表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
2/6

王女様の足は水虫

僕は一番近くの街に入って、まずは深呼吸した。

「いや〜、文明っていいよね。魔族領はマナが濃すぎて喉痛かったなぁ」

ひさしぶりの街は、音も匂いも全部懐かしい。


復讐なんてしない。

めんどくさいし。

ただ、

「悪評くらいは広めとこっかな〜。軽くね、軽く」

僕はチャラいし、根はめんどくさがりだし、

血の雨を降らせるような復讐なんて興味ない。

でも、あの婚約者が僕を“醜いから嫌”って理由で殺したのは事実だし、

それくらいの仕返しはしてもいいよね。

というわけで、街の噂話ネットワークに軽く投げ込む。


まずは酒場。

情報の発信源はだいたいここ。

僕はカウンターに座って、軽く酒を頼む。

店主が僕の顔を見て目を丸くした。

「お客さん、えらい美形だねぇ」

「でしょ?自分でもそう思う」

軽口を叩きながら、さりげなく話題を投げる。

「そういえばさ、帝国の第一皇女って、

最近“ケチすぎて使用人が逃げた”って噂あるよね?」

店主の手が止まる。

「えっ、そんな話が?」

「あと、靴脱ぐときに“水虫の魔法陣が出る”って聞いたけど、

あれマジなのかな〜?」

周りの客がざわつく。

「水虫の魔法陣!?」

「皇女殿下が!?」

「いや、あの人潔癖そうなのに……」

僕は肩をすくめる。

「いや〜、僕も聞いただけなんだけどね。

あと、なんか“性病の治療で宮廷医が倒れた”とか……」

酒場が一瞬で騒然となった。

「性病!?」

「宮廷医が倒れた!?」

「帝国どうなってんだ!?」

僕は心の中でガッツポーズした。

「よし、今日のノルマ達成っと」

悪評は広めた。

あとは自然に広がる。

人の噂好きは魔王より強い。


さて、次は使用人だ。

復活したとはいえ、僕はめんどくさがり。

自分で全部やるなんて無理。

「掃除とか洗濯とか、僕がやるわけないじゃん。

イケメンは働かないのが世界の理だよね」

街の掲示板を見ると、

雇われたい人の張り紙がいくつかある。


料理人志望 味は普通、やる気はある


元盗賊 手先が器用、反省はしてる(たぶん)


元宮廷メイド 皇女がケチすぎて逃げた


魔法使い見習い 掃除魔法が得意、でも方向音痴


僕は掲示板を見ながらつぶやく。


「元宮廷メイド……皇女の悪評、裏付けきたな」

そのメイドに声をかけると、

彼女は僕の顔を見て固まった。

「えっ……イケメン……!?」

「うん、イケメンだよ。

で、仕事探してるんだよね?僕の家来にならない?」

「よ、喜んで……!」

あっさり一人確保。

次に料理人志望の青年にも声をかける。

「料理できるんだよね?僕、食べるの好きだからさ」

「は、はい!頑張ります!」

二人目確保。

最後に元盗賊の男。

「手先器用なんだよね?鍵とか壊れた家具とか直せる?」

「できます!盗みはもうしません!」

「じゃあ採用。盗みは僕の許可があるときだけね」

「えっ……?」

三人目確保。

これで最低限の生活はできる。


悪評は広めた。

使用人も確保した。

帝国の情報は全部知ってるし、復讐する気もない。

ただ、行く先々で王女のくだらない噂を撒き散らすだけ。

それが僕の“ゆるい仕返し”。

「さて、次の街でも噂流すか〜。

イケメンの旅は忙しいね」

レンバスの新生活は、ゆるく、チャラく、そして自由に始まった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