54 決別
いつもの街並み。見慣れた景色。
あたしは家の外の芝の上に座っていた。
(あれ、どうしてあたしここに…)
「アレンーー!(‼︎)」
そしていつもの声がドアを開けて聞こえた。
「やぁっと起きたか!今日は珍しく熟睡してたな!」
その姿を見て、あたしの目から涙が一筋溢れた。
「リンさん…生きてたの?」
「はぁ??何言ってんだ。勝手に殺すなバカ!」
(夢…か。)
「そっか、そうだよね。よかったぁ」
あれが夢で、こっちが現実なんだ。
「ったく、何で泣いてんだよ。泣き虫は嫌いなの知ってんだろ?」
「だって……!あれ……?」
リンさんがどんどん遠のいていく。
「リンさん、どこ行くの?」
口は動いてるのに、声が聞こえない。
姿もどんどん小さくなっていく。
「リンさん…?リンさん!!………リンさん!!!!」
ーーーーーー
「っ……!!」
手を伸ばし、汗だくになりながら起き上がった。
そこにはいつもの天井、見慣れた景色はなく
周りは林。右手は白夜をきつく握りしめていた。
外から人の声が聞こえたから、木陰からそっと覗いてみた。
頭がぼんやりしてたけど、ここにはリンさんも、大好きな村の人もいないことはすぐに分かった。
振り返ると、あたしが通ってきた穴がある。
あの穴を通れば、みんなのとこに戻れる。
きっとみんな笑って、あたしのことを温かく向かい入れてくれる。
村に戻れば…
「…」
様々な出来事が脳裏をフラッシュバックする。
焼かれていく村
裏切り
大好きだった人
(これは…夢、夢だよね…)
どれだけ目を擦っても景色は変わらない。
顔を思い切りバチン‼︎と引っ叩いて見た。
「痛い…」
ホロリと涙が一筋溢れる。
「また…あたしのせいだ…」
あたしなんかに出会わなければ、リンさんは死なずに済んだ。
カノンさんだって。
考えれば考えるほど自分が嫌いになる。
あたし1人のせいでどれだけの人を不幸にしてるんだ。
あたしなんかいなければ…
自問自答をただひたすらに繰り返す。
何度朝と夜を迎えたか覚えていない。
だけどある時、一つの答えに辿り着いた。
あたしはこの罪を背負って生きていくしかない。
あたしが死ぬことは許されない。
死んだらそれこそ無責任ってやつだ。
だけど…
「一人で生きよう。もう、誰も悲しませないために」
そう決めると、少しだけ気持ちが楽になった。
グゥとお腹が鳴る。そういえばずっと何も食べていない。
とにかく食べ物が欲しい。食べ物と、情報を。
あたしは通ってきた穴を塞いだ。あたしにとってそれは、決別に近い意味を持った。
・・・・・
「すみません…食べ物をください」
最初に辿り着いたお店であたしは優しそうな風態をしたおばさんに言った。
「…金は?」
「…ありません」
おばさんははぁ⁇と呆れ返った。
「金がねぇ客がいるか!お前さん、どうせ親に見放された身だろ?義勇団にはチクんないでやるからとっとと行きな!」
こうなることは半分分かっていた。
あたしは無言で立ち去って次のお店に行った。
「帰れ帰れ!!ただでさえこの間の火事で向こう側全部燃えたんだ!ガキにタダで与えるもんなんてねぇよ!」
「…火事?」
「知らねぇのか?中間の森の向こうででっけー火事が起きて、ほとんど全部燃えちまったんだ。おかげで商売下がったりよ!なぜかって?」
店のおじさんはあたしの耳元で小さく言った。
「向こうの人間も全部燃えたらしいからな(‼︎)」
おじさんは高らかに笑った。
あたしはもう、自分を抑えきれなかった。
「火事なんかじゃない!!!義勇団がみんなを皆殺しにしたんだ!!!!」
あたしは白夜を抜いた。
周囲がざわつき、悲鳴が上がる。
そこで初めて、あたしはやってしまったことに気がついた。
「てめっ…このクソガキ、何するつもりだ!!おい!!義勇団を呼べ!!このガキ武器を持ってるぞ!!!」
あたしは刀を鞘に戻し、急いでその場を立ち去った。
「待ちやがれクソガキがぁ!!!」
逃げなきゃ、でもどこに。
その時だった。
「こっち!(‼︎)」
2人の男の子があたしの手を取った。
「「ついてきて!!」」
10連休なんて言葉はウソですね。
皆さんは充実した休みを楽しめたでしょうか。




