?」
ジェシカは煌木の自己紹介をバッサリと切り、そのまままた沈黙する
まるで煌木とは違う誰かを待っているように
「なら俺!俺は美人さん!」
佐藤が勢いよく手を挙げる
「黙れクズ。いや…おい、お前」
「はい!」
ジェシカから直接声をかけられたことで佐藤は鼻の下を伸ばしながらジェシカの方へと向かおうとする
「いや、そこでいい。1つ聞きたいことがある」
「なんですか?何でも答えますよ」
佐藤はそこで止まりつつもウインクをし、何にでも答えると両手を広げるジェスチャーをする
「数ヶ月前…お前とその取り巻き3人がかりで傷すら付けられなかった黒髪の男は何処だ?」
ジェシカがその言葉を言った瞬間、爽やかな笑みを浮かべていた佐藤の笑みがひきつる
取り巻き達も少し笑みが引きっている
「???何の話ですか?佐藤は強いですよ?そんなやついるわけないでしょう」
「いや、いる。今、この場に居ない来訪者は居ないか?橘くん?」
「………」
「橘くん?」
「……畑田史郎という来訪者が1名…行方不明です」
畑田史郎の名前が出ると明らかに佐藤の様子がおかしくなる
「は!?畑田がいちばん強いって言うんですか!?あいつ俺らみたいに虹晶スキルも持ってないんですよ!?」
「はい!それにあいつはろくに戦闘訓練もせずに逃げる怠惰なやつです!それに……俺の友達をストーカーして暴力まで振るっていました」
佐藤と煌木の言葉に口を揃えて同意する他の来訪者達
第2防衛軍の軍人たちはそれを聞いてコソコソと畑田史郎へのことを話している
その内容はどれも軽蔑や悪口、罵倒ばかり
しかし、ジェシカは違った
その話を聞いて心底不愉快そうに…不機嫌な顔になっており、それを見た軍人達は話を辞めていた
「その話は…本当か?」
「はい!」
煌木が答える
まるでそれが変えようのない真実…確信を持っているかのように
「なら、証拠を出してみな」
「は?」
「証拠…出しな?」
ジェシカは片手をぽんと前に出す
その手は掌が空に向けられており、今すぐ、ここに出せと主張しているようだ
「いや…みんなが言ってましたし…口羽からの証言もありますし…」
「へぇ…人なんてすぐに嘘をつくものだと思うがねぇ…アンタたちのいたところには嘘はなかったのか?」
「みんなが嘘をつくはずありません!」
煌木は真っ直ぐな目でジェシカにそういう
ジェシカはその目を見た時、全てを察した
(ああ…こいつはダメだな)
「はぁ…まぁいい…行方不明ならそこの……お前…」
「煌木です」
「あ〜そうだ煌木。お前がうちの第1部隊長と戦え」
ジェシカが手を上げる
そうすると後ろに控えていた第1部隊長が1歩前に出る
「戦うん…ですか?」
「ああ」
「何でですか!?戦う相手は人間じゃないはずです!」
「お前らを信用してないからだよ」
反論する煌木の言葉をジェシカがバッサリ切る
その言葉を受けて煌木は少し後ろに下がる
「今まで私たちがこの世界を守ってきたんだ。なのに急に出た学生に?戦いを任せろ?お前ら…」
ジェシカから莫大な何かが発せられる
傍から見たら何もないのだろう
しかし、そこにいるものたちは感じていた
圧倒的な圧
有無を言わせない暴力的なまでの差
「私たちのこと…舐めてんだろ?」
その言葉に煌木は何も言えない
口すら開けない
それを見たジェシカは忌々しげに顔を歪ませると、そっぽを向く
もう視界にすら入れる価値もないと言外に言っているようだ
「チッ…もういい。始めるぞ」
ジェシカが指を鳴らすとまた椅子が組み替えられ、今回はコロッセオのようになった
コロッセオの中には第1部隊長の男と煌木が残されている
煌木は第1部隊長の男に恐る恐る声をかける
「ほ、本当に戦うんですか?」
「ああ。構えろ」
第1部隊長の男は、片手剣を構える
煌木も自身の源能である聖剣「金色龍礼賛剣」を構える
「模擬戦…始め!」
読んで頂きありがとうございます
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では、また次のお話で!




