17 小さな夜
丘を登り、ドアに手をかけようとしたその時。
突然内側からドアが勢いよく開いた。
「いでっ!!?」
おでこにガツンとドアが当たる。
「ご、ごめんなさい!」
視線を下げるとアレンが申し訳なさそうにこちらを見ていた。
「お帰りなさい、リンさん。こんな早く帰ってくるんだね」
「てめぇ……雑用は終わったのかよ」
「リ、リンさん!見て後ろ!空がきれいだよ!」
「…後ろ見なくても空は見えるだろ?」
「後ろの空がきれいなの!ほら見て!」
……
あたしは扉をグッと扉を開き、家に入った。
「待ってリンさん!おねが…」
アレンがあたしにしがみつくが、あたしは無理やり中に入った。
そうする理由は一目瞭然だった。
家を出る前より散らかった部屋、割られた皿、濡れた床…
こいつはこれを隠したかったのか。
「ごめんなさい…あたし、雑用できなかった。リンさんとの約束、守れなかった…」
アレンは身を縮こめて言う。その肩は小さく震えていた。
「ったく…」
「あたし、ここ出ていかなきゃだよね…」
「誰がそんなこと言った」
「え…?」
リンさんはキッチンから雑巾を取り出し、濡れた床を拭き始めた。
「怒ってないの?」
「怒ってる」
「じゃあ…」
「あたしが怒ってんのは、床が濡れてることでも、皿が割られていることでもない。お前がこれを隠そうとしたからだ。そういうのは、弱ぇやつがすることだ(‼︎)」
『弱い人が嫌い』リンさんが最初にあたしに話したことだ。
「失敗は誰だってする。隠す必要なんてねぇんだよ。分かるだろ?それに…」
リンさんは少し声を抑えて「何も教えなかったあたしも悪かった(‼︎)」とつぶやいた。
(弱いっていうのは、心のことを言っていたのか…)
あたしは屋根裏にあるモップを急いで取りに行き、リンさんを手伝った。
「それにしても何したらこんなに散らかるんだよ」
「床拭くのに水必要かなって思って撒いたの…」
「アホか。あーー布団まで濡れちまって。今日は野宿だな」
「野宿?」
「外で寝んだ。今は夏だし、風邪も引かねぇだろ」
「上手に寝れるかな…」
「今日は爆睡だろ」
あたし達はその後、急いで部屋を片付けた。
一段落して、先に出てろと言われたので、あたしは家の外に出た。
気づいたら外はもう真っ暗で、その中で煌々としている月灯りはとても綺麗だった。
夏髪が頬を切る。
(これが、夜…)
そういえばこの村に来てから、ちゃんと外の景色を見ていなかった。
ガチャという扉の音とともに、リンさんもカンテラを片手に外に出てきた。
「寝袋、一つしかないからお前が使え」
「リンさんは?」
「あたしは暑がりなんだ」
あたしはリンさんの寝袋をもらった。
リンさんは芝生に座って白い棒を吸った。
「それ何?」
「タバコ。吸うか?」
「…ううん、変なニオイする」
「この味の良さが分かるようになったら、お前も一人前さ」
あたしは寝袋に入った。だけど眠るのが怖かった。
またあの悪夢を見てしまうかもしれない。何度も寝返りをうつ。すると
「あたしもな」 リンさんが突然話しかける。
「捨てられたんだ、親に」
「そうなの!?」
「でもあたしは親が嫌いだった。捨てられて清々とさえした。だから…お前がちょっと羨ましかった(‼︎)」
「あたしが…?」
「だから怖がることなんて何もねぇんだよ。胸を張れ、お前は愛されてる」
リンさんの言葉がスッと入る。胸のあたりがじーんと熱くなる。
「…ありがとう」
「寝ろ」
生温かい風に包まれながら、あたしは静かに眠りに入った。
悪夢は見なかった。
あたしはリンさんのことを少し、いや、かなり好きになっていた。
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