53 命の襷
おっちゃんと協力して、森の果てまで辿り着くことができた。
数メートル先に検問所が見える。だけど。
「見張りが多いな…アウトフォレスターを誰一人として入れねぇって堂々と顔に書いてやがる」
あたし達が王国の中に入るにはこの門を突破するしかない。
この門さえ固めれば、害虫どもが入り込む隙などない。
(って、きっと王国の人は思っているんだろうなぁ…)
「おっちゃん、ここまで連れてきてくれてありがとう」
おっちゃんはあたしが何を言いたいのか分からない顔をした。
あたしは検問所から少し離れた壁を指差した。
「あそこにリンさんが掘った隠し穴があるの。子供1人入れるかどうかの小さな穴。あそこを通れば、検問所えお通らずに国の中に入れる」
おっちゃんはあんぐりと口を開け、合点がいったように少し笑った。
「そうか…それであのⅠお尋ね者も何度も国を出入りできたのか」
あたしは驚いた。だって。
「………知ってたの?リンさんのこと」
それはあたしと村長しか知らないって。確かにリンさんが言っていた。
「知ってた。村のやつ全員な。どうしてって思うだろう?答えは簡単」
おっちゃんは誇らしそうに言う。
「追われてる国に帰ることは並大抵の覚悟でできることじゃない。俺たちはリンに賭けてたんだ。リンが自由に導いてくれるって。そしてリンは、導いてくれた」
「…リンさん、きっと今頃腰抜かしてるだろうね」
「かもな」
空っぽになっていた心のコップが、水で満たされていく音がした。
リンさんは愛されていた。
みんなに愛されたリンさんにあたしも愛されていた。
「おっちゃん。あたし、生きるよ。どんな場所でも生き延びてみせる」
そう言うと、おっちゃんは嬉しそうに頷き、あたしの頭に手を乗せた。
「アレン。自分のために生きろよ。お前は強い。なんたってリンの娘なんだからな」
そう言って、おっちゃんは堂々と森を抜け出した。
「おっちゃん!?」
おっちゃんは一度だけ振り向いてあたしに向かって親指を立て、門に向かって走り出した。
門番たちは万全の体制でおっちゃんを立ち塞ぐ。
「助けてくれ!!!連中に追われてんだ、中に入れさせてくれ!!!」
「たわけ者が。それを許可せぬために我々はここにいる。この者を取り押さえろ」
ガタイのいい兵士たちが馬乗りになっておっちゃんを取り押さえる。
それでもおっちゃんは暴れる事をやめなかった。
「こいつ…!」
「今しかないんだ!!今、行かせてくれーー!!(‼︎)」
そのメッセージがあたしに向けられたものだとは、この場にいる誰も思わなかっただろう。
(ありがとう…おっちゃん…!!)
あたしはおっちゃんの意思を汲み取り、思いっきり森を駆け抜けた。
大丈夫。みんなおっちゃんに夢中で、あたしの存在に気づいていない。
隠し穴に辿り着くと、穴に被せられてる土山を掻き分けた。
あたし一人分が通れる大きさにすると、素早くその中を通り抜けることができた。
だけど、問題はそこからだった。
(刀が通らない…!!)
壁と穴の間に刀が引っかかってしまったのだ。
外側の土地を足で削り、刀を必死に引っ張る。
「通っ……れぇ……!!!」
リンさんが、おっちゃんが、命懸けで繋げてくれた。絶対無駄にしちゃいけない。
「うおーーーー!わっ!!?」
スポン!!!と勢いよく刀が抜け、あたしはそのまま背後の木に頭をぶつけてしまった。
目の前が真っ暗になり、あたしは闇に吸い込まれた。
最近何のために働くのか考えていますが
答えが見つかりません。助けてください。(切実)




