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ブラッド・フラワー  作者: 御稲荷 薫
ジョワブル王国/ペティット村編
66/67

66 犯罪者

「!?!?……うぅ……」


弾かれたようにあたしは起き上がった。


頭の中がぐるぐる回転して、気持ちが悪い。

思わず片手を頭に当てる。


「やっと意識が戻ったか」


声がする方に顔を向けた。

ぼんやりと縦縞の人が見える。


「聞こえるか」


ぼんやりとした景色が徐々にはっきり見えるようになってきた。

この人が縦縞なんじゃない。これは、檻だ。

檻の向こうに人がいるんだ。


あたしは朦朧とした意識の中コクンと頷いた。


「左手に温かい白湯がある。それを飲んで落ち着きなさい」


左を見ると、ウィーンという音と共にコップが一つ出てきた。


両手でコップを包み込むと、手からじんわりと温もりを感じた。


ゆっくりと水を口に含む。


体の細胞一つひとつが熱を帯び、動き出すのを感じる。


あたしは再び檻の向こうにいる人を見た。

今度ははっきりと見える。女の人だ。

紫色の柄のシャツと長い黒のズボン。短い白髪を後ろで束ねている。歳はとっていそうだが若く見える。


「ここがどこだか分かるか」


女の人が問いかけるが、あたしは首を横に振った。


「ここは世界最高防衛機関 ダンデリオンの本部内だ。お前は5日前、ジョワブル王国で保護されたが、今の今まで寝たきりだった」

「ど、どうして…?」

「お前が覚えている最後の記憶はなんだ」


あたしは自分の記憶を辿った。


「あたしが罠に引っかかって…助けようとしてくれたガンダとランスが兵士にやられてるのを見て、体の奥から怒りが湧き上がってきて…それで…」

「暴走したお前の能力が国を半分呑み込み、危うく壊滅させるところだった(⁉︎)」

「え……?」


あたしは言葉を聞き返すことしかできなかった。


「お前にこの事を話さない方がいいと言う奴らもいたが、あたしは話すべきだと思ったから今話した。後から知る真実ほど酷なことはない」

「国は…どうなったの…?」

「運が良かったな。お前がした事全てはある女によって事実ごと揉み消された(・・・・・・)。被害は最小限に抑えられ、お前の暴走による被害者もいない」

「ガンダは!?ランスは無事なの!?」

「今言っただろう。被害者はいないと」


ここで初めてあたしは胸を撫で下ろした。

だけど、あたしが安心できたのはここまでだった。


「国はなんとか守られた。だがお前がしでかした事実が消えたわけではない」


そして、厳しい声でこう言った。


「つまるところ、お前は国家反逆未遂犯として今我々に捕まっているのだ(⁉︎)」


反逆……え。


「待って!!あたしはただ友達を守りたかっただけなんだ!!」

「あぁ、そうだろう。だが結果として国の存亡を揺るがす大きな事態となった。そうだろう?」

「っ…でも…!」


女の人は後ろにあった椅子に腰をかけた。


「だが、お前の言い分は十分理解している。まだ能力も十分に操れない赤子が起こした悲劇だと、上に掛け合うつもりだ」

「ほ、本当ですか…!」

「あたしだって鬼じゃない」


フゥ、と女の人はため息を吐き、小さく呟いた。


「ったく…親子揃って犯罪者扱いとはね…(‼︎)」

「えっ…?」

「サージェント ムーラン!アドマイラルがお呼びです!」


小走りで走ってきた兵士が女の人に話しかけた。

女の人は「…あぁ」と座っていた腰を持ち上げる。


あたしは立ち去ろうとする彼女を慌てて呼び止める。


「ま、待って!!あたし、あなたのこと知ってます…!」


そう言うと、ムーランさんはさっきよりも暗い声で言った。


「リンのことは…残念に思うよ」


あぁ、やっぱり。


この人は、ムーランさんは、リンさんの命の恩人だ。


「だが」と、ムーランさんは言葉を紡いだ。


「同時に誇らしく思う。お前がその檻から出ることが叶ったなら、いつか聞かせておくれ。リンとお前の物語を」


そう言い残してムーランさんは行ってしまい、代わりの兵があたしの見張りになった。


「念のため言っておくが、抵抗は無駄だぞ。お前の両手首に巻かれているサンフラワーの蔓が、お前の能力(ちから)を封じている」


よく見ると、あたしの手首に巻かれている蔓と地面が繋がっている。


引っ張っても抜けない。何より、思うように力が入らない。確かにこれじゃ抵抗できなそうだ。


元より、抵抗するつもりなんてないけれど。


まさか犯罪者になってしまうなんて。


あたしは一体、どうなってしまうんだろう…

お久しぶりです。


時間のある時に、少しずつ更新できればと思います。

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