表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/8

第3話〜図書館内で〜

こんにちは!

新田洋次郎です!今回も楽しんでいただければ幸いです

「魔導は体内に巡るオーラを…オーラ?……魔導神経を…原型を…アアアアアアア!」


頭を掻きむしり、声を上げる


「図書館で大声禁止ィ!」


遠くから完璧な軌道で辞書が史郎の頭に吸い込まれる

投げたのは図書館の司書

かけた眼鏡がずり落ち、目を三角にした彼女は肩で息をしている

眼鏡の位置を直すと何事も無かったように座って本を再度読み始める

分厚い辞書の角が直撃した史郎は少しの間机に突っ伏し、また起き上がり本を読み始める

史郎は今、図書館で魔導について学んでいた

何故、史郎が図書館にいるのか…理由は源能鑑定の数分後の出来事にまで遡る

__________________

数日前


「強化系源能持ちはこちらの部隊長の前に!直接攻撃系源能持ちはあっちの部隊長に!武器創造系は私の前に来い!」


橘の指示に従って皆それぞれの部隊長の前に並んでいく

特例で坊は複数人の部隊長に師事するようだ

新次郎も美波もそれぞれに類似した源能を持つ部隊長の元へと歩いていった

そして、史郎は


「橘さん…俺はどこに行けば…」


「………まぁ…少し待ってろ…該当する源能持ちを探しとくから」


「……はい」

_________________

その会話から既に7日間経っており、他の生徒はかなり源能の訓練を行っているらしい


「まぁ…何もやらないくらいは良いよな…」


そのまま本を読み続ける

今読んでいるのは「猿でもわかる!魔導の使い方!1巻」

しかし、余りにも専門用語が多すぎて結局は辞書を使って用語から理解する始末だ


「オーラは…寿命?いや…体内にあるパワー?」


今調べているのは魔導を使うために必要なオーラについて

オーラとは生物には必ず通っているものらしく、生命力に比例したり反比例したりするらしい


「オーラは…巡らせる?いや…どうやって分かるんだよ…」


一応、本に書いてある通りに目を閉じて、自身の内に集中してみる

1秒…5秒…3分…


(ダメだ…何も分からん…)


結局何もわからずに諦める

 

(いやまぁな?元々なかったもの使えって言われたって無理だって)


オーラなど元居た世界にはなく、自覚することすら出来ていない今では何も出来ない


「まぁ…魔導科学院でも学ぶらしいし…予習だけにしとくか」


本を読み始める

「廻」、「よおい」、「源儘蕩合」、「神話下体」…


(丗?)


「丗はオーラを体に纏わせる技術」


「そうなのか…でもオーラ自体使えないと無理か……あ?」


突如横から聞こえてきた声

自然に返事をしたが、違和感を感じ、その方向を見る

そこには1人の女性がいた

暗い紫色の髪に光のない赤いの目

息をのむほどの美貌と何か退廃的な雰囲気を纏う美女


「………」


「こんにちは」


彼女は挨拶をしてくる


「こ、こんにちは」


「見ない顔だね。もしかして話題の来訪者?」


「まぁ…そうですね…」


「もう…ため口でいいよ」


(なんだこいつ…変な感じがする)


史郎は何か変な感覚を感じる

話していると何かふわふわする…妙な浮遊感を感じる


「どうしたの?」


そして一番の違和感

口調や表情など全てが無感情なのだ


「いや…何でもない…それよりもオーラが分かるのか?」


「分かるも何も君以外の来訪者はもう出来てたよ。確か…6日前だったっけな…」


「え?」


この7日間、史郎も何もしていないわけではなかった

最初の2日間は部屋で体を鍛えながら待っていたが、何も連絡は無かった

史郎たちは訓練以外で部屋から出れず、足首に付けられた発信機のせいで自由に行動出来ない。史郎に至ってはほぼ箱詰め状態だった

3日目からはそとにいる軍の人間に訓練が始まるのはいつなのかを聞いたが、待機しろとしか言われず、5日目までまた部屋の中での筋トレのみになってしまう

そして1日前…史郎は部屋を追い出され、今は元居た場所の本部ではなく、図書館のある別館の部屋に移されたのだ

結局訓練の案内は来ず、図書館での予習と筋トレのみになってしまっている

なのにもう他の奴らはオーラを使うところまで行っている


「マジか…」


(まぁ…うすうす分かってたんだよな…)


他の奴らは虹色に光ったのに自分だけは何色にも光らず、意味の分からない能力を渡されただけ


「ショック?」


「まぁな…てか、俺どうなんだろ…」


そう…史郎が一番危惧しているのは今後のこと

刑務作業としての入隊だったはずなのに史郎は今訓練すらされておらず恐らく入隊すらできないだろう

なら、史郎はどうなる?

