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ブラッド・フラワー  作者: 御稲荷 薫
ジョワブル王国/ペティット村編
30/67

30 険しい道のり

一回でいい……一回でも当てれば……!


「うおりゃああ!!」


あたしはリンさんに向かって突進した。

しっかり両手で枝を握り、勢いよく振り下ろした。


ガン!!とリンさんの枝とぶつかる。


「うーーっ…!」


結構本気で力を入れてるのに、リンさんの枝はピクリとも動かない。


「なんだなんだ?それが本気か??」

「っ…まだまだぁ!!」


あたしは一度距離を取り、再び立ち向かう。


何度も何度もリンさんに棒を当てようとする。

リンさんの動きも何となく読めてる。

なのに…


(全っっっ然当たんない!!)


「うおおおお!!」


あたしは力任せに棒を振りかぶった。すると


「!?」


私よりも低い位置に、枝を刀のように構えているリンさんが。

吸い込まれるような目つきに、あたしは体が動かなくなった。


パコーーーン!!!という音と共に、あたしの枝が宙を舞った。


リンさんはあたしの体を地面に伏せると同時に体を跨いで動けなくし、顔のすぐ側に枝を立てられた。


遠くで枝が落ちる音がした。


負けた。


この枝がもし本物の刀だったら…


「これがもし本物の刀だったら死んでたな」


リンさんはそう言うと、枝を地面から抜いてあたしの隣に座った。

あたしは恐怖で、まだ動けないでいた。


「ダンデリオンに入れば常に死と隣り合わせだ。"困ってる人を助けたい"。そう息巻いて死んでいった仲間を数多く見てきた。別にあたしは、入るなと言ってるわけじゃねぇ。でもその様子じゃ…相当道のりは険しいな」


何も言い返せなかった。

あたしの体はブルブルと震えてたから。


「リンさんは…」声を絞り出して聞いた。


「リンさんは、死ぬのが怖くなかったの?」

「死ぬつもりで任務に行くバカがどこにいる。まぁでも…何度か死にかけた時は、怖かった」

「じゃあなんで…」

「…戦うことが、あたしの唯一できることだから」


リンさんは持っている枝をクルクルと回しながら話した。


「知っての通り、あたしは頭はよくないし、喧嘩っ早いし、周りとも馬が合わない。でもあたしは違うことは違うってハッキリ言えるし、それなりに力はある。それだけが取り柄だから。死ぬことを怖がってちゃ、あたしはあたしじゃなくなるんだ(‼︎)」


自分が、自分でなくなる…?


「それって、死ぬことよりも怖いことなの?」

「あたしはな。戦ってると、生きてるって感じがする。それで誰かの命を守れたら…それ以上に良いことはない」

「…」

「まっ!お前はまだチビなんだからよ、そんな焦んなくていいんじゃねぇのって話!そもそもあたしに勝とうなんざ100年早ぇってんだ!」


そう言って、リンさんはふんっと勢いをつけて立ち上がる。


「さ、明日からバンバン働いてもらうぞー」

「え、明日??」

「別に今日からでもいいんだぜ?」

「うっ……じゃあ、明日から」

「っしゃ!稼ぎ口が増えたぞ!バンバン働いてもらうから覚悟しろー」

「はーい…」


・・・・・


翌朝、あたしとリンさんは早速村に降りた。


「な、何でも屋リンでーす!お困りごとはありませんかー!」

「もっと腹から声出せ!そんなんじゃ誰も来てくれねぇぞ?」

「だって…ちょっと恥ずかしいし…」

「何も恥ずかしがることねぇよ!いらっしゃーい!何でも屋リンが来たぞー!!」

「リン!ちょっといいかね」


声のする方を見ると、杖をついたおじいさんがあたし達を手招きしていた。


「ほらな!」とリンさんがあたしにウィンクする。


「こうやって声をかけてもらうこともあるし、こっちから声をかけて仕事をもらうこともある。行くぞ、お前の初仕事だ!」


おじいさんはあたし達を自分の家に連れて来た。


ところどころ改築してるけど、かなり古びた家だ。


「実はな…家のどこかに大事なハンコを無くしてしまったんじゃ。探したんだが出てこんくてのぉ」

「どんなハンコか具体的に教えてくれるか?」

「四角い形をした青い光沢を放つハンコじゃよ。暗いところだと目立つと思うんじゃが…」


リンさんは家をキョロキョロと見渡した。


「分かった。好きに漁っていいんだな?」

「勿論じゃ」

「あたし達が絶対探すから、爺さんは楽にしててくれ」

「あぁ、頼んだぞ。わしゃ自分の部屋で休ませてもらおう…」


そう言ってお爺さんは2階に上がってしまった。


「さ!探すぞ!」

「こんな大きな家から?小さなハンコを?無茶だよ!」

「無茶でも引き受けるのがあたしのポリシーだ」

「見つかんなかったらどうするの!」

「見つかるまで探す!それともなんだ?ハンコ一つ見つけられねぇやつが、ダンデリオンに入って人の命救えんのか?」


ムッ。


「それとこれは話が違うでしょ!!」

「人助けって点は同じだろ?」

「わかったよ見つけるよ!絶対リンさんより早く見つけてやるんだから!!」


あたしはムキになって家の中を探索し始めた。


リンさんはフッと笑った。


「その調子」


と小さく呟いて。

すみません、どなたか"秋"を知りませんか?


探してるんですけど見つからないんです。


まだ冬の出番は先だと思うんですけど…

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