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魔女が真龍に仕掛けた我儘戦争(仮です。迷走中です。少し変えるかもです)  作者: 漆本李彩(しつもと りあ)
第二章 冒険者学校は才女だらけ?!
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第135話 合言葉ハ?

「くっそ。硬てぇな」


 クランパーティの翌日、二日酔いはしてないが少し気怠さを感じつつも、クリスマスプレゼントを貰って朝から騒ぐ子供のごとく、シェンユからプレゼントされた龍面を触っている。


 左右の目の穴を1つに繋げてバイザー式に変えようと思って、眉間の部分を削っているが、上手くいかない。

 剛木では無いと思うが、なかなか硬くて俺の持ってる道具では少ししか削れない。あとは、やはり一点物なので、失敗が許されない。力の入れ具合が絶妙だ。


 目の部分意外にも両サイドにメカっぽい角もつけたいし、顔に固定できるように、頭部を包み込むようにもしたいし、加工したい事が沢山ある。

 そのままでもカッコイイとは思うけれど、コレを無加工で被ってドラグマン・レッドをやってたら、さすがにシェンユに俺だとバレてしまう。


 早く使えるようにしたい。けど、焦る気持ちを抑えないと、取り返しのつかない事になってはいけない。


「おーい。タツキ」

「えっ! は、はい!」


 急にノックされて、手元が滑った。大したミスにはならなかったけど、ビックリした。


 ノックしたって事はシェンユでは無いな。この声はジンリー先輩か?


「下から大声で呼んだけど、返事ないから、いないと思ったぞ」

「すみません。それで、何か用ですか?」

「下に、客が来てるぞ~」

「わ、分かりました。ちょっと片付けして、すぐ降ります」

「了解。待たせておくわ~」


 さて、どこに隠そうか。部屋の中に置いておけば誰にも見られないとは思うけど。カギをうっかり掛け忘れてると、たまにシェンユが突撃してくるからな。


 う~ん。やはり、押入れの中が安全か? ノア4に開かないように頼めば、内側からロボットパワーのつっかえ棒になってくれるだろう。


「ノア4、開けるよ?」


 軽くノックして小声で確認する。


「合言葉ハ?」

「えっ? 合言葉?」


 そんなの決めてたっけ? なんだろう?


 俺とノアの間だけに分かるような事…… 異世界とか、地球とか、サヤ様に関する事かな?


「我等は別世界より来訪した」

「間違イデス」


 間違ったけど押入れは開かれて、床がスライドしてノア4が顔を出した。


 そういや、この中って、どうなってるんだろう?


「正解ハ『ノア可愛い』デス」

「…… それは、ノア3が決めたのか?」

「ハイ」


 あのアホは。何しとんじゃい。


「これを押入れに隠しておきたんだけど。良いか? 誰にも見つからないようにお願いしたい」

「了解シマシタ。コレハ何デショウカ?」

「祭りの龍面を改造してるんだ。この目を繋げたいんだけど、上手くいかなくて時間がかかりそう。まぁ、ゆっくりやるから、普段は隠しておきたいんだよ」

「デハ、私ガ改造シテオキマスカ?」

「できるのか?」

「指示ヲ頂ケレバ」


 そっかぁ。ノア達は超高性能ロボットだったな。精密に指定の箇所を削ったするのは簡単なんだろうな。


「ちょっと待ってな」


 俺は机に置いてあった、手書きの完成イメージ図を渡して、どこをどうしたいと希望を伝えた。


「任セテ下サイ」

「おう。任せた。ゆっくりで良いからな」


 ノア4は龍面とイメージ図を受け取ると、押入れの床へと消えていった。


 もしかして、どこでもドア的なので、何処かに繋がっているのか? ちょっと気になるけど、また今度にしよう。


 部屋から出て、急いで階段を降りると、途中の時点から誰が尋ねてきたのか分かった。


 カウンターにはジンリー先輩とフェイギョク先輩が警戒した様子で座っていて、厨房にいるセンギョクさんとミンレイさんも警戒しているように見える。


 入口側のテーブル席に座っているのは、黒に近い紺色の長いローブに身を纏い。先端に布が巻きつけられた長い杖を持っていて、顔が隠れるほどのツバが大きいローブと同じ色の三角帽子を被っている。

 誰が見ても魔女教団の人だと分かる。


「あ。おはようございます。タツキさん」

「おはようございます。ヒルデさん」

「タツキぃ。俺が我儘亭を開いてから、魔女教団が来たのは2度目だぞ?」

「ちなみに、1度目は、ボコボコにしてやったんだよね? センギョクさん」

「ジンリー! 余計な事は言うな」


 センギョクさんも魔女教団とは揉めた過去があるのか。たぶんシェンユとか、魔女の弟子の一族関係で揉めたんだろうな。


「大丈夫です。ヒルデさんは話の分かる人ですから」

「あの~。なんか、すみません」


 俺はヒルデさんの向かいの席に座る。


「いえいえ。早いですね」

「ペレドルとエーリンと言い合いになりまして、気まづくなってしまいまして、早めに来ました」

「えっ? 2人とですか? 男の人だけじゃなくて?」

「えぇ。今回は、ちょっと揉めてしまって、2人ともボコボコにしてしまいました」


 ヒルデさんがボコボコにしたんかーい! いや、それよりも、あのペレドルってデカい男をボコボコにできるのですかい?


