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ブラッド・フラワー  作者: 御稲荷 薫
ジョワブル王国/ペティット村編
17/67

17 小さな夜

丘を登り、ドアに手をかけようとしたその時。

突然内側からドアが勢いよく開いた。


「いでっ!!?」

おでこにガツンとドアが当たる。


「ご、ごめんなさい!」

視線を下げるとアレンが申し訳なさそうにこちらを見ていた。


「お帰りなさい、リンさん。こんな早く帰ってくるんだね」

「てめぇ……雑用は終わったのかよ」

「リ、リンさん!見て後ろ!空がきれいだよ!」

「…後ろ見なくても空は見えるだろ?」

「後ろの空がきれいなの!ほら見て!」


……


あたしは扉をグッと扉を開き、家に入った。


「待ってリンさん!おねが…」


アレンがあたしにしがみつくが、あたしは無理やり中に入った。


そうする理由は一目瞭然だった。


家を出る前より散らかった部屋、割られた皿、濡れた床…


こいつはこれを隠したかったのか。


「ごめんなさい…あたし、雑用できなかった。リンさんとの約束、守れなかった…」


アレンは身を縮こめて言う。その肩は小さく震えていた。


「ったく…」

「あたし、ここ出ていかなきゃだよね…」

「誰がそんなこと言った」

「え…?」


リンさんはキッチンから雑巾を取り出し、濡れた床を拭き始めた。


「怒ってないの?」

「怒ってる」

「じゃあ…」

「あたしが怒ってんのは、床が濡れてることでも、皿が割られていることでもない。お前がこれを隠そうとしたからだ。そういうのは、弱ぇやつがすることだ(‼︎)」


『弱い人が嫌い』リンさんが最初にあたしに話したことだ。


「失敗は誰だってする。隠す必要なんてねぇんだよ。分かるだろ?それに…」


リンさんは少し声を抑えて「何も教えなかったあたしも悪かった(‼︎)」とつぶやいた。


(弱いっていうのは、心のことを言っていたのか…)


あたしは屋根裏にあるモップを急いで取りに行き、リンさんを手伝った。


「それにしても何したらこんなに散らかるんだよ」

「床拭くのに水必要かなって思って撒いたの…」

「アホか。あーー布団まで濡れちまって。今日は野宿だな」

「野宿?」

「外で寝んだ。今は夏だし、風邪も引かねぇだろ」

「上手に寝れるかな…」

「今日は爆睡だろ」


あたし達はその後、急いで部屋を片付けた。

一段落して、先に出てろと言われたので、あたしは家の外に出た。


気づいたら外はもう真っ暗で、その中で煌々としている月灯りはとても綺麗だった。


夏髪が頬を切る。


(これが、夜…)


そういえばこの村に来てから、ちゃんと外の景色を見ていなかった。


ガチャという扉の音とともに、リンさんもカンテラを片手に外に出てきた。


「寝袋、一つしかないからお前が使え」

「リンさんは?」

「あたしは暑がりなんだ」


あたしはリンさんの寝袋をもらった。

リンさんは芝生に座って白い棒を吸った。


「それ何?」

「タバコ。吸うか?」

「…ううん、変なニオイする」

「この味の良さが分かるようになったら、お前も一人前さ」


あたしは寝袋に入った。だけど眠るのが怖かった。

またあの悪夢を見てしまうかもしれない。何度も寝返りをうつ。すると


「あたしもな」 リンさんが突然話しかける。


「捨てられたんだ、親に」

「そうなの!?」

「でもあたしは親が嫌いだった。捨てられて清々とさえした。だから…お前がちょっと羨ましかった(‼︎)」

「あたしが…?」

「だから怖がることなんて何もねぇんだよ。胸を張れ、お前は愛されてる」


リンさんの言葉がスッと入る。胸のあたりがじーんと熱くなる。


「…ありがとう」

「寝ろ」


生温かい風に包まれながら、あたしは静かに眠りに入った。


悪夢は見なかった。


あたしはリンさんのことを少し、いや、かなり好きになっていた。

御稲荷はaikoさんが大好きなんです、、分かる方には分かったかな?笑

これからもちょこちょこ挟めたら挟みたいなと思っていたりする、、


御稲荷 薫のツイッター↓

@oinarisandayo

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