18 嫌だ!!!
この村に来てもうすぐ一週間が経とうとしていた。
あたしも少しこの家での生活に慣れてきて、失敗もしなくなってきた(それでもいつも何か失敗しちゃうけど)。
リンさんは相変わらずツンケンしてる。
けど、本当はとっても優しい人だっていうことをあたしは知っている。
そんなある日、珍しくリンさんが椅子に座って何やら考え事をしていた。
お仕事にも行かず(何の仕事をしてるか未だに教えてくれない)、机に突っ伏してる。
声をかけると怒られそうだから、あたしは庭に出て洗濯物を干すことにした。
今日はとっても天気がいい。洗濯日和だ。
さーて取りかかろう!と思ったその時、
「よしっ!!!(⁉︎)」
リンさんが家の中から突然大きな声を出した。
そしてドアを開け、あたしに声をかける。
「アレン、街に行くぞ(!)」
「街??」
「そ。ついて来い」
リンさんは普段着ない フードのついた体を隠せるほど大きなコートを羽織っていた。
「そのコート、どうしたの?」
「行きゃ分かる」
よく分からなかったけど、リンさんが歩き出してしまったのであたしは慌ててついて行った。
村に来るのは久しぶりだった。
だけどなんだか、みんなあたし達を避けているように見えた。
リンさんを横目で見る人、目を合わせないようにする人、怯えてる人…
「おや、リン!(‼︎)」
すると、村人の一人があたし達に声をかけた。
「もしや、街に行くのかい?」
「あぁ、おばちゃん。例のあれを売りに行こうかと」
「変な騒ぎ起こさないでおくれよ?」
「分ーってるよ。アレン、挨拶」
「アレンです」
「そうかい、アレンちゃん。気をつけなね、リンから離れるんじゃないよ」
「はい…」
おばさんに別れを告げ、あたし達は村役場に着いた。
「村長ーーいるかー?船もらいに来たぞー」
「ちょ、困りますフェリキタスさん…!」
扉を開けるや否や要件を言うリンさんを受け付けにいたお姉さんが慌てて止める。
「リンでいいって言ってるだろ?コンジュ」
「リ、リンさん!いきなり役場に来られても困ります!村長もお忙しいので、電話か何かで連絡頂かないと…」
「やっぱりお主か、リン(‼︎)」
扉の奥から村長が現れた。
「お、いるじゃんか」
「今しがた作業が終わったところだ。あれを取りに来たんだろ?」
「おう!」
「コンジュ、私が戻ってくる間に珈琲を一杯入れといてくれるかい?」
「は、はい!」
コンジュさんは慌ててこの場を離れた。
「おや、アレンちゃん。久方ぶりだな」
「お久しぶりです!」
「君も一緒に街へ行くのかい?」
「それが、あたし何も聞かされてなくて」
村長がリンさんの方をチラッと見る。
そして髭を触りながらゆっくりと相槌をうち、「そうだな」と答えた。
「ついてきなさい」
あたし達は役場の裏に回り、倉庫のようなものに中に入った。
その中の一つに、あたしは見覚えがあった(‼︎)
「村長、あれ…」
「あぁ、君が乗ってきた船だ」
(ここに保管されてたんだ…)
「これを街に売りに行く(⁉︎)」
「え!!売るの!?」
「お前の仮親が出した条件だ。お前をちゃんと受け入れてくれるなら、この船はどう扱っても構わない、と。だよな?村長」
「あぁ」と、村長もコクっと頷く。
「それに、これはお前が運ばれてきた時点でもう壊れてた。この村に修復できるやつもいねぇし、解体して売るしか…」
「嫌だ!!!(‼︎)」
あたしは声を張り上げ、船の前で両手を広げた。
「これは絶対売らせない!!」
「…はぁ?」
リンさんの目がギラっと光る。
「これはカノンさんがあたしのために残してくれた大切な物なんだ!!勝手なことしないでよ!!」
「だから勝手じゃねぇつってんだろ。これはお前の仮親が…」
「カノンさんがどう言ったなんか知らない!!あたしは嫌なんだ!!」
「ふ、2人とも落ち着きなさい…!」
するとリンさんは一歩前に踏み出し、吐き捨てるように言った。
「悪いがこちとら金がねぇんだ…そこどけ!!アレン!!(‼︎)」
新しいことをするとワクワクする。
こんな時代だからこそワクワクすることを見つけていきたい。
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