「仲間内でも揉めてるのかよ。魔女教団は揉め事が好きだな!」

「ちょっと、ジンリー先輩!」

「なんだよ」

「魔女教団じゃなくても揉め事はするでしょう? 今の言い方は良く無いと思います」

「えぇ~。タツキは、そいつらが何か分かっているのか?」

「分かってますよ」


 う~ん…… どうしようもないな。


 魔女教団は、面倒な奴等という認識が固定化されている。この我儘亭であってもヒルデさんにとっては、居心地が悪いだろうな。


 夕方に行く予定のシャン・レン=ワン家が心配になってきた。


「ヒルデさん、外に行きましょうか」

「えっと。はい。分かりました」


 ヒルデさんを連れて外に出た。だが、行く場所がない。


 ヒルデさんの格好は目立つ。どの店に入っても微妙な空気になりそうだ。

 とりあえず歩いて、どこが良いか考えていたら英雄広場に着いてしまったので、ベンチに座る事にした。


 座ったのはいいが、ここは交通量が多い。通り過ぎる人達は皆、軽蔑の視線を送ってくる。


「さて、どうしましょうか。どこに行けばいいのやら」

「大丈夫です。ここで待ってます」

「えっ?」

「懇親会の時間は夕方、タツキさんとの約束は昼過ぎでした。私の都合で昼前に伺ってしまい、申し訳ありません」

「いや、それは大丈夫です。そういう事じゃなくて、ここで待つんですか?」

「えぇ。それは慣れてますから大丈夫です」

「その~。こんな所に1人で座ってたら、何か言われませんか?」

「大丈夫ですよ」


 俺は、どうも、抱え込んでる女の子に弱い。


 人は誰でも大なり小なり何かを抱えているとは思うが、目に見えて困っている。そして、それを大変そうに見せない。

 そういう人が身近にいると、気にしてしまう。何かしてあげられないか? と思ってしまう。


 俺は幼い頃、困った人がいたら声をかけてあげな。手を差し伸べてあげな。と、教わってきた。

 その教えは良かったと思う。誰かを助ける事は、素晴らしい事だと思うし、俺の生きる指針になってヒーローに憧れるようになった。俺に教えてくれた人は、普段から困った人に声をかけて、出来る事は助けて、村の皆から感謝されていた。


 最後の日以外は。


 俺も誰かを助けられるように生きてきたつもりだった。だが、何故か上手くいかなかった。


 おせっかい。ウザイ。キモい。


 返ってきたのは、そういう言葉だった。現代社会では、手を差し伸べてくるのは下心がある人。何かを狙っている人。偽善者。詐欺師。そういった前提があるのだろう。

 自分自身にも至らない所もあったとは思うが、誰かを助けるのは簡単なことでは無い。


 改めて、あの人を凄さを感じた。カッコイイ、ヒーローだったと。


 だから、ヒルデさんに何かしてあげたい。と思ってしまう。


「以外と誰も声をかけてこないんですよ。魔女教団と関わるのは面倒な事だと皆さん分かってますし、それなりに猛者が多い事も知ってますから」

「そうですか。分かりました。じゃあ、少しだけ待ってて下さい。すぐに出かける準備をして戻ってきますから。シェンユも一緒に連れてきますので、どこかで3人で昼ご飯を食べてからダリアさんの所に向かいましょう」

「いいんですか? シェンユさんも一緒で?」

「大丈夫ですよ。元々3人で一緒に行く予定だったし、シェンユとヒルデさんも仲良くして欲しいですから」

「分かりました。では、お昼は私が奢りますよ! 美味しい店を知ってますので」


 ヒルデさんのオススメの店? お店なんて入れなさそうなのに。めっちゃ気になる。


 俺は走って我儘亭に戻り、シェンユに声をかけて、急いで準備を済ませた。

 シェンユが昨日と同じように、着ていく服について、披露してきたが、めっちゃめっちゃ褒めちぎって、さっさと我儘亭を出た。


 出る際にセンギョクさんに、シェンユをしっかり見守れよ! っと、めっちゃ念押しされたけど、シェンユならヒルデさんとも仲良くなれるだろう。

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