15 ギブアンドテイク
「け、契約!?」
あたしはあたりを見回した。
そして見つけてしまった。窓に綺麗な花が生けてあったのだ。
(まさか、スター・カメリア!?)
「ごめんなさい、あたしここ出ます!!」
「お、おい!どうしたんだよ!」
リンさんがあたしの腕を掴む。
「花の契約でしょ!?あたし知ってるよ!そんなもんで縛られるもんか!!」
あたしは窓際にある花を指さして言った。
するとリンさんは「はぁ」と呆れた顔をしてあたしの手を離した。
「ばーか。あれはスター・カメリアじゃねぇよ(⁉︎)」
「え?」
リンさんは立ち上がり、花瓶を手に取ってあたしに見せた。
「これは"カキツバタ"。綺麗だろ?あたしの好きな花だ」
「カキツバタ…」
あたしはカキツバタをじーっと見つめた。
「お前が言ってんのは花の契約のことだろ?スター・カメリア。確かにあれを使って契りを結ぶこともできるが、それは本当に相手が約束を破らない確証が欲しい時にやるもんだ。お前なんかとそんな重いもん結んでたまるかよ」
焦った。契約ということに過剰に反応してしまった。
あたしは安心からか、ヘタっと地面に座り込んでしまった。
「じゃあ、あなたが言ってるのは…普通の、何の代償もいらない契約のことなの?」
「当たり前だろ」
「よかったぁ…」
そんなあたしの姿を見て、リンさんは
「その年で花の契約を知ってるなんて相当なワケありだな」と、言った。
「身近に"ブルーマー"でもいたのか?花の契約を結んだやつのことだ」
「カノンさんが…お父さんと結んでた」
「あーー、そりゃトラウマもんだな」
頭をポリポリと掻き、
「あたしはさ、この村に来る前は軍にいたから。そういうの他のやつらよりちょっと詳しいんだよ」
「口が悪いのも軍にいたから?」
「うっせぇよ」
リンさんはベーっと舌を見せた。
「話が逸れたな。要はギブアンドテイクだ!」
と、あたしの胸に指を突き立てる。
「あたしはあんたをここに住ませる。最低限の生活も保証する。あんたはあたしに何をくれるんだ?」
「なにをって…?」
「代償はいらねぇが対価はもらうぞ。一番簡単なのは"労働"だ。働くって知ってるか?物を売ったり、人のためになんかしたりすんだ」
なんて大雑把な説明なんだ。
(カノンさんがやってたことかな…?)
「お前、何か得意なこととかねぇの?」
得意なこと…
「…隠れんぼ」
「死ぬほど使えねぇな」 ツンと返される。
「しょうがねぇ、しばらくは家で雑用でもしてもらうか。多少はタフみたいだしな」
「それって何をすればいいの?」
「簡単さ。掃除、洗濯に食料調達!仕事の道具作りも頼みてぇな。んで、それができるようになったらあたしの仕事を手伝ってもらう」
「リンさんは何の仕事をしてるの?」
「今言う必要ねぇだろ。質問ばっかだな」
そしてあたしに顔を近づけ
「で、乗るのか?この話」と聞いた。
簡単な話、乗らなければこの家を追い出されるまでだ。
でもリンさんはあたしにできる範囲で話を調整してくれてる。
口は悪いけど、やっぱりこの人は悪い人ではない…はずだ。
「うん、乗った」
「決まりだな。これでお前がこの家に住む理由ができた」
リンさんはあたしに手を伸ばしてきた。
あたしはその意味がわからず手をじっと見てしまった。
「ほら、手ぇ出せ」
言われた通り手を出すと、リンさんはあたしの手をギュッと握った。
「これで契約成立だ。よろしくな、アレン」
「こんなことで成立するの…?」
「これが普通なんだよ。あとは信頼関係がモノを言う」
リンさんはあたしから手を離した。
「言っておくが、お前があまりにも使えなかったりあたしの仕事の邪魔をする時はすぐにでも出てってもらうからな」
「うん。頑張る…!」
こうして、あたしの新たな生活が始まったのだった。
進撃の巨人、まだアニメまでしか見てないのに不意に盛大にネタバレ喰らいました。悲しいです泣
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