80歳までの刑務作業が課せられる罪などかなり重い

それを戦闘で猶予しようとされていたのに出来ないとなると待っているのは…


(死刑…)


背後から死が足音を立てながら迫っている気がする

呼吸が荒くなり、脂汗が滲み出る

心臓の鼓動も早くなり、意識が遠のく


(嫌だ…死にたくない…)


震えが止まらない

何故か寒気がする


(嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ…)


思考が纏まらない

そのまま気を失いそうになる


「大丈夫だよ」


その時、隣に座っていた彼女が史郎を抱き締める

柔らかい感触に安心する花の香り

彼女の胸に顔を埋められる

匂いと柔らかさで脳内を上書きされる


「大丈夫…君は何も悪くないんだから…耳をすましてみて…君のやるべき事がいつか分かるようにから」


そのまま頭を撫でられる

段々と落ち着いてくる


「もう大丈夫?」


「ああ…その…ありがとう…」


少し気恥しくなり、顔が熱を帯びるのを感じる

それを見た彼女はニコニコとしながら史郎の頬を撫でる


「別にいいよ。お姉さんに甘えるのは当たり前でしょ?」


「あんた年上だったのか…」


「そういえばまだ自己紹介してなかったね。私は「赤塚三栗あかつかめぐりだよ。よろしくね」


「畑田史郎です」


「史郎くん!良い名前だね」


三栗は嬉しそうに笑うと椅子を引く


「ちょっと司書さんが怖い顔してるし…今日はここで帰るね」


「また、会えますか?」


「うん。また明日ここで会お」


約束をし、彼女は去っていった

史郎は少し心が軽くなり、また本に集中し始める

_________________

それからは図書館の閉館時間まで本を読み込み、自室ではノートに覚えていることを書き起こす

そして自室では筋トレと本に書いてあるオーラを自覚する方法をひたすら試す

1年…橘は訓練期間をそういっていた

もう2か月が経ち、史郎は段々と進捗を感じていた


(もし俺を戦えないと判断して訓練させないなら自主的にやってやるよ…)


オーラに関しては思ったより簡単に操作することが出来た

オーラのイメージは血液

オーラは体内を血液とは逆にめぐっている

それさえ理解してしまえばあとは簡単だった


部屋のベッドの上で胡坐をかき、集中する


「体内の流れを早く…」


オーラが激流のように体内を巡り始める

これが「廻」。流れを早くすることで身体能力を上昇させる技術

基礎技術であり、戦闘ではこれをいかに切らさずに戦えるかが肝らしい


「次は丗…体外にオーラを…纏わせる…」


次は「丗」。これは廻とは対照的に体外に纏わせることで外部からの衝撃を和らげ、攻撃力を底上げする。これは廻のように常時回すものではなく、一部に纏わせないとすぐにオーラ切れになってしまう


「この2つは何とかできるようになったな…」


これも全て三栗のおかげだ

三栗はこの施設にいるように防衛軍の人間のようでオーラ操作の指導の上手さは1級品だった


『明日!部屋から出たら図書館とは逆の道に行って!防衛軍の本部はそっちだから!』


三栗が言ったように今日…史郎は防衛軍の人に直談判しに行く

内容は単純。自力でオーラ操作を習得したことを見せ、訓練への参加を認めさせることだ


ガチャっと音がする


「よし…行くか…」


いつもは左に曲がる通路

今日は右に曲がって真っ直ぐ進む

そのまま進むと扉があり、そこから出ると外に出る


(地味に初めて外に出たのか…)


そのまま真っすぐ進むと大きな建物に到着する

それが防衛軍7支部本部

史郎はその扉を開くと中に入る

中は別館とは比べものにならないほど大きい


(別館の部屋に連れてこられた時は目隠ししてたからな…ほんとにこっちに来てほしくなかったのか)


そのまま本部に入ると周りを見回す

そして受付を発見するとそこに向かって歩き始める


「すみません橘さんはいますか?」


「少々お待ちください…」


受付の人はパソコンで何かを打ち込むと確認する

そして申し訳なさそうな顔をしながら顔を上げる


「申し訳ありません…今橘部隊長は防衛に出向いているようです」


「いつ頃帰ってきますか?」


「最短でも…5か月後ですね」


「そうですか…」


5か月…捕まってから半年が経ってしまう

もしかしたら死刑の執行が早めに行われてしまうかもしれない


「他に橘さんと同じ部隊長の人はいませんか?その人に会いたいんですけど…」


「申し訳ございません。こちらではそのような権限はなく…」


どうやら不可能のようだ


「分かりました。ありがとうございました」


(さて…どしよ)


頼みの綱が無くなり、途方に暮れる

本部の入り口の方へ行き、外に出る


(あとは…一回他の奴らの顔見に行くか)


史郎の足首に付けられている発信機が音を出さないことからここはまだ自由行動が許されている地域であることが分かる

三栗が言っていた訓練場までの道は覚えているため、そのまま歩いていく

そして、角を曲がろうとしたとき、何やら声が聞こえてきた

_________________

???side


「おい…俺らに逆らわない方が良いぜ?」


「美幸ちゃん支援系でしょ?なら俺らと仲良くしてた方が良いと思うな~」


自身を壁に追い込み、壁ドンのような構図を取る3人の男

彼らの視線は胸や尻、脚に向かっている


(はぁ…本当に最悪)


彼女…傑雄大学2年の朝倉美幸は自身の不運を呪う

ここに来てから最悪の連続だった

大学にいるだけで申し込まれるなんかの実験の参加が決まって、親は大喜び

すぐに荷物がまとめらて大学まで送り届けられた

別に親との仲は悪くない

誕生日もクリスマスも祝うほど仲は良い

しかし、親は生粋の科学者だった

だから今回の実験への参加をうらやむほどには

だからこの実験の土産話を持って帰ろうとしていたのに…


『お前らには今から戦う術を身に着けてもらう』


急に連れてこられた世界で急に戦わされる?

それからは一か月ずっと訓練の日々だった

毎日毎日訓練訓練…

何とか食いついてきた


(なのに今度はこれ?)


今目の前にいるのは集団の中心でもあり陽キャども

攻撃系の源能を持っているためかなり幅を利かせていた

彼らは美幸に今男女の肉体関係を迫っているのだ


「ねぇ、あんた。確か…佐藤だっけ?彼女はどうしたのよ。ラブラブな奴がいたじゃない」


「あ~あいつ?この頃付き合い悪いんだよ。クソッ…こ…か?」


どうやら最近は相手すらしてもらって無いらしく、かなり溜まっているようだ


「でもあんたたちとヤる気なんてないから」


「はぁ?お前今の状況分かってんの?」


「もうやっちまおうぜ」


そう言うと1人の男が美幸の手を抑える

美幸は逃れようと藻掻くが、男の力には敵わない


「まぁまぁそんな暴れんなって。気持ちよくしてやっから」


もう1人の男が服に手をかけ、服を引きちぎる



「嫌ぁぁぁぁッむぐッ!」


「ほら大きな声出すなよ。バレるだろ」


口に何かタオルのようなものを詰め込まれる


(こいつら手慣れてる!!…やめて…いや…)


気持ち悪い感触が体を這う

そして、手は段々と秘部に近づいていく


「安心しろよ。俺とヤッたあとは皆彼氏捨てるくらいには虜になっちまうからさ」


佐藤の目が怪しく光った気がした

そして、佐藤の顔が近づいてくる


(いや…いや…辞めて…)


目をギュッと閉じる

救いは無いのか…誰も来てくれないのか…

こんな奴らに自分の初めてを奪われるのか


(誰か…助けて…)


美幸は半分諦めてしまっていた


「何やってんだよ」


しかし、聞き覚えのない声が聞こえる


「ああ?」


「誰だよ。今いいとこだったのに」


美幸はゆっくりと目を開ける

そこには近づいてきていた佐藤の顔は無く、佐藤は後ろを振り向いていた

美幸も佐藤の肩越しに見る

そこにいたのは最近顔を見なかったあまり印象の無い男


「嫌がってんだろ。やめろ」


畑田史郎がそこには立っていた

読んで頂きありがとうございます

読んだ後に良かった点や気になる点を感想に書いたり、評価してくれると嬉しいです

では、また次のお話で!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